正月三が日、全国で約9300万人余りが神社仏閣に初詣に出かけたという。昨年より若干減ったそうだが、それでも国民の8割近くが新しい年の幸を祈願し、目標達成を誓ったことになる。
多くの寺社では参道に縁起物の出店が並び、威勢のよい掛け声とともに熊手やだるまが売られている。大きなものが売れると売り子さんが「イヨッ、しゃんしゃんしゃん!」と派手な手拍子とともに「おめでとうございます」と福を念じ唱和してくれる。
このだるまの生産で名高いのが群馬県高崎市で、全国で作られるだるまの約8割はここで作られているという。かつては全国各地に独特のかたちのだるまがあったのだが後継者難などで生産者は減り続け、高崎だるまが全国で売られるようになったようだ。
高崎市が有数の産地になったのはその気候によるところが大きい。晩秋から冬にかけ晴天の日が多く、空っ風が吹き空気が乾燥している風土を生かしてだるま作りが始まったのは江戸時代、約200年前と言われている。だから冬場になるとだるまを乾燥させるため、真っ青な空を背景に真っ赤なだるまが並べられ、それは見事な風物詩となる。
だるまが作られる工程を簡単にたどると、まず木型にだるまの生地を貼り付けて張り子を作り、これを乾燥させ、白一色に塗り、その上に赤や肌色を重ねていく。そして、鶴亀と松竹梅という縁起のよい図柄だけで顔を描き、顔の周りには「商売繁盛」や「家内安全」「福入」などの文字を書き入れて完成となる。
写真のだるまでは「福入」の部分に発注者の名前が書き込まれているが、業者は願をたてる個人や企業からのこんな注文にも応じてくれる。
さて、だるまが珍重されるのはそれが「七転び八起き」という不屈の努力を体現しているからだろう。努力が求められるのは選挙や受験、経営だけではない。いい写真が撮りたい!今年こそ入賞したい!そんな目標をだるまに託してみてはいかがだろう。
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