富士フイルム X-H2 × 髙橋忠照|北の漁場の男たち

高橋忠照
富士フイルム X-H2 × 髙橋忠照|北の漁場の男たち

はじめに

富士フイルムから今秋発売された「X-H2」は、新開発の裏面照射型の第五世代センサーを搭載した高画質型フラッグシップ機です。今春に発売された「X-H2S」と同一で機能的な外観を採用したことで、コストを抑えつつXシリーズ史上、最高の高画質を体感できる「X-H2」。

今回はそんな発売間もない「X-H2」を使用して北海道の秋の味覚でもある秋サケの定置網漁の現場を取材してきましたので、写真とともにご紹介致します。

現場を意識した外観

漁船などからの撮影は波の影響による揺れが大きく、手持ち撮影となります。そのため、「機動力」はもちろん、まだ未明の暗夜の中でも「一瞬のシャッターチャンス」を確実にモノすることが求められます。

X-H2はグリップも深く、カメラの重心に近い位置でがっちりホールドできるので、海水による手の滑りや、冷たい潮風に晒され続けることで低下する握力でもしっかりカメラを保持できます。

また、「X-H2」のカメラ重量は「660g」と軽いですが、深いグリップの効果も相まって、より重量は軽く感じられます。

更に、「X-H2S」と同様、右天面に配置された「大きな液晶」の採用により、カメラを覗いたりダイヤルを注視することなく、「ひと目で現在のカメラ設定が確認」できるので、揺れやうねりが伴う現場でも即座に撮影が開始でき、より多くのシャッターチャンスに巡り合えるようになりました。

「X-H2」の深いグリップは過酷なフィールドでも重心に近い位置でがっちりホールドできるので、撮影の終始を通じて安定感ある撮影ができます。

暗い場所でも高画質

「X-H2」は約4020万画素の高画質型フラッグシップ機ということもあり、高画素と高解像度が強みのカメラです。

今回の取材はオホーツク海に面した、北海道枝幸郡枝幸町にある枝幸漁協に所属する第15北浜丸に乗船しましたが、未明の午前3時からの撮影ということもあり、高感度耐性に優れた「X-H2」がその威力を存分に発揮してくれました。

■使用機材:FUJIFILM X-H2+XF10-24mmF4 R OIS WR
■撮影環境:ISO2500 F4.5 1/7 AF-C・ゾーン 手持ち撮影

午前3時、続々と運び込まれる氷を手際よくフォークリフトで降ろしていきます。ISO2500の高感度でもディテールは滑らかでノイズは気にならず驚くほどシャープで美しい。

■使用機材:FUJIFILM X-H2+XF10-24mmF4 R OIS WR
■撮影環境:ISO2500 F4.5 1/14 AF-C・ゾーン 手持ち撮影

フォークリフトで運ばれてきた氷を次々に漁船に搬入しました。漁船の淡い光やそれに映し出される氷の質感、男たちの「静」と「動」もX-H2は細部を繊細に捉えて高画質な写真に仕上げてくれます。

圧倒的なボディ内手ブレ補正

暗い場所・・・
不規則な揺れ・・・

そのような状況下での撮影は、ISO感度を上げてシャッター速度を稼ぐしか方法はありませんが、それでもなるべくISO感度は低めにしたいものです。「X-H2」に搭載された7.0段分の強力なボディ内手ブレ補正は、ISO感度を抑え、手持ちでスローシャッターを余儀なくされるような場面でも、正確に表現してくれます。

■使用機材:FUJIFILM X-H2+XF10-24mmF4 R OIS WR
■撮影環境:ISO6400 F4.5 1/8 AF-C・ゾーン 手持ち撮影

出港した漁船のキャビン。エンジンの振動、不規則な船体の揺れが加わる場面でも、「X-H2」の強力なボディ内手ブレ補正のお陰で、1/8秒の手持ち撮影でも暗闇と計器類の光が織りなす、キャビンの臨場感を表現してくれます。

また、ISO6400の高感度でもノイズも気にならず画質は極めて繊細に描画してくれています。

■使用機材:FUJIFILM X-H2+XF10-24mmF4 R OIS WR
■撮影環境:ISO1600 F4.5 1/17 AF-C・ゾーン 手持ち撮影

漁場に到着して男たちが一斉に動き出し、定置網の袋状になっている最奥部の底網を手繰り寄せると、漆黒の海底から銀毛の魚体が徐々に表層に湧きあがります。

男たちの動きに合わせ船体が大きく左右に揺れ動く。そんな中でも「X-H2」は抜群の安定性でその期待に応えてくれました。

塩被りする過酷な現場にも適応する高剛性

海の取材で最も脅威なのが、海水が機材に与える影響です。「X-H2」は79点のシーリングを施した防塵・防滴・-10℃耐低温構造で過酷な現場でもトラブルなく、ストレスフリーで撮影ができるので、高い信頼性があります。

