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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2012.12.21【Vol.095】

クラシックカメラ話「スメナ8M」

ブームといって良いのかわかりませんが、写真を趣味にされる方がここ10年で急速にふえています。デジタル一眼レフが手ごろな価格になり、また扱いも簡便になってきていることが最大の要因と思いますが、日本はもともと写真を趣味する人口が多い国の一つなのかも知れません。 また、写真人口の増加にともないフィルムカメラでの撮影を趣味にされる方がまた増えてきているようです。数回に一度コラムでクラシックカメラ話を掲載させていただいておりますが、今回は日本で「トイカメラ」といわれるジャンルに属している「スメナ8M」をご紹介します。

トイカメラといっても、大小さまざま、フィルムのフォーマットもまちまちでどこからどこまでをトイカメラと呼ぶのかはわかりませんが、このスメナ8Mのような旧ソ連製の樹脂でできたチープさが「トイカメラ」と呼ばれる一つの所以なのかもしれません。 スメナ8M(SMENA 8M / CMEHA 8M)はもともとスメナ8というカメラのモデルチェンジ版のカメラで、1970年ごろにスメナ8Mに変更されたようです。 1950年代から製造され始めたスメナ8は旧ソ連のレニングラード光学器械(LOMO)が製造していた35mmフィルム使用のコンパクトカメラです。もともとはGOMZという国営光学機器工場がソ連のカメラを製造しており、世界初の35mmフィルム一眼レフカメラ「スポルト」が生産されたのもこの工場でした。ソ連のカメラには、ドイツ製カメラのコピー製品が有名ですが、オリジナリティーあふれる構造のカメラも多数存在しています。レンズの設計やコーティング技術など詳しくわかっていない部分も多数あるのですが、軍事産業として必要なレンズ光学系はしっかりしたものが多いようで、肝心の写りは色の隔たりはあるものの、コントラストが比較的高くシャープな写りをするものも存在します。

スメナ8MはT-43と呼ばれる3枚構成40mmF4の小さなレンズが装着されています。シャッター速度はB/ ~1/250の6速レンズシャッターです。絞りは8枚あり、今で言う円形絞りに近い形状になってくれます。自動巻き止めもなくカメラとしては普及品という位置づけですが、シャッターにはドイツ式シンクロ接点が、ボディーにはアクセサリーシューが付いているのでストロボやフラッシュでの撮影も考慮されています。ボディーは総プラスチックで、一部に金属が使用されているだけのチープなものです。フィルム室はダブルパトローネでの使用も可能なように設計されていますが、通常の35mmフィルムの使用も問題なく行えます。1950年代からソ連崩壊後の1990年台半ばまで生産され続けたカメラですので、ソ連のカメラ特有の生産数は非常に多いカメラです。ただ、トイカメラとよばれながらもチープさに反して以外によく写るとのことで今でも非常に人気のあるカメラです。ライカ、コンタックスというドイツ製の高級ブランドではないのですが、そこに負けない独特の雰囲気としっかりした写りがトイカメラとされるカメラの大きな魅力なのかも知れません。

スメナ8M

スメナ8M