近場なら栃木県の日光によく行きます。平地に比べてかなり早く紅葉がやって来ます。また北海道も早く紅葉が始まります。だけど僕が大好きな沖縄には紅葉という現象がありません。また、屋久島には紅葉する樹自体が少ないのです。それ以外では京都とか、秋田・青森県境の白神山地が好きなところです。樹自体が紅葉するのもとてもきれいだけど、落ち葉なども秋のテーマとしては面白いと思います。散った紅葉というのは美しいものですが、散ったすぐ後じゃないとだめなので、タイミングが肝心です。
紅葉で難しいと思うのは、赤い色のとらえ方だと思います。桜の淡い白や薄ピンクも難しいのですが、紅葉の赤は鮮やかなためにすぐ飽和してしまいます。だから赤い色の調子をきれいに出すには、光線の使い方やフィルターのかけ方、さらにプリントの仕方など、いろいろと工夫をこらすことが必要だと思います。デジタルだとホワイトバランスを変えてみるといいでしょう。
――秋の撮影についてアマチュア写真家へのアドバイスをいただけますか?
先ほども申し上げましたが、秋は春に比べ撮影できる期間が長く、被写体もたくさんあります。春や夏と異なり少しもの悲しげな情緒的な雰囲気。それを題材に俳句を詠むような気持ちで撮影することをお勧めします。日本の四季は繊細です。特に秋は時期が長いので、その繊細な変化をいかに表現できるかが写真の評価につながると思います。
また、秋は光もきれいなので、その光の美しさ、シャープさ、そういうところも表現できるといいと思います。
――日本人は昔から自然を愛でてきて、そこから感じ取ったことを俳句などに表現してきましたが、その感性は現代の写真にも活かせることですか?
やはり我々日本人は、そのような才能に長けていると思います。日本の景色をどれだけ理解しているか、どれだけ美しいと思っているか、そういう気持ちが写真に写し出されているといいですね。テクニックだけではなく、撮影者が感じた素直な気持ちがうまく伝わるように。そのためには、自分自身がその風景、そのシーンに感動する必要があると思います。 |