ライカとカレー。今日はあの駅で降りようか。Vol.12|ライカQ3
はじめに
お庭の窓を開けると、ふわふわと甘い香りがした。
キンモクセイだ。
ザクロも大きな実をぱっくり開けて青空の中で輝いている。
クリも美味しい季節
秋がやってきた。
さあ。
この秋は、ライカQ3と旅に出よう。
ライカQ3
ライカQ3が今年2023年6月3日に発売になった。
2019年に発売になったライカQ2の発売から4年を待っての登場。ライカQシリーズは、2015年に発売になったライカQに始まるボディとレンズが一体型のカメラである。
高性能レンズ「ライカ ズミルックス f1.7/28mm ASPH.」が搭載されている。レンズと一体型なので、1台あれば撮影が出来てしまう、ライカのフルサイズカメラのラインアップの中では抜群にフットワーク軽く撮影できるカメラだ。
ライカQ2からライカQ3になり、外観も質量もほぼ変わらないが、大きく変わった箇所がいくつかある。
まずは、固定液晶がチルト式液晶に変わったこと。
そして、ライカQ3には、有効6,030万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーが搭載されている。4730万画素のセンサーを搭載するライカQ2からのバージョンアップ。
そして、筆者的にとても嬉しい機能は、デジタルズームできる倍率が増えたこと。1.25倍: 35mm相当、1.8倍: 50mm相当、2.7倍: 75mm相当、3.2倍: 90mm相当の4つの倍率でズームが出来るようになった。デジタルズームなので、トリミングをしている要領になるので画素数は減ってしまうのが難点だが、でも、ライカのカメラで搭載されているレンズ1本で様々な倍率で撮影できるのは本当にありがたく嬉しい。さらには、液晶画面上部のボタンを押すことにより、デジタルズームの倍率が瞬時に切り替わるのが嬉しい。
デジタルズームが、これだけ倍率を上げて出来ることが嬉しい。
計算すると、デジタルズーム3.2倍90mm相当で撮影すると600万画素ほどの画素数になる。でも、この画像をパソコン内でかなり拡大してみたが、600万画素という響きにくらべて随分と美しい画像だなと眺めたりもした。今の時代で600万画素と聞くととてつもなく粗い画像を想像してしまうが、SNSなどの配信やハガキサイズ程度のプリントなら全く問題ないだろう。
ライカQ2についてはこちらに綴っているので、このライカQ3の記事と合わせてぜひ見て欲しい。
旅へ
旅のきっかけは、突然訪れることが多い。
それはつい先日のこと。
「まりこ先生。以前、インドの湖に浮かぶお城みたいなホテルに泊まったことがあるって言っていましたよね。そこのカレーがすごく美味しかったって。そのホテルで料理をしていたシェフが腕を振るうカレー屋さんが日本にあるんですって。」と、写真教室の生徒の一人から聞いたのだ。テレビで放送されていたそうだ。そのスパイスカレー屋さんは、埼玉県の秩父にあるのだと言う。
「え?インド?タージレイクパレス?え?秩父?」
「そうなんです。さらに、女性の社長さんがすごいんです。働いているシェフが気持ちよく働けるようにインドの航空券を年に何度も買って帰れるようにしてあげているのだそうです。」
「え?社長?すごいね。え?インドに何度も?え?」
インドと湖とカレーとインドの人たちが頭の中を駆け巡った。そして、それが秩父であるということがなかなかシンクロしないのだけれど、一気にスパイスカレーが食べたい気分になった。
そう。
もうだいぶ昔のことだけれど、以前、私はインドを旅した時に、どうしても泊まってみたかったホテルがあったのだ。それは、ウダイプルというインドの避暑地、日本で言ったら軽井沢のようなちょっと高級感の漂う街にある、大きな湖に浮かぶ湖上ホテルだ。名前は、タージレイクパレス。5つ星ホテルだ。タージは王冠のこと、レイクは湖、パレスは宮殿を意味する。まとめると、湖の王冠宮殿。その名にふさわしく、湖の真ん中にポツリ、と白亜のお城が建っているのだ。写真で何度も見たことがあり、いつか泊まりたいなあと夢見ていたのだ。
