シグマ 18-50mm F2.8 DC DN Contemporary Xマウント|日々の機微を逃さないレンズ
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はじめに
シグマで富士フイルムXユーザー待望のXマウントレンズが発売されたのは2年前の春。
第一弾として2022年春に、16mm F1.4 DC DN | Contemporary、30mm F1.4 DC DN | Contemporary、56mm F1.4 DC DN | Contemporaryの3本が発売された。
そして、第二弾として今回紹介するSIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryが2022年冬に発売された。
18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryは小型軽量・高性能な大口径標準ズームレンズ。2022年12月に我が家にやって来てから、何かにつけて一緒に過ごすことが多くなった。それでは、ある秋の日を捉えた写真とともに、18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryを紹介しよう。
箱から出したときに驚く、そのコンパクトさ
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今回は18-50mm F2.8 DC DN | ContemporaryとX-T5との組み合わせで撮影した。見てわかるとおり、18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryは長さ76.8mmと小さい。そして質量も285gと軽い。しかもズーム全域で絞り開放F2.8と明るい大口径レンズ。初めて箱から出したときに、「このサイズと軽さでF2.8通しのズームレンズなの!?」とその小ささと軽さに驚いたのを覚えている。
なお、Xユーザーにとって注意したいのが、18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryには絞りリングが搭載されていないことだ。絞りの調整はカメラのフロントコマンドダイヤルで行う。さらに、もしカメラの露出補正ダイヤルを「C」にし、露出補正をフロントコマンドダイヤルで操作している場合は、絞りと露出補正を操作する際に、フロントコマンドダイヤルの切り替えが必要となる。切り替えはフロントコマンドダイヤルを押し込むことで可能となる。この点がXマウントレンズの操作と異なるので注意したい。
とはいえ、18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryはその軽さと小ささが魅力的なレンズで、日常で気軽に持ち歩けるのが嬉しい。
早速、18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryと晩秋の札幌を歩いてみよう。
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■撮影環境:18mm 1/600秒 f/8 ISO500
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■撮影環境:30mm 1/3000秒 f/5.6 ISO500
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■撮影環境:50mm 1/2400秒 f/2.8 ISO500
18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryは35mm判換算で27-75mm。
まずは異なる焦点距離で3枚撮ってみる。
雲がたなびく秋の空の高さと広さを18mmで。
ふと出会ったカラーコーンと自分の影を30mmで。
道ばたの小さな雑草の存在感を輝く光と一緒に50mmで。
35mm判に換算すると、順に27mm相当、45mm相当、75mm相当になる。
18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary を1本持って出かけるだけで、広角から中望遠まで幅広い撮影が楽しめる。
そして、幅広い撮影に欠かせないことがもうひとつ。
それは18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryがズーム全域で絞り開放F2.8、つまりF2.8通しである、ということだ。
F2.8通しだからこそ楽しめる表現
ボケを活用した表現を楽しみたい人にとって、開放F2.8と明るい18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryは魅力的だろう。しかもどの焦点距離でも開放F2.8から始められるので、背景ボケや前ボケの調整がしやすい。日ごろ、開放値がズーム領域で変わるレンズを使用している場合は、18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryを一度使ってみてほしい。「思ったよりボケない」「もうすこし背景をぼかせたら」という悩みが一気に解決され、撮影がますます楽しくなるだろう。
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■撮影環境:50mm 1/2000秒 f/2.8 ISO400
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■撮影環境:50mm 1/110秒 f/3.2 ISO400
1枚目は店の看板を主役にし、街の雑踏を背景ボケで表現。
2枚目はトンネル構図にし、奥の落ち葉に目が行くようにした。F2.8で前側をぼかすことで落ち葉の存在感を表現することができた。
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■撮影環境:50mm 1/4000秒 f/2.8 ISO500
3枚目は前ボケと背景ボケの全部入り。
逆光に照らされた葉の美しさを水面のキラキラや前側の葉の光とともに捉えた。
F2.8だからこそできた表現。
高い描写力も見逃せない
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■撮影環境:50mm 1/4700秒 f/2.8 ISO500
道ばたで思いがけず出会った光。
形に惹かれたので、あえて露出をアンダーにし、光が強調されるように撮影した。
18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryならではのシャープかつ繊細な描写のおかげで、暗い部分もしっかりと表現されている。こういう繊細な表現ができるのはとても重要なことだ。特にプリントしたときに真価を発揮する。
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■撮影環境:50mm 1/7000秒 f/2.8 ISO400
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■撮影環境:50mm 1/1800秒 f/2.8 ISO500
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■撮影環境:50mm 1/15000秒 f/2.8 ISO500
撮影の幅が広がるワイド端最短撮影距離12.1cm
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■撮影環境:18mm 1/420秒 f/4 ISO500
雪の降り始めは、道ばたの枯れた花壇が大活躍する。
小さな落ち葉に雪がのっている様子を捉えたくて、ローアングルでぐっと寄ってみる。
かなり近寄ってもピントが合うのでドキドキする。なんとフードが邪魔になるくらい寄れるので、フードを外して撮影した。
それもそのはず、18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryは広角端で最短撮影距離12.1cm、最大撮影倍率は1:2.8。レンズの長さが7.68cmなので、相当寄れることがわかる。最短撮影距離が短いと、ぐっと被写体に寄りつつも広角ならではの表現が楽しめる。ピントのあった部分のシャープで繊細な描写。背景には赤い玉ボケをいれてみた。ちなみにこの玉ボケは赤信号。望遠側だと赤信号は入らない。
望遠端の最短撮影距離は30cm。
こちらもある程度まで寄れるので、撮影のバリエーションを広げることができる。
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■撮影環境:50mm 1/600秒 f/4 ISO500
同じ場所でも広角と望遠では印象が異なってくる。
どちらが自分のイメージに近いか。ズーミングしたり寄ったり離れたりしながら試行錯誤できるのも、18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryだからこそ。
おわりに
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18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryは、長さ76.8mm、質量285gと小さくて軽いにも関わらず、ズーム全域で絞り開放F2.8と明るい大口径レンズ。ワイド端の最短撮影距離12.1cm、最大撮影倍率1:2.8というのも魅力的だ。フィルムシミュレーションとの相性も良く、違和感なく撮影できる。簡易防塵防滴構造なのも嬉しい。
18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryの繊細な表現は、日々の機微を捉えるのにぴったり。カバンの中にポンと入れておけば、日々の中で、そして旅先で、きっとあなたの相棒になってくれるだろう。
ぜひ一度手に取ってみて。
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■撮影環境:50mm 1/11000秒 f/2.8 ISO500
■写真家:渡邉真弓
札幌在住。日常をモチーフに「時の有限性」「薄れゆく記憶」について考察する作品を制作。「写真と一緒にくらしを楽しむ」をキーワードに、写真教室、写真にまつわる執筆・企画提案、撮影など幅広く活動している。北海道カメラ女子の会代表、フォトフェスCuiCui 事務局代表、京都芸術大学通信教育部美術科写真コース非常勤講師。富士フイルム公認X-photographer。地方自治体と地域振興プロジェクトも展開中。