富士フイルム「XF27mmF2.8 R WR」と雨を楽しむ~まち歩きスナップのヒント
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「雨だ。撮影に出かけよう」
朝起きたら、雨だった。
「せっかく今日は写真を撮りに出かけようと思ったのに」とちょっとがっかりしながら外を見る。きっと多くの人がそんな経験をしたことがあるだろう。
でも、実は、雨は楽しい。雨だからこそ撮ることができる写真がある。
防湿庫からひょいとカメラとレンズを取り出して、出かけることにした。
選んだのは、富士フイルムのXF27mmF2.8 R WRとX-T5。
XF27mmF2.8 R WRは雨の日におススメのレンズだ。
XF27mmF2.8 R WRを雨の日に勧める理由
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雨の日は荷物が多くなる。だから機材もコンパクトなほうが良い。
XF27mmF2.8 R WRは長さ23mm、重さ84gと、ものすごく小型軽量。XFレンズの中でも群を抜いて薄い。例えば、左手で傘を持ち、右手だけでカメラを持ってシャッターを押すこともできるくらい軽い。しかも防塵防滴。今回は同じく防塵防滴のX-T5と組み合わせた。だから、多少濡れても全く気にならない。まさに、雨の撮影が楽しくなる組み合わせ。
XF27mmF2.8 R WRは35mm判換算で41mm相当だからスナップに向いている。さらにF2.8ならではのボケ感を活かした撮影もできる。とにかく、雨の日におススメのレンズなのだ。
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■撮影環境:1/220秒 f/5.6 ISO800
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■撮影環境:1/100秒 f/5.6 ISO800
今回は東京都新宿区の四谷をぶらりと歩いてみた。駅前はオフィス街だが、一歩中に入ると、とたんに下町の雰囲気が漂う。
雨の四谷へ
この日は、たくさん雨が降っていた。
XF27mmF2.8 R WRとしんみち通りを歩き始める。
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■撮影環境:1/250秒 f/2.8 ISO500
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■撮影環境:1/90秒 f/2.8 ISO500
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■撮影環境:1/75秒 f/2.8 ISO800
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■撮影環境:1/50秒 f/6.4 ISO500
雨の日はミラーの水滴が気になる
つやつやと濡れた葉
しっとりとした地面と散った花びらの存在感
ソール・ライターの赤い傘をふと思い出す
XF27mmF2.8 R WRはオートフォーカスが速く、撮影リズムが崩れない。
雨の日はしっとりとした空気感を表現したくて、アンダーで撮る。XF27mmF2.8 R WRはその気持ちに応えてしっかりと繊細に表現してくれる。ああ、楽しい。ぐんぐん撮りたくなる。
雨の日の必需品、「透明度の高い傘」と「絞りリング」
雨の日に傘は欠かせないけれど、私はビニール傘を必ず選ぶ。
こだわりは「透明度」。透明度が高いと、傘越しの景色がしっかりと透けて見える。
例えば、にぎやかなネオンを傘越しに撮ってみる。
傘の水滴にピントを合わせることで、雨と街の喧騒の両方を表現できる。
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■撮影環境:1/1100秒 f/2.8 ISO500
また赤い傘を差す人と出逢った。
手元の傘をぐっと下げて、画面にたっぷりと入れる。
さっとF2.8に変えて撮る。
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■撮影環境:1/450秒 f/2.8 ISO500
赤い傘と街のほのかな灯りがしっとりとした雨を表現する。
そう、こんな風にとっさにF値をコントロールしたいときに欠かせないのは、絞りリング。
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XF27mmF2.8 R WRは、2013年に発売されたXF27mmF2.8をリニューアルしたレンズ。いわゆる2世代目だ。XF27mmF2.8 R WRから絞りリングが採用され、操作性が向上した。絞りリングがあると、左手で絞りリングをさっと回して直観的に絞りを変えることができる。雨の日はもちろん、スナップに絞りリングは欠かせない。
それにしても、改めて上から見てみると、XF27mmF2.8 R WRの薄さに驚く。
街にひそむデザインを見つける
足元の道も、雨で表情が変わる。
例えばアスファルトの質感。晴れのときとは印象が違う。
路面標識にぐっと近づいて撮ってみる。
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■撮影環境:1/680秒 f/2.8 ISO500
一部を切り取ることで、デザインのようになる。
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■撮影環境:1/420秒 f/2.8 ISO500
この標はなんだろうと思いながら、真上から細かなアングルの調整をし、上に薄くオレンジのラインを入れてみる。
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■撮影環境:1/100秒 f/4 ISO500
アスファルトの色違いがアクセント。
撮影したあと、拡大して写真を確認する。うん、質感もしっかり表現できている。
小型軽量なのにこの描写力。撮影はもちろん、プリントも楽しみになるレンズだ。
普段着の四谷へ
街の喧騒から離れて、暮らしを感じられるエリアにたどり着いた。
お邪魔します、という気持ちで撮影する。
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■撮影環境:1/250秒 f/2.8 ISO800
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■撮影環境:1/160秒 f/4 ISO800
XF27mmF2.8 R WRのこの距離感が好きだ。
一歩引いて広い画角で撮影したり、一歩近づくことで被写体を大きく写したり。
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■撮影環境:1/350秒 f/2.8 ISO800
さらにはF2.8を活用することで前ボケなど、いろいろな表現ができる。
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■撮影環境:1/300秒 f/2.8 ISO800
おわりに「雨だ。XF27mmF2.8 R WRと撮影に出かけよう」
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■撮影環境:1/120秒 f/2.8 ISO800
雨の日が続く季節だからこその、はっとするシーンとの出会い。
出会いは一期一会。二度とないと知っている。でも、カメラがあれば残すことができる。
だから、カメラをカバンにポンといれて持ち歩きたい。そんなときにXF27mmF2.8 R WRが手元にあると想像してみる。長さ23mm、重さ84gと小型軽量。しかも防塵防滴。持ち運びも苦にならない。むしろ持っていきたくなる。そんなレンズ。
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実は私も持っていて、これは私物のレンズ。
ちょっとそこまでのとき、あと1本カバンに入るというときに、XF27mmF2.8 R WRを手に取ることが多い。
雨の日を楽しみたい。そんな時にはぜひXF27mmF2.8 R WRを選んでみて。
さて、次はどんなカメラやレンズと旅に出よう。
きっとたくさんの出会いが待っている。
みなさんも、カメラやレンズと良い旅を。
■写真家:渡邉真弓
札幌在住。日常をモチーフに「時の有限性」「薄れゆく記憶」について考察する作品を制作。「写真と一緒にくらしを楽しむ」をキーワードに、写真教室、写真にまつわる執筆・企画提案、撮影など幅広く活動している。北海道カメラ女子の会代表、フォトフェスCuiCui 事務局代表、京都芸術大学通信教育部美術科写真コース非常勤講師。富士フイルム公認X-photographer。地方自治体と地域振興プロジェクトも展開中。