日本の冬

■まず形を見つけること。
 形が見つかれば、白い世界に色が自然と出てくる。

●寒い季節は寒い土地の方がいいのですか?

 やはり雪という被写体は魅力的ですね。よく冬は雪が汚いものを隠してくれるといいますが、それは都会の話で、自然にはもともと汚いものなんかありません。冬というのは透明感のある季節で、特に寒い日の朝夕の風景はとてもきれいです。雪の降り積もった平面的な白の世界が、朝方にはピンク色に染まります。そうした色の変化が面白いんです。

●アマチュアの場合、白い世界に色を感じさせてくれる風景を探し出すことは、難しいと思うのですが、そうしたアマチュアに向けてアドバイスをいただけますか?

 たとえば冬に木を撮りますと、白い雪の中に木の黒い色が出てきます。お地蔵さんには、まいかけがありますし、また動物や建物などにはどれも色があります。色として捜すと難しいと思いますので、まず形として捜してみるといいでしょう。形のあるものの中に、雪の白とのコントラストのある色を持つものを選べば、色は自然と出てくると思います。

●今のお話とも関係があると思うのですが、冬の風景写真にオリジナリティを出すということも、アマチュアには難しいことだと思うのです。その点でも、アドバイスをいただければと思います。

 有名な撮影地に出かけるのもいいのですが、それよりもまず身近なところで冬の風景を捜すことではないでしょうか。それが一番大切なことだと思います。
 それから、誰かが撮っているから撮るのではなく、自分の目で風景を選び取ること。たとえば有名地で撮影するにしても、最初は誰かの真似でも仕方がないとは思いますが、二度目には誰も撮っていない場所を捜すこと。そうした冒険心を持つことが必要ですね。自分で捜した、自分だけの撮影ポイントを見つけることです。そうした気構えが大事です。

●風景写真は明け方がいいと言われていますが、冬の朝はとても寒いので、被写体を捜して歩きまわるというのも大変だと思うのです。そこで昼に下見をするということもあると思うのですが、この下見の時に注意する点があったら教えてください。

 自然との出会いがしらで、その時々に感じたままにシャッターを押す方がいいと思うのですが、下見をするのなら、あまり神経質にならずに光の方向にだけ注意していればいいと思います。どちら側から光がさすかは地元の人に聞くといいですね。朝の早い農家の方とか、海ならば漁師の方に訪ねるといいでしょう。日の出の時間などはホテルのフロントに訪ねれば、たいていは教えてもらえます。
 ただし、日が出る方向ではなく、当たる方向を気にしてほしいですね。
ブルーに結氷する。フレペの滝(別名、乙女の涙)は流氷と溶け込んでしまっていた。歩くスキーでここまできたのだが、名前とはイメージが異なり、巨大なクジラの頭にみえビックリ!
■カメラ:キャノンEOS1 レンズ:20〜35mm F2.8 絞り:f8 シャッタースピード:オート フィルム:フジRDPII 撮影地:北海道知床
村外れにある地蔵さま。派手なエプロンや小さなほこらが目印になっているのかもしれない?
■カメラ:ペンタックスZ1-P レンズ:28〜105mm F4〜5.6 絞り:f8(プラス1EV補正) シャッタースピード:オート フィルム:RDP 撮影地:福島県会津
樹や枝に吹き付けられた様は、見ただけで震えがきそうだ。恵まれた自然とオイシイラーメンにつられて来たが、「ここに住みましょう」は言えなくなった。
■カメラ:キャノンEOS1N レンズ:80〜200mmF2.8 絞り:f8(プラス1EV補正) シャッタースピード:オート フィルム:フジRDPII 撮影地:福島県会津街道沿い
黒と白の世界はいろんな雑音を吸収してしまう。じっと見つめていてボクまで吸い込まれそうになったシーンだ。
■カメラ:ペンタックスZ1-P レンズ:70〜200mm F4〜5.6 絞り:f8(プラス1EV補正) シャッタースピード:オート フィルム:フジRDP 撮影地:山形県米沢
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