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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2012.01.20【Vol.047】

TTLの話

一眼レフカメラの用語で普段何気なく使っているTTLという言葉。露出に関係する機能なのか、レンズに関係する機能なのか一体何のことなのかというご質問をいただくことがあります。

まずTTLとは、「Through the Lens」「Through the Taking Lens」「Through Taking Lens」といくつかの語源で知られていますが、東京光学(トプコンという名前でも知られています)が世界初のTTL一眼レフカメラ「トプコンREスーパー」の宣伝のために作った造語「Through the Lens」の略が正式のようです。

語源はともかくとして、TTLとは、レンズを通ってきた光をカメラ内部に導く方式のことです。従来(トプコンREスーパー)までのカメラは外部露出計で測った露出を機械的に連動させたりと複雑な機構が伴ったり、被写体によっては大幅に露出がずれてしまうこともありました。初めはファインダーに露出計をくっつけてみたところ、レンズからの入射光を測光することができ、それがTTLの発見につながったそうです。

TTLだとフィルム面、今で言えば撮像素子で露出を測る事で、撮影したい被写体へ向けての露出がより正確になり、またフィルターなどの影響による露出倍数の計算、露光量減光補正を行なわなくて済むようになるといった大きなメリットがあります。露出以外にも、被写体像を検知して行なったりするオートフォーカス方式の発展にも大きく貢献しました。

他には、現在のストロボでは一般的になったTTL調光など、被写体の露光量をダイレクトに伝達する機構としても利用されています。また、今では当たり前のようになった評価測光、スポット測光など測光範囲を変化させた露出計も考えだされました。

何気ない発見から、今ではあらゆるカメラで当たり前のように使われているTTL。今から約50年も前にできた技術ということにも驚きますが、当時の開発者たちの発想にはとても感動させられます。

参考文献 「カメラと戦争-光学技術者たちの挑戦」小倉磐夫 2000年 朝日文庫