デジタルの世界をどれだけ面白く、
きれいに表現できるかに取り組んでいます。
――先生の写真展には、若い女性の方が多くいらっしゃっていますが?


 確かに他の写真展と比べると多いようです。先日の新宿タカシマヤの時もそうですが、南国リゾートへの憧れはやはり女性、特に若い女性の方が強いようです。男性はもうちょっと僻地であったり、ワイルドなところに魅力を感じるようです。それと今はデジタルカメラが主流になり、写真が誰にでも手軽できれいに撮れるようになりました。できるだけシンプルに、操作も簡単で、なおかつきれいに撮れる。世の中がそのように動いているということです。
 だから若い女性も、いいなと思ったものに素直にカメラを向ける。このことはカメラ付き携帯電話の影響が大きいと思います。
 少し前まで写真を撮るということは、それなりの心構えが必要だったのが、携帯電話で撮った画像をメールで送ったり、プリントしたりして、写真の楽しさ、面白さに気付いた人も多いようです。でも、やはりクオリティの高い写真を撮るには、携帯電話では限界があります。それよりももっといいものでちゃんと撮りたい。そこでコンパクトデジカメになり、やがて一眼レフデジカメにステップアップして。手軽に写真を楽しむようになって、そこから本格的な写真の世界へ入って来た人も多いのではないでしょうか。


【長谷寺】古都の落ち着いた雰囲気は、曇っている日の方がしっとりとしていて良い。広角より望遠レンズの方が安定感のある構図を作りやすい。絞りをうんと絞って、ピントを全体に合わせた。
■カメラ:リンホフマスターテヒニカ レンズ:210mm 絞り:f32 シャッタースピード:2秒 フィルム:ベルビア 撮影地:奈良県長谷寺

 

【白神の秋】これも白神山地の一部。秋の澄みきった青空をPLフィルターをきかせて暗く落とした。そうすることで滝の水の白さ、雲が画面を引き締めている。
■カメラ:リンホフマスターテヒニカ レンズ:90mm 絞り:f22 シャッタースピード:1/2秒 フィルム:ベルビア PLフィルター使用 撮影地:青森県西目屋村 第二の滝

 

――女性・男性による作品の傾向の差というのは感じられます?

【ブナの原生林】世界遺産になっている白神山地の紅葉。屋久島に比べると明るい森だ。露出で言うと5段くらいの違いはあるだろうか。ブナの森は新緑もにぎやかで美しいが、紅葉は色とりどりのオレンジ色が楽しい。岳岱は人の少ない自然林だから、ゆっくりと撮れるおすすめポイント。この作品では岩を抱いたブナの老木のどっしりとした感じを撮りたかった。
■カメラ:リンホフマスターテヒニカ レンズ:ローデンストック210mm 絞り:f32 シャッタースピード:8秒 フィルム:ベルビア 撮影地:秋田県岳岱

 あまり気にしないで選んでいます。見ている時も、何となくこれは女性かな? あー、なるほどねーっていうのはあっても、一目瞭然でこれは女の人が撮っているという差は感じられません。昔と違ってテクニックの差は全くないわけですから。そのような流れはいいことだと思っています。

――現在、先生は撮影によってデジタルと銀塩を使い分けされているのですか?

 併用していますが、ほとんどデジタルになってきています。特別な理由が無い限りフィルムは使っていません。
 最近はデジタルカメラにアオリを付けることなど、デジタルの世界をいかに面白くきれいに表現できるか、いろいろな機材を使ったテストをしながら、その可能性を探っています。

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