種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2012.04.13【Vol.059】
RAWの話その1でも取り上げたように、RAWで撮影しておけば撮影後の調整幅にゆとりが出ると話しました。ですが、撮影の基本である露出を後で大幅にコントロールして失敗を修正するために使用したり、ピンボケやブレを救済するための設定ではないこともおはなししました。ではいったいRAWで撮影したことですぐに作品に活かせるポイントとは何が一番大きいでしょうか。
そのひとつにホワイトバランス(WB)の調整があげられるでしょう。
デジタルカメラになり、ISO感度、WBが自由に変更できるようになり撮影は格段に効率が上がりました。特にWBの精度が進歩してくれたおかげで、フィルム時代に行っていた各種テスト撮影も必要なくなり、手軽にその場のライティングに応じた色味を出せるようになりました。プリセットWB(電球や太陽モードなど)を変更することでワンタッチで色温度が変換でき、見た目の印象を変更できるWBですが、朝夕の光の変化が激しい場合など最適なWBを決定しかねるときなど、後のPC作業におけるRAW現像で細かな調整ができるのは大きなメリットです。カメラで手軽に行えるプリセットとは違い、被写体の細かな部分を指定してWBを変更できるクリックWBなど、メーカー純正のRAW現像ソフトで手軽に行えます。もとの画像にもよりますが、WBを細かく調整することで、本来見えていたときと同じような雰囲気にもすることができたり、もしくは特定の色の印象を強調したイメージの作品作りが行いやすくなります。
また、本来正しく白を再現するための機能ではあるのですが、複雑な光源下では思うようにWBが決まりません。プリセットWBの変更だけでは、決められた色温度が変わっていくだけですので、どうしても色かぶりの起こった画像ができてしまいます。カメラ内で色温度を変更しながら全パターン撮影すればOKですが、撮影時はそこまでできません。露出の明暗同様もしくはそれ以上に作品のイメージを決定付ける要因の色味に直結する機能だからこそ、露出を変更する幅よりも細かなWBの調整をしてみたいものです。それと同時にキヤノンのピクチャースタイルなど、絵作りを決定する項目も作品の印象を決定付ける大きな要因ですので、RAW現像時の調整では欠かせない項目として挙げられるでしょう。
元画像
クリックWB
WB微調整
WB調整後