シグマ 35mm F1.4 DG DN Art レビュー|7:6で表現する映像と写真
はじめに
焦点距離35mm。思い浮かべるだけでも数多くのレンズを想像することができると思います。最も身近な焦点距離でありながら、最も奥が深いとも言われている35mm。みなさんも1本は手にしておきたいとお考えになられたこともあるでしょう。
こんにちは、FPS24です。2021年5月14日、シグマから「35mm F1.4 DG DN | Art」が発売されました。2012年にシグマArtラインとして、記念すべき最初の1本目に発売された「35mm F1.4 DG HSM|Art」は、その優れた描写力に魅了されて今なお愛用されている方が多いとお聞きします。
新発売の「35mm F1.4 DG DN | Art」は先代のものと比べてもかなり軽量化され、光学性能も大幅に進化しました。まさに「原点進化」と呼ぶにふさわしいレンズです。
35mmという焦点距離は、使用すればするほど奥が深い焦点距離です。超広角レンズや望遠レンズで感じる「ダイナミック」な表現とはまた違った、自然体で落ち着いた画が撮影できるのは大きな魅力であり、最大の特徴でもあります。特に今回、SIGMA fp LまたはSIGMA fpで設定ができるアスペクト比「7:6」という比率を縦構図のみで使用して「35mm F1.4 DG DN | Art」の魅力と、焦点距離35mmの楽しみ方をご紹介できればと思います。
レンズのスペックについて
シグマから発売されている焦点距離35mmのミラーレス専用設計レンズは、「35mm F1.2 DG DN | Art」、そして「35mm F2 DG DN | Contemporary」に続き、今回ご紹介する「35mm F1.4 DG DN | Art」で3本目のレンズとなります。シグマの35mmという焦点距離に対する思いの強さを窺い知ることができます。
それぞれ魅力的なポイントがあり比較できるものではありませんが、新発売の「35mm F1.4 DG DN | Art」は非常に高い光学性能と程よい携帯性を備えた、バランスの良いレンズだと感じています。
このレンズにも、Artラインではお馴染みの「絞りリング」が搭載されています。開放F値1.4という大口径レンズには、その幅広い絞り値を活かす際に素早く対応できる「絞りリング」の存在は欠かせません。他にも「絞りリングロックスイッチ」「絞りリングクリックスイッチ」「フォーカスモード切換えスイッチ」「AFLボタン」と、Artラインのレンズに必要不可欠な機能は全て備わっています。
もちろん、野外で使用する際には欠かせない「防塵防滴機構」は、記事執筆時点での季節、梅雨の雨でも安心して使用できるのは非常に心強く感じました。
描写性能については、評判の良い先代のレンズから改良を加えられた上に、ミラーレス専用設計に刷新されたことで、さらなる進化を遂げたことは間違いありません。
映像表現における「35mm F1.4 DG DN | Art」
では早速「35mm F1.4 DG DN | Art」と「SIGMA fp L」を使用して撮影した動画をご紹介します。今回は特殊なアスペクト比で撮影しています。スマートフォンの方は是非お手持ちの縦方向のまま全画面で、PCの方は全画面でその魅力をじっくりご堪能ください。
「35mm F1.4 DG DN | Art」とアスペクト比7:6の世界
インターネットやSNSで写真をシェアする現代において、様々なアスペクト比で自由に撮影できるメリットは存分に活用していきたいと考えています。先程の動画でもご覧いただいたように、今回は特に35mmという自然体の画が撮影できる焦点距離と、アスペクト比7:6の世界観が非常に相性が良いのではないかと提案をしたいのです。
特に縦構図で捉える風景は、この焦点距離とこの比率だからこその絶妙なバランスで、意図した構図にピッタリ収まるように感じます。まるで画面をデザインするかのように、程よくそっとフレームに収まる気持ちよさ、そんな快感を覚えました。まるで絵画のような、この安心できる比率は、スマートフォンなど縦型のモニタで見るSNSなどとも非常に相性がよく感じます。
