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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2011.07.15【Vol.020】

三脚の話し②

今回は先週の続きということで三脚のお話です。前回は雲台の話をしましたが、雲台はカメラを支え、またカメラの角度や位置を決めるのに必要な撮影用品ということでした。そして、三脚はカメラもしくはカメラやレンズを取り付けた雲台を支える台座になります。夜景など遅いシャッタースピードで撮影する場合や、マクロなど慎重なピント合わせが必要なときなどに大変便利な撮影用品です。カメラを支える道具としては三脚のほかにも一脚や二脚がありますが、それらは単独で自立しないので固定式の台座にはなりません。そのため、一脚などは、動きのあるスポーツなどカメラの取り回しが多い場合によく使われます。

さて、本題の三脚についてですが、雲台のように構造の違いによる種類はありません。脚の開脚角度やたたみ方、高さ、脚の伸縮方法などの違いはあっても基本的な構造は同じで、中心(センターポール)から等間隔で三本の脚が出ている点はすべて共通です。むしろ素材による違いがポイントで三脚を選ぶ基準のひとつになります。

主に使われる素材はプラスチック、アルミニウム、マグネシウム合金、カーボンなどですが、昔は木製の高級三脚などもありました。それぞれメリットとデメリットを兼ね備えているので、どの素材がベストかは言い切れませんが間単に特徴を見ていくと、プラスチックは軽量、安価ですが強度がなくあまり重い機材には適しません。アルミ製やマグネシウム合金製は、種類が豊富で大型から小型まで用途に応じてセレクトしやすく、また強度もあるので安定した撮影が行えます。ただ重量がそれなりにあるのがネックです。カーボン素材は軽量でありながら強度があり、振動の吸収性も高い素材です。ただ、同じサイズのアルミ製やマグネシウム製と比較してとても高価です。

以上のように素材による違いで大きく分かれる三脚ですが、もう一つ選ぶ基準として三脚の高さが挙げられます。

一般的によく言われるのが、撮影者の目線の高さまで伸びる三脚を選ぶのが基本とされているようです。おそらく三脚使用時に撮影者が腰を屈めずに楽な姿勢で撮影するためにこういった基準が言われるようになったのだと考えられます。高さのある三脚はかなりの種類があるのでこの基準に当てはまるものを探すのはそれほど難しくないはずです。ただ、高さだけかせげても、脚が細くなったりしては安定度が減少します。そのため脚が太いものを選択すると今度はかなり大型の三脚を選択しなければなりません。基準とは言え、撮影者の身長がすべて同じとは限らないので、あくまでも一つの目安と考えるほかないでしょう。しかもこの基準はあくまでも撮影者がアイレベル(目線の高さ)で撮影するときのことだけを基準にしています。撮影が常にアイレベルとは限らず低い位置での撮影も多々あるはずですので、自身がどのような被写体を多く撮影するかということも三脚を選ぶ基準にしたほうがいいでしょう。車で撮影地まで行く場合なら大型の三脚もあまり問題ないでしょうが、野山などフィールドを長い時間歩く場合や手持ちでの撮影と平行して行う場合などは軽い三脚のほうが楽でしょう。

次に、三脚の使い方ですが、脚はなるべく太いほうから伸ばしたほうがいいとされています。また開脚も途中で止めずに一杯に開いたほうが安定します。それと三脚の脚を手でつかみながら撮影される方が見られますが、なるべくでしたら、三脚には体が触れないようにしてください。不用意に三脚に振動が伝わってぶれの原因になってしまう恐れがあります。それとせっかく三脚を使用するのであればカメラのシャッターもケーブルレリーズを使ったほうが一層ブレ軽減につながります。

最後に、三脚使用の注意点ですが、当然のことながら三脚禁止のポイントでは使用できません。また三脚を運ぶときに、脚が体の後ろに突き出た状態で脇に抱えるようにして運ぶのは、振り返った場合など周囲に危険が及ぶので避けたほうがいいでしょう。

前回と今回2週で三脚についてのお話を簡単に行ってきました。三脚は数ある写真用品のなかでもカメラ、レンズと並んで有名なわけで、写真愛好家の方も一度は使用したり、もしくは所有しておられると思います。しかし、カメラを固定し慎重な構図を決めたり、ブレを軽減する目的という大きさのわりに地味な役割しかしてくれません。そのため多くの場合手持ちで撮影できてしまうのではと思われたり、重い、かさばる、思ったような構図が定め難いといった点で億劫がられているのも事実です。確かに重くかさばり、操作も慣れるまではかなり厄介です。ただ、よく考えてみると、ブレを軽減するという一見地味な役割ですが、結果的には写真をボツにするかもしれない要素を軽減してくれるわけです。露出や構図は後処理で何とかリカバリーできても、ブレに関しては後処理で補うことはできません。意図的にブラして撮影するなら別ですが、ブレていてはとてもいい被写体を撮影しても、その凄みが半減してしまいます。

常に撮影に持参しなくてもいいかも知れませんが、少しでもぶれる可能性が高い場合など、手持ちでがんばって撮影するより、むしろ三脚を使ったほうが、効率的にブレる確立を減らして撮影できるはずです。

ひとまず、回数を多く重ねて三脚になれることが、自分なりのいい三脚の見つけ方になるのかもしれません。