|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
作家として、アーティストとして、幅広い活動をされている赤瀬川原平氏は、2年前に筑摩書房から『老人力』という本を出版され、ベストセラーになりました。この『老人力』という本は、「老いによる物忘れ」という誰もがいずれ迎える問題を、歳を経て忘却する力、「老人力」がついたのだと、前向きにとらえたユニークな本です。この本の冒頭に「老人力」という言葉が生まれてきたエピソードとして、路上観察学会の話が出てきます。どうやら『老人力』は路上観察学会の活動とかかわりがあるようです。今回、赤瀬川氏に取材させていただくにあたって、まずこの『老人力』と路上観察学会の関係からうかがうことにしました。 |
|
|
この植木の列を見て、小学校などで身長の順番に並んだところを思い出した。植物にも「キヲツケ!」と号令をかけているのだろうか。(日光) |
|
|
|
路上観察学会は冗談を言い合うことが目的になっています。
それは言い訳のない、
本音の活動になったということなのです。 |
|
|
ベトナムで路上観察学会の藤森さんと私と南伸坊さんが合宿していたときのことなのですが、藤森さんがある朝、その日に自分がやらなければならないことを忘れてしまったことがあったのです。
ちょっとした物忘れというのは誰でも歳をとれば経験するのですが、私は学会のメンバーの中でも年上ですので、ボケるのもみんなより早かったのですね(笑)。ですから他のメンバーから「ボケ老人」と言われていたわけですが、藤森さんも歳をとって私の「ボケ」に追いついてきたのです(笑)。これはマズイと言いながらも、冗談で「これはボケたのではない。歳をとって忘却する力、老人力がついたのだ」と言う。それでみんなが大笑いしたことがあるのです。それから仲間の間で「老人力」という言葉を使うようになったわけです。 |
|
|
もともと路上観察学会には「老人力」という言葉を生み出す土壌のようなものがありまして、ブラブラと歩いて、役には立たないけれど面白いものを見つけていく、言ってみれば徘徊老人のようなことをやっているんです(笑)。
このような活動は用事を持っている人にはできないことです。ほとんどの人はなんらかの目的を持って歩いています。用事を持たずに歩いているのは子供と老人くらいですね。老人は世の中に対して具体的な生産をしません。路上観察学会もそうなんです。別に何かを生産しているわけではないですし、目的意識もありません。何の機能性もないんです。もちろん、それが結果として本になって、皆さんに楽しんでいただいているということはあるのですが、それはあくまで結果でして、路上観察をしていながら、そのことを意識しているわけではありません。
好き勝手に歩いて夜になれば宿に入ってご馳走を食べて酒を飲む。ちょっと酒が入ると冗談ばかり言っている。みんな冗談やパロディや言葉遊びが好きなんです。 |
|
|
|
|
横断歩道の道路標識と宅急便の看板が並んでいる光景は珍しい。子供と一緒に動物にも注意をうながしているように見える。(石巻) |
|
|
|
|
|
|
この路上物件の創造者は、大石田の左官職人佐藤金太郎さん。その独特な作品が雪に埋もれて楽しそうだ。(大石田) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
車止用に置かれていたタイヤ。ダンゴ三兄弟ならぬタイヤ二兄弟。(仙台長町) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|