インドをバックパックで旅していたとき、毎日のようにホテルの予約サイトでタージレイクパレスのところを眺めていたことがある。泊まりたいなあ、高いなあ、でも泊まりたいなあうじうじ…と毎日眺めていた。そして、ついに、ある日、ポチっと押してしまった。予約したのだ。正直なところ、あ、押しちゃった本当に、と思った。だけれど、予約してしまったら、もう泊まるしかない。人生経験、体験させていただきます、とホテルに向かった。
タージレイクパレスに行くには、ウダイプルの街側の湖の岸から、ホテルのゴンドラに乗って向かう。バックパックのリュックをそのゴージャスなゴンドラにのせて、船はパレスにゆっくりゆっくりと向かっていった。そして、ホテルに上陸。ホテルに入る、その時、ハラハラと何かが落ちてきた。花びらだ。上を見上げると、無数の花びらが舞い落ちてきたのだ。Welcomeのプレゼント。
後にも先にもそんな映画のようなギフトは体験したことがないし、その滞在は何もかもがゴージャスで美しかった。お部屋ももちろん、ロビーも、レストランもお庭も、美しい空間だった。
でも実は、タージレイクパレスに泊まるまでにインドのいろいろな土地を旅していた私は、毎日続く強烈なスパイス料理に疲れてしまっていた。胃が、全く食事を受け付けない。食欲が湧かない日々に突入してしまっていたのだ。
そんな中ででも何も食べないのはよくないからレストランで何かを食べようということになり、夜、ホテルの中のレストランに向かった。薄暗いけれどもラグジュアリーなレストランの中の窓際のゴージャスなテーブルに案内されて、メニューを眺めてみる。でも、お料理の内容が全く分からなかった。そして、相変わらず全く食欲が湧かない。ドリンクだけでいいなあと思いながらも、唯一解読できたチキンカレーを頼んでみることにした。
すごい素敵なホテルだねえと窓の外の湖を眺めたりしながらお料理の到着を待った。夜なので湖の景色は真っ暗だったけれどとてもラグジュアリーな窓から眺める景色は美しく感じた。しばらくしてチキンカレーが運ばれてきた。大きなお皿の中にちょこんと上品に盛り付けられていた。本当にちょこんと。それを見てもまだなお食欲が湧かないなあと思いながらも、せっかくだからと一口スプーンですくって食べてみる。すると、手が止まり、目がカッと開いた。
お、美味しい…..
ものすごく美味しい…..
一口食べて、また一口、そしてさらに一口。
上品に盛り付けられたカレーは、瞬く間になくなってしまった。
あれほど食欲がなかったのに、もう一皿食べたいと思うくらい美味しかった。何が美味しかったかと言えば、旨味がすごいのだ。丁寧に玉ねぎが炒められているまろやかながらも鮮烈な旨味、そして、トマトの酸味との交わりがたまらなく絶品だった。日本のようにカレーの液体の中にチキンが入っているカレーではなく、煮詰まっているカレーソースがチキンの周りにくっついているような、そんなカレー。今まで食べた中で一番玉ねぎの旨味に包まれたカレーだった。丁寧、その言葉が何度も頭に浮かんだ。その頃はまだスパイス料理を勉強する前だったので、調理方法の詳しくは分からなかったけれど、でも、ものすごく丁寧に玉ねぎを炒めて作られたカレーであることは想像できた。インドの街の食堂では体験したことのない繊細で深い味わいだった。あまりにも美味しかったその味は、今も忘れられず心に残っている。瞬時に思い出すことが出来るくらい鮮烈に覚えている。
あの時食べたカレーは、今でも私の人生ベスト3のカレーに入っている。
前置きが長くなったけれど、そのタージレイクパレスで料理を作っていたシェフがいるという埼玉県秩父のレストランに行ってみたい。
