種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2012.01.27【Vol.048】
テレコンとは、いわゆるコンバージョンレンズといわれる撮影アクセサリーの一つで装着されているレンズの焦点距離を長くするためのものです。ケンコー「テレプラス」、コムラー「テレモア」といった製品で、日本では一眼レフが主流となってから手軽に望遠撮影が楽しめると、写真愛好家の中では大変有名でした。
昔は望遠レンズの種類も少なく、300mmの望遠レンズともなればかなり専門的になり大変高価でしたので、一般の写真を趣味にしている人にはなかなか手に入るものではありませんでした。しかし遠くの被写体を大きく撮影してみたいと写真愛好家であれば誰でも一度は考えたと思います。
そのため、カメラのレンズに望遠鏡を重ねたりして高倍率の撮影ができるという観点から、比較的簡単に作れるテレコンは古くから撮影アクセサリーとして販売されてきました。実際に双眼鏡を接続して望遠撮影を行なうカメラも存在しています。単にテレコンと紹介しましたが、実際にはマスターレンズ(カメラに装着している元のレンズ)の焦点距離を短くするワイドコンバージョンレンズもあります。レンズの前に装着するフロントコンバーター、ボディーとレンズの間に装着するリアコンバーターと大きく2種類に分かれますが、現在ではリアコンバーター方式が生産されています。主なカメラメーカーでは2種類~4種類ほどのラインナップがなされており、1.4倍~2倍の倍率を持つものが製品化されています。また、ワイドコンバーターレンズは主にコンパクトカメラ用に一部見かけることができます。
では実際のテレコンとはどんなものでしょう。テレコンの本来の機能であるマスターレンズの倍率アップは当然ですが、メリットとして最も大きなものとして挙げられるのが、機材の携帯性でしょう。望遠ズームレンズを数本携えるよりは一本のマスターレンズと倍率の違うテレコンを持っていくほうが断然軽量です。最短撮影距離は基本的に引き継がれますので、最短が長い単焦点の超望遠レンズより、最短が短いズームレンズなどのほうが近づいてより大きく撮影できます。デメリットは開放F値が1.4倍なら1段(F4がF5,6)2倍なら2段(F4がF8 )と暗くなってしまうことです。また倍率が上がるにつれ画質の低下(主にシャープさ)は目立ってくるのですが、一昔前のテレコンに比べ圧倒的に画質は向上しており、やや絞りこんだり、デジタル処理などそれらデメリットを僅かでも軽減することも可能です。なお、すべてのレンズにおいてそれらコンバージョンレンズが使用できるわけではなく、特に高倍率ズームレンズやエントリークラスのレンズでは使用ができないもののほうが多いようです。また機能的な制限(MFになる)も出たりもします。
現在では一眼レフのセンサーの関係上実際の焦点距離から1.6倍程度の望遠撮影が可能となり、自然と実際の焦点距離よりも長い画角を目にする機会が多くなりました。またF値の変更がない点、テレコンよりもメリットがあります。ただしそれはあくまでセンサーがフルサイズと比較して小さい場合のみ有効です。当然そのメリットを使用して望遠を得ることも可能ですが、小さくて近づけない被写体などに対し500mm、600mmと被写体に応じた機材のセレクトができる環境では多いに役立つアイテムと考えることもできるでしょう。