中学生の時に観たTVドラマがきっかけ。丹頂の撮影に自分もいつかは北海道へ行ってみたいと思ったのが最初でした。
───大学も農獣医学部をご卒業されていますが、もともと動物が好きで写真を撮り始めたのですか?それとも、写真が好きでその被写体が動物になったのですか?

 もともと小さな頃から動物には興味がありました。しかし、写真を撮り始めるきっかけになったのは、中学生の時に観た「池中玄太80キロ」というTVドラマでした。そのドラマでは丹頂の撮影に北海道まで行くシーンがあり、自分もいつかは行ってみたいと思ったのです。
 中学3年の時に親に「北海道に行ってみたい」と話をしましたが、まだ早いということで、高校生になってアルバイトをしてカメラを購入し、最初の春休みに北海道へ鶴を観に行きました。
 東京生まれの私にとって、初めて見る北海道の景色はとても新鮮でした。それがやみつきになり、毎年鶴を観に行くようになりました。

【ルピナスとエゾシカ】7月上旬、一面にルピナスの花が咲く。早朝はエゾシカがやってくる。しかし、撮影チャンスは数日に一度。チャンスが来たときの集中力が必要だ。
■カメラ:ニコンF4 レンズ:300mm F4 絞り:f4 絞り優先オート プラス2/3補正
 フィルム:ベルビア プラス1増感 撮影地:北海道十勝三股


鶴以外のさまざまな動物を観たり、北海道内各地を訪ねたことが、写真家になった時に大きな財産になりました。

───北海道では鶴の撮影だけが目的だったのですか?冬以外の季節にも訪れたのでしょうか?


 最初の頃は鶴を観ることよりも、北海道へ行くことが楽しみでした。何人かの仲間とユースホステルを泊まり歩いて、流氷や野生動物を観てまわりました。
 高校生の時は鶴を観に行くために、春休みの前に特別に休みをもらい、終業式前に北海道へ向っていました。大学生になってからは四季折々に訪れることができるようになったので、鶴以外の動物を観たり、行ったことのない地域へも行くようになりました。学生時代、こうして数多くの動物たちと出会ったことは、フリーの写真家になる時の大きな財産になり、自信の裏付けにもなりました。



【タンチョウのダンス】この鳥にあこがれてもう何年ここへ通っただろう。
おなじみの写真だが完璧なカットはなかなか撮れない。有名な場所ほど奥が深かったりする。
■カメラ:キヤノンEOS10D レンズ:500mm F4 RAW 太陽光モード ISO100 マニュアル 絞り:f5.6 
シャッタースピード:1/1250秒 三脚使用 撮影地:北海道阿寒町フィルム:ベルビア プラス1増感 撮影地:北海道十勝三股


───大学をご卒業されて、すぐにフリーの写真家になったのですか?

 実は一度は就職したのですが、働いている時でも冬が近づいてくると、北海道へ行きたくてしょうがなかったんです。
 そこで、仕事は一生懸命して業績も上げたので、入社1年目ではありましたが冬に20日間ほど休みが欲しいと頼んだのですが、当然聞き入れてもらえる訳がなく。けれどどうしても北海道に行きたかったので、会社を辞めることにしました。
 実はその頃はまだ、写真家になることよりも、冬の北海道に行きたいという気持ちの方が強かったのです。でも、「フリーター」になるというと格好悪い気がしたので、ちょっと格好をつけて「写真家」になると言って北海道へ向かいました。

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