行こう。
ライカQ3と一緒に。
東海道線で熊谷へ
本日の道のりは長い。
我が家のある駅からJR東海道線上野新宿ラインで熊谷まで約2時間半。熊谷から秩父鉄道に乗り変えて、和銅(わどう)黒谷(くろや)まで約1時間。そして、お店までは、和道黒谷駅から約1.3km。歩いて約20分。家からドアドアで、約4時間半。
な、長い。
でも、長くても楽しみなスパイスカレーへの道。
そして、さらに楽しみなことがある。
実は、私は埼玉県出身。東海道線上野新宿ラインの熊谷駅までに、実家のある駅や、通っていた高校がある駅を通っていくのだ。
懐かしい青春時代の道をゆく旅。
そして、インドの思い出を巡る旅。
東海道線上野新宿ラインに乗り、ひたすら熊谷駅を目指す。
ガタンゴトン
緑がいっぱいある景色から徐々に都会になり、そして、また緑が増えていく。
私の実家のある駅も通過。
仕事の文章を書いていたら、あっという間の2時間半だった。
和銅黒谷へ
JR熊谷駅から秩父鉄道に乗り換え。
改札口に上がると、東京よりとても広い構内に「こんなに広かったっけ」なんて首をかしげながら、秩父鉄道の改札口へ。ホームに降り立つと、艶やかにデコレーションされた電車が停まっていた。
私が熊谷の高校に通っていたころの秩父鉄道の電車のカラーは鮮やかな黄色だった。イエローに少しオレンジが入ったようなカラーで、みんなでパンプキン電車と呼んでいたりもした。高校には、秩父からその電車に乗って通ってくる子たちも多かった。
私の乗る車両もかなりデコレーションされていた。アニメとのコラボなのだろう。車両の外と中にびっしりといろいろなキャラクターが貼られていた。私の知っている秩父鉄道のイメージは、ここでガラリとチェンジ。
秩父鉄道がとことこと走り出す。
すると、しばらくもしない間に、のどかな風景が広がってきた。
秩父の山並みが見える里山の景色。
とことこ
とことこ
車窓を撮影したり、マクロモードで手すりを撮影してみたり。
ライカQ3の便利なところは、マクロモードで撮影できることがその一つに挙げられる。ズミルックス f1.7/28mm ASPH.のリングをぐるりと回してMACROに切り替えれば、最短17cmの接写が可能。もちろん、センサーから17cm、レンズ先すぐ先での撮影が可能だ。
和銅黒谷駅に到着。
ホームには、和銅黒谷の由来である和同開珎(わどうかいちん)の銅像がどんと置かれていた。その昔の飛鳥時代、この辺りは、日本初の通貨和同開珎を作る銅が採掘されていたそうだ。
駅を一通り撮影して改札口に向かうと、駅員さんに「どこに行かれるんですか?神社ですか?」と声をかけられる。「あ、いえ、カレー屋さんに…」と答えると、「ああ、カレーですか。ここからは歩いて20分ほどありますよ。気持ちいい景色ですよ。あそこを右に曲がって、その先の信号を右に曲がって。大きい通りに出て。美味しいカレー食べて楽しんで下さいね。」と。さらに「電車、絵が素敵だったでしょう?」と。優しい駅員さん。ありがとうございます。
神社?とその時は不思議に思っていたけれど、後で調べたことによると、駅から近い場所に聖神社という和同開珎にちなんだお金の神社があるそうだ。足がたくさんありお金に困らない象徴のムカデが銅で作られていて、銭神様と祀られているそう。
カレー屋さんへ
駅から歩いてすぐに、緑あふれる風景が広がっていた。
歩いているのは私くらいで、車がビュンビュンと横を通りすぎていく。
のどかだなあ
あ、古墳発見。
あ、ダリア発見。
ほんとのインド料理とカレーの店
途中大きな道路の横断歩道を渡ってもうそろそろ15分くらい歩いたかなと思ったときに、ぷうんといい香りが漂ってきた。
あ、これは
カレーだ
ふと先を見ると、大きな建物にカレーという文字が見える。え、まだだよね、確か、と思いながらGoogle先生で場所を確認してみると、すぐ先に目的のカレー屋さんがあった。体感的にはまだもう少し遠いかと思っていたけれど、嗅覚がすこぶる冴えていた。
