●寒い場所での撮影となると、機材にも特別な配慮が必要になってくるのではないかと思いますが、桜井先生はどのような工夫をなさっていますか?
国内であれば、冬だからといって特別な装備は必要ないのですが、やはり寒さに対する工夫は必要です。たとえば電池の予備を入れておく場所などには注意がいります。私の場合は肌に近い場所、シャツの胸ポケットに入れたり、ズボンのバンドの内側にはさみこんだりして、2本は必ず用意しています。
それとカメラは前日から部屋の窓際に置いて外気に近い温度にしておくことも大事です。さらに外に持って行くときには、カメラのボディにタオルを巻いて輪ゴムでとめるなどして、カメラを冷やさないようにします。
また風よけの工夫も大事です。シャワーキャップなどでカメラを包んで風よけにするといいですね。
●シャワーキャップですか?
ええ、シャワーキャップがいいんです(笑)。使い捨てカイロよりも効果的ですよ。それから撮影前にバックからカメラを出さないこと。撮影中にもカメラのタオルは外さないようにします。
三脚は朝方などには凍ってしまいますので、絶対に素手では持たないこと。布を三脚の足に巻きます。三本ともに巻いてもいいのですが、面倒であればどこか一本、持つところにだけ巻いておきます。それと三脚は前日に足を延ばして乾燥させておきます。中に水分があると凍ってしまいますから。手袋は軍手でもいいのですが、できればムースの革のものがいいんです。動物性の手袋ですと、寒くても凍って金属にくっついてしまうということがありません。
また、雪の上では三脚が沈んでしまいますから、ビニールシートを一枚持って行くといいでしょう。撮影する前に三脚の下に敷いて、三脚の重さで三脚の足が雪に沈まないようにします。電子レンジ用の熱を通さないシートを使用しますと、雪の上に置いても冷たくならないし、座ってもいいので便利ですよ。
●色々とアドバイスをありがとうございました。ところで先生の今後のご活動について、おうかがいしたいのですが。
今は中東戦争の影響でなかなか行けませんが、私はずっとイスラム文化の撮影をしてきたので、今後もイスラムの文化や生活感を撮り続けてゆきたいんです。日本では仏教やキリスト教についてはわかるのですが、イスラム教の文化圏についてはわかりません。わからないことに興味があるんです。
また最近では沖縄のシーサーの伝わってきたルートを撮影してきました。現在のシーサーは大和文化の影響を強く受けてきましたので、その原型とは異なっているのです。そうした仕事も近くまとめたいと思っています。
●最後に先生の方からカメラのキタムラに期待すること、希望されていることがありましたら、教えてください。
キタムラのお店には若い従業員の方が多いのですが、そうした方々にお願いしたいのは、カメラの魅力はもちろん、写真を撮影する魅力もお客様に伝えてほしい。今以上に力を注ぐように心がけていただきたいです。それが大事だと思うのです。キタムラの方々もお客様と一緒になって、もっと写真を撮ってほしい。キタムラの方が先頭に立って撮影の魅力を伝えていってほしいですね。記録写真でもアートでも、とにかく楽しむことが大切でしょう。
●ご意見をありがとうございました。一層努力を重ねていこうと思います。本日はどうもありがとうございました。
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