東日本大震災の影響を受け、日本各地の花火大会は縮小化や中止が次々と発表されています。資金不足やゴミ問題と理由はさまざま。せっかく花火を撮りに行くチャンスがあるなら、撮影方法の知識を得てから臨みましょう。花火は日本が世界に誇れる最大の芸術! 楽しみながら撮影してほしいです。花火は形や発色、大きさ、打上げ方法によって多種多様。まずは第一歩を踏み出してみましょう。
撮影に必要な機材は、標準ズームレンズ、予備バッテリー、予備メディア、三脚、ケーブルレリーズ又はリモコンなど。初めてで会場の様子がまったくわからない場合、私は12 ミリから200 ミリまでのレンズを用意していきますが、重くて大変なので、初心者の方は標準ズームでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
次にマナーですが、花火会場の最前列で三脚を高く立てて撮影している人をよく見かけます。周囲に配慮して、どんな場所でも自分の後ろにお客さん達がいるなら、座って撮影しましょう。座ると三脚を低く設置することになり、安定してブレにくくなります。また、最適な撮影ポイントを見極める目も必要です。場所選びから花火の撮影は始まっています。
私は始めて行く花火大会では下見のつもりで会場の様子や花火の特徴を見ます。二年目に試し撮りを行い、三年目にいよいよ本番の撮影! そして花火師さん達が命がけで打ち上げている花火には敬意を払いたいですね。
持ち物一式。花火大会の情報を仕入れて行くのも大切です。
三脚は低く設置し、座って撮影しましょう。
単発の打上花火はAF設定が効かないことがあります。ピントはマニュアル(MF)での「置きピン撮影」がよいでしょう。MFが苦手な人は、花火が上がったときにAFでピントを合わせます。ピントが合ったら、MFに切り替えます。次に上がった花火を撮影すればピントの合った写真が撮れます。
小規模の花火大会でも3000 発以上の打ち上げがあり、オープニングの一発目から撮影する必要はありません。大抵はエンディングに素晴らしい花火がたくさん上がるので、前半はマニュアルでピント合わせをし、後半のクライマックスにはしっかり撮影できる準備をしましょう。
シャッタースピードはバルブ(B)にして、ケーブルレリーズがある場合はそれを使い、シャッターを開けている時間を自分で調整します。花火の打ち上げ音と共にシャッターボタンを押し、上空で花火が開花し火の粉(星)が完全に消えたのが判断できてから指を離します。これで一発の花火が写るはず。花火は大きさにより開花している時間が違うので、この方法を使うのがよいでしょう。
シャッターを押すタイミングがずれると、迫力のある写真でなくなってしまうので、揚がったところからシャッターボタンを押しましょう。
かつて花火撮影での露出はマニュアル露出(M)でISO100、絞りF8、シャッタースピードはバルブといわれていましたが、この露出では真っ白な露出オーバーの写真が増えてしまいます。なぜなら、近年の花火は色鮮やかで明るいタイプが増えているからです。プログラム露出(P)でも写りますが、一瞬にして明るさが変化するのでマニュアル露出(M)がおすすめです。シャッタースピードはバルブにして、シャッターを開けている時間は自分で決めるようにします。
花火に合わせて絞りを選べれば、すべての花火を適正露出で撮ることができるのですが、初めて花火の撮影に挑む人には難しいでしょう。まずはF13 で撮ってみましょう。
慣れている人は、以下のような絞りを目安に試してみましょう。ISO100 で「和火花火」の絞りはF2.8~F4。青い花火はF4~F5.6。赤い花火はF8~F13。中間色のイエローなどはF11~F16。明るい「銀冠菊」ではF22 となっています。
最近は中間色の花火が多いです。ピンクやスカイブルーなどの鮮やかさを表現するには、ホワイトバランス(WB)を「白熱球」にするのがおすすめ。見た目に近い鮮やかさで撮れます。しかし、日本古来のオレンジ色が強い花火は白く写ってしまいます。その場合はオートか「太陽(デイライト)」にしましょう。花火打ち上げプログラム(進行表)を見ながら、次に揚がる花火に合わせWBが変えられたらいいですね。
昔は「花火を撮るなら絞りF8 で」といわれていましたが、今は露出オーバーなってしまうことが多いです。
マニュアル露出にして、シャッタースピードはバルブにしておくこと。
みんなで気軽に楽しめる手持ち花火。夏の記念に、花火の風景を撮影してみてはいかがでしょうか。
暗いからといってストロボを発光させてしまっては、
花火の色がうまく出ず、味気ない写真になってしまいます。
打ち上げ花火と同様に、シャッタースピードは遅くしておいた方が、きれいに写真に出ます。
楽しんでいる人をはっきり写したいなら、絞りを絞ると、みんなにピントが合います。