私の目指すそのお店の名前は「ほんとのインド料理とカレーの店」という、とても面白い名前のお店。建物の上の方に、本当にその名前が書いてあった。
大きな建物の前には、広い駐車場があって、車が吸い込まれるようにどんどんと入っていく。
入口のところには、並んでいる人も見える。
これは、湖に浮かぶタージレイクパレスならぬ、緑の中に佇むスパイスカレープレイスだなあ、そんなことを思いながらお店に近づいていく。
わ、すごい人気店…. とびっくりしながらも入口から入っていくと、お店の女性の方がいたので「一人です」と伝えると「ちょっと待っててね」と言われる。そして、私の後ろからも続々と人がやってくる。ものすごい人気店だ。私の後ろの二人組は「次は、数十分後のご案内になっちゃうの。整理券渡しますね。」と整理券を受け取っていた。えええええ。4時間半かけて来たのに、すごい待つのかしら、もしかして食べられないことなんてないよねと少しドキドキしながら待っていると、「お一人の方こちらへ」と優しい声で鮮やかな衣装を着た女性の方がスルっと案内して下さった。窓際の大きなテーブル、相席になるお席とのこと。先に、男の方が一人でカレーを食べていた。
天井が高い開放的な店内には所狭しとテーブルがたくさん並んで、そして、席は人でいっぱい。ざわざわざわ。その活気は、インドの食堂のよう。
座った目の前には、山積みにされたメニューがあった。見てみると、全部違うメニュー表。重ねると5cm以上ある。タンドリーのセットや、チーズのセット、あっちにこっちに気になるセットメニューが合って、全然決められない。冊子にも山のようにメニューが書いてある。
そうこうしているうちに、テーブルの上に、何やら不思議な液体が3つ置かれてゆく。
「コレガレモンスイ、コレガスープ、コレガオミズネェ~」と、右から順番に案内してもらう。
ふむふむ。え、レモン水はブルーの色なの!?え!と衝撃に包まれながらも、飲んでみると美味しい。
そしてさらに悩みながら10分くらい経過してしまって見かねた店員さんが「キマリマシタカ」と声をかけに来てくれた。
悩みに悩んでタンドリーセット(カレー2種とナン、タンドリーチキン、サラダ、飲み物セット、ナンまたはご飯が食べ放題)を注文。選べるカレーは、チキンカレーとキーマカレーをセレクト。チキンカレーは、あの、タージレイクパレスに近い味なのだろうか、そんなことも頭にふわっと浮かびながら注文。
注文ついでに、ウェイターさんに聞いてみることにした。
「インドのタージレイクパレスで働いているシェフがいると聞いたのですが。いますか?」と聞いてみる。
すると、
「ハイハイイマスヨ。アナタドコカラキタノ。」
「え、あの、神奈川です。」
「カナガワノドコ?ワタシカナガワシッテルヨ。オダワラトカ。」
「え!私は小田原の隣の二宮から来たよ。」
「ニノミヤシッテル、トモダチイルヨ。ウミノトコロノカレーヤサン。」
「海の前のカレー屋さん?もちろん知ってるよ。今はやってないけれど。え、ホントに?」
「ソウソウ。ダッテワタシアノアタリデハタライテイタカラ。」
まさか、4時間半かけて来たカレー屋さんで、地元二宮の海の前のカレー屋さんの話で盛り上がるとは。と、衝撃に包まれながら、カレーを待った。
テーブルの上には、いろいろ面白いものが置いてある。
これは、社長さんだろうか。というと、先ほど案内してくれた方は同じ顔をされているから、きっと社長さんなんだろうなあ。鮮やかな服を着ているなあ。名前は、みいちゃんと言うのか。ふむふむ。と、誘われるままにInstagramのフォローをする。すると、みいちゃんが、お客さんみんなに何かを配っている。「お待たせしてすみませんねえ。」と、パンダ柄がプリントされた袋のクッキーを配っていた。私もパンダのクッキーをいただく。
