モルディブとかタヒチにもよく行くのですが、回数的にはハワイが一番多いんです。今までに40回くらいハワイには行っており、いつかはハワイの写真集を作ってみたいと思っていました。
今回、どのよう内容にしようかと、いろいろとハワイのことを調べていたのですが、ハワイのきれいな風景というのは日本でもすでによく知られていますよね。それに比べると“ハワイの文化”というのがほとんど知られていないことに気づきました。
さらに最近はハワイブームで、さまざまなハワイアングッズも人気です。また、伝統的な踊りの『フラダンス』を教えるところも増えるなど、タイミング的にも面白いと思いました。
――ハワイの文化とはどのようなことでしょうか?
日本でも“フラ”という言葉を耳にしますが、フラとはハワイ語です。フラにはダンス、演奏、詠唱、歌唱の全てが含まれています。また、フラは宗教的な行為でもあり、フラダンスも本来は神様にささげるための踊りです。
ハワイには元々文字の文化がありませんでした。ですから歴史や神話を伝えてきたのもフラで、それが代々伝わってきたのです。ハワイの文化を表現するには、まずフラを撮影してみようと思い、そこから始めました。ですが、そう簡単に思い描いていた写真が撮れるものでもなく、今回最後までかかってしまったのがフラの撮影でした。
そもそもフラの本を読んで研究して撮影したのは今回が初めてでした。以前にもフラの踊りを撮ったことはありますが、それがどのような意味で、どのような歴史背景があったのかなどとは考えてはいなかったのです。去年の11月くらいから準備して、今年はほとんどハワイに居たのではないかというくらいずっと撮影していました。
――ハワイの自然で我々がよく目にするのは「大きな波」「きれいな砂浜」「原色の花」などですが、今回はどのような自然を撮影されたのですか?
今回は、フラ(文化)に加え自然もテーマに撮影に臨みました。ハワイには火山や深い森があり、そして珍しい野生動物もいます。また、ハワイにしかない植物も沢山あることを知って、それらを撮影して紹介してみようと思いました。
実はハワイにはサーフィンの写真を撮りに来たのが最初でした。サーフィンというのも元々はハワイ独特の文化なんですが、その時はアメリカ文化としてのサーフィンに惹かれていました。それと南の島、青い海の美しさでハワイを選んでいました。
そして、今回最も重点を置いたのは神秘的なハワイ、古代の姿を残すハワイ、そのようなものを浮き彫りすることでした。今、ハワイでも伝統的な文化が見直されている時代です。これまでは白人社会の一部としてハワイがあるという感じでしたが、ハワイには昔から独自の文化があって、そこに後から白人が入ってきたというのが今の考え方になりつつあります。
さらに、今年の1月には古代式航海術のカヌーでミクロネシアを経て、沖縄をはじめ日本各地に寄港しながら横浜までの航海が行なわれました。これは、ポリネシアからカヌーで渡ってきた祖先を持つハワイの人々にとって、そのルーツの文化を再現するためのものでした。
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