ちなみに動画撮影時はアスペクト比7:6という比率は選択できません。先程の動画撮影時は16:9の比率、縦構図で撮影し、編集時にソフトウェア上でアスペクト比7:6へクロップしています。
ベンチで休憩しているところを一枚。程よいボケ味で立体感が出て非常に綺麗です。この距離で背景にボケ味を活かせられるのは大口径レンズだからこそです。
両脇に木が並んでいて、木陰でひんやりとした風が入ってきます。シンメトリーの構図が好きで良く撮影してしまいます。葉っぱ一枚一枚まで繊細に表現されていて、このレンズの描写力の高さが実感できます。
ゆらゆらと風で揺れる葉の隙間から差し込む初夏の太陽。日陰はまだ涼しく気持ちが良いです。こういうときはあえて逆光で撮ってみたくなります。涼しい木陰の空気感を捉えられるのはArtラインならでは。自然なフレアもまた、美しい光の繊細さを表現するのにぴったりなほど上品です。
公園の自然はいつの間にか緑が濃くなっていて、いよいよ夏がやってくると感じた瞬間でした。
蛇口から出る水が冷たくて気持ち良いです。この日は日差しが強くて暑い日だったので、なおさら気持ちよく感じます。F1.4ならではの大きなボケ味で非常に立体感のある画が撮れていました。
小川に沿って何気なく生えている木々ですが、梅雨の季節に見る風景はまた幻想的な雰囲気に感じます。写真に残すとまた、この空間を見事に表現して味わい深く感じます。「35mm F1.4 DG DN | Art」は、柔らかで優しいボケと緻密な描写力によって、空間を切り取るのが本当に上手なレンズだと感じました。
忘れてはならない「クロップズーム」機能
SIGMA fp Lには「クロップズーム」という非常に便利な機能が備わっています。レンズレビューとしては邪道かもしれませんが、この機能を活用しないわけにはいきません。
クロップズームの最大倍率5倍で撮影を行うと、単純計算で焦点距離約175mm相当の写真を撮影することができます。離れた被写体でも、この機能を使えば幅広い画角で写真を楽しめます。SNSやインターネットで使用する目的であれば、ここまでクロップしても全く問題はありません。「35mm F1.4 DG DN | Art」の素晴らしい描写力によって、これほどの拡大倍率でもくっきり繊細に捉えられているのには驚きます。
おわりに
35mmという焦点距離のレンズは本当に幅広い選択肢があると思います。その中でも「35mm F1.4 DG DN | Art」は、描写力と携帯性に優れた非常に魅力的なレンズです。私たちが被写体とこれほどしっかり向き合えたのもこの焦点距離だからこそであり、このレンズの描写力に魅了されたからこそでもあります。
特に今回おすすめするアスペクト比7:6という比率は、普段使い慣れている焦点距離のレンズを、より楽しみながら改めて写真と向き合える良いきっかけにもなると思います。35mmだからこそ表現できる写真と、7:6だからこそ表現できる構図。ぜひこの「35mm F1.4 DG DN | Art」をお手に持って、その素敵な描写力と共に体験してみてください。
最後に、私たちのYouTubeチャンネルでも「35mm F1.4 DG DN | Art」のレビュー動画を配信しております。私たちが好きなキャンプをしながら、その様子を「SIGMA fp L」と「35mm F1.4 DG DN | Art」で撮影しました。映像作品における魅力はYouTubeの動画でも存分に語っておりますので、ご興味がある方は是非こちらもご覧頂けると嬉しいです。
■執筆者:FPS24
2019年12⽉からスタートした、2⼈組の映像ユニット。「SIGMA fp」「SIGMA fp L」を使⽤して旅⾏やVlogの動画を撮影しYouTubeで配信している。
「35mm F1.4 DG DN | Art」はこちらの記事でも紹介されています
■シグマ 35mm F1.4 DG DN Art|三井公一
https://www.kitamura.jp/shasha/article/481461688/