摩訶不思議
マカフシギ
インドを旅していると、日本にいる時とは違った面白いことがおこるから、毎秒そんなことを思うのだけれど、ここにいると、インドにいるような気分になる。いるだけで、インド。
そして、私の座った大きなテーブルは、後からいらしたご夫婦と、さらにご家族3名、合計6名での大円卓となった。
あまりにも多いメニュー表をそのみなさんにお渡しするときに、ちょっとした会話になる。
「テレビ見て来られたのですか?」
「いえ、私は見ていないんです。」
「そうですか。私たちはテレビで見てね。5つ星ホテルで働いていたシェフがいるって言うから来てみたんですよ。」
「わたし、そこに行ったことがあるんですよ。」
「ええそうですか。ここは長いときは3時間待ちなんだって。」
「えええ!すごいですね。」
「社長さんもすごいんだよ。インドのシェフたちに航空券をあげて何度もインドに帰れるようにしてあげているんだって。」
「へえええ。すごいですね。何度も。」
「社長さんは、鯉のぼりの生地で自分でドレス作って着てるって。」
「えええ!」
みんなにパンダのクッキーを配っているみいちゃん社長を見ると、ホント、鯉のぼりの生地のドレスを着られていた。とってもかわいい。とっても華やか。
みなさんとそんな話をしながら過ごしていると、私のカレーが到着。
どどどどどーーーん
隣の人のパンダクッキーが写っていたりするけれど、それもご愛敬。
席もそのまま、その場の状況のまま撮影、マクロ機能でグググっと寄って撮影も。
とにかく、ナンが大きい。すごい大きい。
お皿からはみ出ている面積がすごい。のっている面積より広いんじゃないだろうか。
ナンの下にタンドリーチキンが隠れていたりもする。
いただきます。
ドキドキしながらいただく。
ナンは、甘くてもっちもち。もちもちもちもち。
中辛のカレーは、まろやかで優しいお味。
その甘いナンに優しいカレーをのせて食べる。
ああこの何とも楽しく摩訶不思議な空間で食べるカレーのもたらせてくれる高揚感よ。
ああ食べても食べても減らない大きな大きなナンの存在感よ。
ああ満腹だけれどもでも食べ続けてしまう罪悪感に似た幸福感よ。
この幸福感、この高揚感、それは、インドの旅の中の食堂でカレーを食べている時のあのドキドキ感とそっくりだ、そう思った。
ああHAPPY。
ごちそうさまでした。
ものすごい量だったけれど、全部いただきました。
カレーというのは、人をHAPPYにする力があるんだなあとしみじみ思った。
帰りにみいちゃん社長に声をかけさせていただき、この記事の企画をお伝えし、快諾いただき、撮らせていただきました。
さらには、タイミングよく、タージレイクパレスでシェフをしていた方にもお会いできました。「モウダイブムカシダケドネ」とお話されていました。
ありがとうございます。
みいちゃん社長は、あっちに行ったりこっちに行ったり、ずっとくるくると動いていました。席を案内したり、レジをしたり、クッキーを配ったり。テレビに出てとても有名な方なので、たくさんの方から声をかけられていました。そして、その全てに優しい声で答えられていました。みいちゃん社長、すごい素敵な方でした。
ありがとうございました。
「ほんとのインド料理とカレーの店」のカレーは、ここオリジナルのカレーだった。オリジナルなるオリジナル。こんなに個性を感じるお店はなかなかないなあ。そして私は、あのタージレイクパレスやインドにいたときと同じような幸福感と高揚感を楽しんでいた。人とカレーとカメラと。それがざわざわと交じり合って、絡まって、私は本当にインドにいるかのような気持ちになっていた。楽しかった。片道4時間半かけても来てよかったと思った。そしてまたここのカレーを食べに来たいと思った。
ほんとのインド料理とカレーの店のみいちゃん社長、そして、シェフ、スタッフのみなさん、ありがとうございました。埼玉県内にいろいろ系列店があるようなので、今度ほかの店舗にも行ってみます。
