|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
■魚に近寄るコツは釣りに似ています。 |
|
|
|
|
|
●先生の作品には魚たちの顔のアップを写したものが多いのですが、魚たちはそんなに簡単に人間を近くに寄せてくれるのですか?
回遊魚のように海を泳ぎ回っている魚は別として、大半の魚は小さな縄張りの中で生きていますから警戒心が強く、そう簡単には近寄ることができません。近寄る場合は魚をだまして近づきます。
●「魚をだます」と言うと、具体的にはどのようにされるのですか?
たとえば小さな穴から顔を出している臆病そうな魚をアップで撮る場合、まず、相手の魚を無視して、近くの石に興味があるかのような素振りでゆっくりと近づきます。いやあ、いい石だねえというように(笑)。こちらは石しか見ていませんので、魚は少しずつ、気を許してくれるんです。
難しいのは魚にレンズを向けるタイミングです。レンズを向けて魚が逃げるような素振りを見せたら、それ以上近寄ってはいけません。我慢して、魚がもう一度穴に入るまで待ちます。穴に入ったら一気に距離をつめてしまいます。魚の方は、もしやのために逃げ場を確認するため穴の中に引っ込んでいるのですが、私のことが気になるので、少しずつ穴から顔を出してきます。その瞬間にシャッターを押す。すると魚はストロボにビックリして飛び上がるんです。ヤラレターッて言うように(笑)。
そのあと、魚がとまどっている間に2枚目のシャッターを押します。すると今度は魚がカメラに慣れてしまうらしく、かえってレンズに近づいてくるようになります。そうなれば、ある程度は自由に撮らせてもらえます。
魚に近寄るときの要領は釣りと同じです。魚は臆病なくせに好奇心が強いですから、追えば距離を保ったまま逃げますし、諦めると近寄ってきます。相手の警戒心をときながら、ゆっくり近づくのがコツです。男女関係にも似ていますね(笑)。 |
|
|
|
しなやかに岩陰から出入りしては、愛嬌を振りまくように現れるニシキヤッコ。
■カメラ:ニコンF3 レンズ:ニッコール50mm マクロ F3.5 絞り:f8.5 シャッタースピード:1/60秒 フィルム:RD100 ストロボ使用 撮影地:モルディブ諸島 |
|
|
|
|
|
|
|
|
細長い体型に長い顔。これも餌を補食するのに適しているのだろう。
■カメラ:ニコンF3 レンズ:ニッコール50mm F3.5 絞り:f8 シャッタースピード:1/60秒 フィルム:RFP ストロボ使用 撮影地:沖縄 |
|
|
|
|
|
|
|
|
エダサンゴの上を行進するように泳ぐデバスズメダイ。
■カメラ:ニコノスRS レンズ:UWニッコール13mmF2.8 絞り:f5.6 シャッタースピード:オート フィルム:ベルビア 撮影地:沖縄 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
■海の中では人間の方が異邦人なんです。 |
|
|
|
|
●先生はサメがお好きということですが、サメもやはり接近して撮るのですか?
ええ、そうです。しかしサメはなかなかいい写真が撮れないんですよ。彼らは警戒心が強いので、寄ってこないのです。オーストラリアへ行ったときに、エサを吊してサメの群を引き寄せて撮影しようとしました。ところがそうした状況でのサメたちは、エサを奪い合うパニックの状態ですから、自然状態の悠々と海を泳いでいる姿とは、ほど遠いものでした。結局、写真になりませんでしたね。
その時のことですが、サメがエサを食べ終わった後も、私は近くで写真を撮っていたのです。すると、そのうち大きなサメが私に近寄ってくる。気がつくと私の周囲に何匹ものサメが泳いでいるんです。私をエサだと思っているらしいんですね。怖かったですよ。
こうした場合に背中を見せて逃げると、後ろから咬まれるおそれがありますし、あわててバタバタ泳ぐと傷ついた魚だと思われてしまいます。サメは弱った魚をエサだと思って襲ってきますから、落ち着いて元気な魚のようにリズミカルに泳がないといけません。私は慎重に岸まで泳いで逃げました。
●海の中では、いま、お話にうかがったような危険なことも多いと思うのですが、それでも先生は海に潜られ、写真を撮り続けていらっしゃいます。先生をそこまでかりたてる海の魅力とは、どのようなことなのでしょうか?
地上ではけして見ることのできない海中の雄大な景観の美しさ、それと海の野生の生物が目の前に近寄ってくることです。地上と海中では動物と人間の立場が逆転してしまいます。海の中は魚たちの世界ですから、私達人間の方が異邦人になってしまいます。それで魚たちが面白がって私を見に来るのです。それが楽しいですね。 |
|
|
|
|
人喰いザメの一種と言われるメジロザメが、岩陰からいきなり出現し、度肝を抜かれた。後ずさりしながらシャッターを切った思い出に残る一枚。
■カメラ:ニコンF3 レンズ:ニッコール28mmF2.8 絞り:f8 シャッタースピード:1/60秒 フィルム:ベルビア ストロボ使用 撮影地:小笠原 |
|
|
|
|
|
|
交接中のコウイカに、やきもち焼きの雄が体当たりをくらわせ、二匹を引き離してしまった。
■カメラ:ニコンF3 レンズ:ニッコール28mmF2.8 絞り:f8 シャッタースピード:1/60秒 フィルム:ベルビア ストロボ使用 撮影地:沖縄 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
当サイトに掲載されている写真・テキスト等を無断で複製・転載することを禁じます。 |
|
|
|
|