「手触り」「形」、そして「描写力」。
どれもが現代のカメラにはない、深い味わいがある。


次々と新しいデジタルカメラが発売されている一方で、根強い人気を誇るクラシックカメラ。保管方法にも気を遣いながら、年代を問わず様々な機種で撮影を楽しまれているクラシックカメラの愛好家・久和野さん。撮影の目的に応じて4〜5台のカメラを使いこなされています。”世界一優秀な助手“と久和野さんが認める奥様と、休日の撮影を楽しまれるなど、その充実したフォトライフについてお聞きしました。


高校生の頃にカメラと出合う。
その時の感動が忘れられない。


 半世紀近くの写真歴をお持ちの久和野之さん。高校生の時に初めてカメラに触れ、やがて社会人になり手に入れたカメラがミノルタA3。以来、さまざまなカメラを手に楽しんでこられました。
 「私が高校1年生の時に、近所の方がコニカの蛇腹式のカメラを持っていました。昭和30年代の頃でしたので、現在と違いカメラを持っている人は非常に珍しかったのです。その方から1週間ほどカメラを借りることができて、とてもうれしかったのをよく憶えています。
 それからは自分のカメラが欲しくなりましたが、学生の身ではなかなか買うことはできません。社会人になってようやく手に入れたカメラがミノルタA3でした」。
 そのカメラはそれから7〜8年にわたり使い続け、久和野さんは新婚旅行にも持っていかれたという、たくさんの思い出が詰まったカメラでした。
 「そうしたらなんと、旅行の途中でシャッターの羽根が1枚動かなくなってしまったのです。しかしその後も何度か修理に出して使い続けました。やがて当時の高級一眼レフのニコンFに憧れるようになりましたが、まだまだ高価で買うことはできません。そこで友人が持っていたニコマートFTNを『ぜひ、俺に使わせてくれ!』と強引に買い取りました(笑)。それが中古カメラを買うようになったきっかけです」。


ご自宅の庭で“世界一優秀な助手”の奥様に、露出を計ってもらいシャッターを切る久和野さん。


新機構を搭載した国産カメラから、
個性的な海外のカメラまで。


 当時、日本のカメラは次々に新機能を搭載し、世界的に見てもその優秀性は群を抜いていました。そのようなエポックメーキングとなる節目の時期に発売された機種にこだわりを持っているという久和野さん。
 また、国産に限らず海外のクラシックカメラにも大変興味を持たれています。
 「海外のクラシックカメラには、大きく二つの流れがあるように思います。ひとつはドイツのライカ。そのコピー機も合わせ、ライカは主流のひとつだと言えます。ライカは日本のカメラの手本にもなっていて、見た目にもオーソドックスな感じがしますね。
 もうひとつはイタリアをはじめとする独自路線の機種。日本では考えられないような形・機構があり、とても面白いものです。日本のカメラは形に無駄なところがなく、機能的につくられていますが、海外のカメラには生産国ごとの特徴があったりします。私のお気に入りのひとつが、イタリアで半世紀以上も前につくられたコロール。デザインが個性的で、正に陽気なイタリア文化が反映されているようです」。
カメラのキタムラ新宿中古買取センターで、数多くのクラシックカメラを購入している久和野さん。
手にしているのは、トプコンREスーパー。

キヤノン 7
発売開始:1961年(昭和36年)
35mmフォーカルプレーンシャッター式距離計連動カメラ

オリンパス 35DC
発売開始:1971年(昭和46年)
距離計連動、プログラムEE式のコンパクトカメラ

オリンパス ペンF
発売開始:1963年(昭和38年)
世界初で唯一の一眼ハーフカメラ。

コロール(イタリア)
発売開始:1952年(昭和27年)
ミラノ生まれの大衆カメラ、沈胴式のレンズと120フィルムを使用するアルミ製のカメラ。
 

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