■使用機材:FUJIFILM X-H2+XF10-24mmF4 R OIS WR
■撮影環境:ISO1600 F4.5 1/45 AF-C・ゾーン 手持ち撮影

飛び散る塩水と銀鱗、想像を絶する水揚げの現場、通常は躊躇するような場面でも「X-H2」の信頼性は一歩、更に一歩と滝のような被写体に向かう勇気を私に与えてくれます。

■使用機材:FUJIFILM X-H2+XF10-24mmF4 R OIS WR
■撮影環境:ISO2500 F4.5 1/27 AF-C・ゾーン 手持ち撮影

帰港して荷下ろしを待つ約3000匹の秋サケ。「X-H2」の高精細な描画力はリアルな瞬間を至高に表現してくれます。

■使用機材:FUJIFILM X-H2+XF10-24mmF4 R OIS WR
■撮影環境:ISO2500 F4.5 1/90 AF-C・ゾーン 手持ち撮影

秋サケの荷下ろしは大型のたも網で掬い上げます。全体重をかけて秋サケを網に押し入れるたびに飛沫が舞う。「X-H2」は飛沫を気にすることなく、海の男たちをシンプルに切り取ってくれます。

■使用機材:FUJIFILM X-H2+XF10-24mmF4 R OIS WR
■撮影環境:ISO1250 F4.5 1/220 AF-C・ゾーン 手持ち撮影

たも網は2人掛かりで掬い上げます。水揚げされる漁獲量の数だけ、この動作を繰り返します。私の「X-H2」は相当の塩水飛沫を浴びていますが、こんな場面でも心地よいシャッター音を休むことなく響かせてくれており心強い気持ちになりました。

細部を捉える高画質

■使用機材:FUJIFILM X-H2+XF16-80mmF4 R OIS WR
■撮影環境:ISO1250 F5.6 1/90 AF-C・ゾーン 手持ち撮影

水揚げされた秋サケは、性別毎にそれぞれのサイズや魚体の状態により選別されていきます。「X-H2」の約4020万画素の高画質が手際よく選別作業する男たちを細部まで表現してくれます。

■使用機材:FUJIFILM X-H2+XF10-24mmF4 R OIS WR
■撮影環境:ISO1250 F4.5 1/150 AF-C・ゾーン 手持ち撮影

選別された秋サケが宙を舞う。生け簀を向くことなく放たれた秋サケが正確に水に飛び込んでいく様は、まさに職人芸ですね。

■使用機材:FUJIFILM X-H2+XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR
■撮影環境:ISO125 F2.8 1/70 AF-S・シングル 手持ち撮影

秋サケの細部まで精細に表現してくれる「X-H2」の描画力。この記事が公開される頃には全国の食卓に並んでいることでしょう。この「X-H2」の高画質な性能を是非とも体感して頂きたいと思います。

まとめ

「X-H2」の能力を同機で撮影した写真を交えてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。

暗い場面や揺れる場所でも約4020万画素の高画質と7.0段分の強力なボディ内手ブレ補正により、手持ちでもブレずにスローシャッターでの撮影が可能。しかも、防塵・防滴・-10℃耐低温構造の高剛性のお陰で、過酷な環境でもタフに撮影できることがお分かり頂けたと思います。

同クラスのフルサイズ機のおおよそ半分の価格にも関わらず、この能力で様々な被写体がシャープに手持ちで簡単に、しかも富士フイルムの誇る「記憶色」でより「キレイに撮れる」となると、一度試してみる価値は十分にあるのではないでしょうか。

 

■撮影協力
北海道枝幸郡枝幸町 第15北浜丸の皆さん

 

■自然写真家:高橋忠照
1982年北海道札幌市生まれ・山形県育ち。上富良野町在住。陸上自衛隊勤務を経て、2019年自然写真家に転向。自衛隊時代に培ったスナイパー(狙撃手)の技能を生かし、自然の中に同化して野生動物を探し出す独自のスタイルでの撮影を得意とする。作品は小学館、チャイルド本社、フレーベル館等の児童書や雑誌、カレンダーなど掲載多数。
公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員・富士フイルムアカデミーX講師

 

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