Leica Looksで遊ぶ
カレーをたらふく食べた帰り道、のんびりと和銅黒谷駅まで歩いた。
ライカQ3の絵作りとして、Leica Looksが自由に設定できるのも楽しい。フィルムモードの標準、ビビッド、ナチュラル、モノクロ、モノクロHCに加え、Leica LooksのContemporary、Classic、Blue、Selenium、Sepiaの5種類のモードで撮影することができる。Leica Looksは、Leica FOTOSのアプリにつなげてダウンロードすることが必要。早速ダウンロードしたLeica Looksで撮影してみる。
Contemporary
Classic
Blue
Selenium
Sepia
私は、ライカのモノクロームのBlueが以前からとても好きだ。
Blueで、いろいろ撮影しながら帰り道を楽しんだ。
熊谷へ
秩父鉄道で、熊谷駅へ。
昼下がりの電車は、のんびりとした空気が漂い、学生さんたちがたくさん乗車してきた。
そして約1時間、熊谷駅に到着。
熊谷駅でJRに乗り換えようとしたけれど、でも、ちょっと熊谷を歩いてみようかなとふと思い、少し歩いてみることにした。通っていた高校も駅から近い。久しぶりに行ってみよう。
通っていた高校の方に歩いて行くと、私と同じ高校のバッヂをつけた女子高生がたくさん下校していた。変わらないバッジ。そして、あの頃とそう変わらない制服とバッグのファッション。みんな、バッグに小さなお人形をつけている。そういえば私も何かのお人形をバッグにつけて登校していたな、そんなことを思い出す。夕日がキラキラと刺してきて、女子高生たちをさらにキラキラと照らしていた。
駅前は、開発が進んでいて、新しいビルや建物が並び、道がすっきりと整備されていた。私が通っていた頃は、小さな商店や路地がたくさんあったけれど、今は、高いビルときれいな小路になっていた。昔入ったあのお店はあるだろうかと探してみたりした。場所の記憶は定かではなかったかけれど、同じお店のお店があった。記憶とは少し違う外観だったような気がする。もしかしたら移転して営業しているのかもしれない。いつかまた行ってみよう。
将来なんてまだ全く分からない、あの10代の頃の私を、少し思い出していた。
写真家をしているなんて、まるで想像もしていなかったころ。
おわりに
インドの旅の思い出をたどる今回の旅。
ライカQ3との旅は、快適だった。レンズ一体型のコンパクトカメラは、旅には最適。ライカという高級なカメラであるけれど、ちょっと羽を伸ばしてフットワーク軽く旅ができるカメラだと思う。
特に、高画素を誇るカメラならでは、デジタルズームでいろいろな画角で撮影できるところがとても使いやすい。さらには、マクロ撮影もチルト撮影もできるので、ライカのカメラの中では抜群に使いやすいカメラだと私は思う。
ライカのカメラを使いたい、買いたいけれど、何を買ったらいいのか分からない、そう迷っている方にぜひともおススメしたいカメラだ。
さあ、次はどこに旅に行こうか。
どの駅で降りようか。
ライカと一緒に。
■撮影協力
『ほんとのインド料理とカレーの店』
埼玉県秩父市寺尾242-1
0494-25-6337
HP:https://www.hontono-indiacurry.com/
Instagram:https://www.instagram.com/green.dara8/
■写真家:山本まりこ
写真家。理工学部建築学科卒業後、設計会社に就職。25歳の春、「でもやっぱり写真が好き」とカメラを持って放浪の旅に出発しそのまま写真家に転身。風通しがいいという意味を持つ「airy(エアリー)」をコンセプトに、空間を意識した写真を撮り続けている。
「ライカとカレー。今日はあの駅で降りようか。」の連載記事はこちらからご覧いただけます