日本の秋の美しさを詩的に捉え、作品を見た誰もが、自分でも撮ってみたと思える作品が最終的に残ったと思います。写真はただ、技術的にうまいというだけではダメ。そこにプラスアルファの要素が必要です。自分の撮りたかった世界がちゃんと表現されているか、凝縮されているか、写真に自分の気持ちの高まりが表れているかが大事です。気持ちの高まりとは、手応えであり、そのときの充実感です。「今まで自分が撮った写真の中で、これ以上のものはない」というような応募作品に期待したいです。
――夏のフォトコンテストの作品募集が始まりますが、応募される方へのアドバイスがあればお聞かせください?
「夏の写真」を考えた時に思い浮かぶのは、青空や海などです。特に水は夏の被写体には最適だと思います。その水をどうやって捉えるのか、海と川でも違うと思いますし、水が主役の写真を意識してもいいと思います。その際、デジタルカメラは水がきれいに撮れるので、両者のマッチングがいいことを知っておいて欲しいと思います。
今はカメラもデジタルになって、どんな写真も比較的容易に撮ることができる環境です。こうした中で撮る時の気持ちをいかに高められるかが重要です。それと事前に情報を集めて学習しておくことも大事です。その上で日頃から自分が撮りたいイメージを描いておくことが必要です。
――デジタルカメラが普及した今、大事なのはどのようなことでしょうか?
写真を大きくプリントしてみることです。撮った画像をモニターで見るだけでなく、せめて四つ切くらいには伸ばして欲しいですね。それを眺めたり、壁に貼ってみたりすることで写真は上達します。写真はカメラで撮るだけでは完結しません。プリントまですることで作品として完結します。しかも、きれいなプリントにしなければ意味がありません。自分でプリントするのでは、なかなか思い通りの仕上がりにはなりません。やはり専門店のプリントに出すことが大事です。特にグラデーションは専門店のプリントでないと出にくいものです。パソコンに取り込んでモニターで見ることは、写真を楽しむことにはなりますが、写真を上達させる手段にはなりません。
――本日はお忙しいところを、ありがとうございました。 |