滝田さん作品
【石狩灯台】石狩灯台から、石狩川を渡った対岸から狙う夕日。川辺に揺れるすすきが光るような構図を意識したとのこと。奥に見える煙突のようなものが石狩灯台。

滝田さん作品
【天神山】初冬の天神山。最後に紅く染まったモミジの周りには色とりどりの落ち葉と真っ白な雪が。


【石狩灯台】

 佐田啓二、高峰秀子主演の松竹映画「喜びも悲しみも幾年月」(昭和32年)の舞台にもなった灯台がこの石狩灯台です。
 明治25年の開設といいますから、100年以上の歴史があります。
 現在は日本海と石狩川に挟まれた河口付近に、豊かな海浜植物が自生するはまなすの丘公園がありますが、灯台はこの公園の入り口付近に位置しています。
 100年の間に石狩川が運んでくる土砂が堆積し、徐々に砂嘴(さし)が成長して現在の地形になったのです。
 公園の一部は石狩市海浜植物保護地区に指定されていて、春から秋にかけてさまざまな花が咲き乱れます。
 特に6月下旬から7月上旬に開花するハマナスは絶好の被写体。
 ただしハマナスの花は、ある花が咲いては枯れ、また別の花が咲いては枯れというサイクルで、一面に咲き乱れるイメージではないので、撮影時は構図の工夫が必要かもしれません。

【天神山】

 市営地下鉄南北線南平岸駅もしくは澄川駅から歩いて15分程度の、標高100mにも満たない小さな山ですが、斜面は緑地として保護されており、札幌中心部を見渡すことができます。
 春には桜と梅が咲き、花見スポットとしても有名です。
 坂が多い場所ですが、散策道は舗装され、駐車場、車椅子用トイレもあり整備が行き届いているため、気軽に出掛けることができるでしょう。
 また敷地内には日本庭園もあり、被写体には事欠きません。
 その中でも滝田さんのお気に入りは、散策道入り口付近の一本のモミジ。
 この木は背後の山に遮られ、日の射す時間が短いためか、葉が紅く色付く時期が比較的遅いといいます。
 この木が紅く染まる頃には、他の木々から落ちた葉が堆積し、赤や黄色の色彩豊かな絨毯ができあがるそうです。

   すすきののど真ん中に焼鳥店を構えて40年になるという滝田さん。「こだわりの炭火を使った調理台はとても熱いんです」と笑いながら話をされていましたが、いまだに現役で調理場に立っているそうです。
 「ウチはうまいから。うまいの喰わせるから今度ぜひ来てください。」と胸を張っていらっしゃる姿は、近年すすきのの居酒屋が激減している状況の中で、生き残った自信に溢れていました。
 その滝田さんはもともと日本画の収集が趣味でした。
 それを知った、お客のプロカメラマンから写真を勧められたのが15年ほど前。自分の性格から、始めれば凝るのがわかっていた滝田さんは当初は断っていたそうですが、ペンタックスのマニュアル機を譲られ、とうとう写真を始めたのだとか。
 はじめは道内の観光地を巡っての撮影がメインだった滝田さんも、「人と同じことをやっていても面白くない」と元来の凝り性を発揮して活動範囲を広げ、今では強者がひしめく「カメラのキタムラ四季のフォトコンテスト」でも上位入賞する腕前に。


滝田さんが店長を務める焼鳥店の店内では、お品書きと並んで滝田さんの作品が同居。

 現在ではニコンF3とマミヤRB67を駆使する滝田さん。地元ならではの地の利を活かして、「札幌の風景」を大事にしたいのだとか。
 いつの頃からか、店に飾った作品を「買いたい」と申し出られるお客さんが現れはじめ、写真を始めた頃は懐疑的だった奥さんから、最近では「今日は撮影行かないの?なんて言われるようになって」と大笑いされていました。


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