思い出をつくる道具たち Vol.5 門出平男
若い頃から富士山に魅せられ・・・
今でも高山に登り、富士山撮影に挑みます
「稜線のお花畑」
ペンタックス645、120mmマクロF4、F16、AE、ベルビア100、中白根山(北岳と間ノ岳の中間)、2001.7.15
門出さんいわく、これからの季節は、空の景色がドラマティックに変化する、台風の前後がねらい目なのだとか。日本一の山、富士山。みなさんも一度は富士山の撮影にチャレンジしてみてはいかがですか。
機動性抜群のお手製リュック
何でも自作してしまう門出さん。なんと、リュックもすべて手づくり。レンズ用のソフトケース生地をつなぎ合わせたアイディアもので、うっかりファスナーを閉め忘れても中身が落ちない構造になっています。他の機材を入れた別のポーチも取り付け可能。なんとも欲しくなる一品ですが、残念ながら非売品です。
撮影地をメモした単語帳
「富士山の撮影に行きたい場所はまだまだある」という門出さん。何度か訪れていても、再挑戦したい場所はあるそうです。行きそびれがないように、「気になる撮影地」を単語帳のカードに書きとめ、目的地別・コース別・季節や時間別・撮影順別に束ねておき、必要に応じて持ち歩いているそうです。
手製の間欠露光用プロペラ
「さて、これはなんでしょう?」といいながら、電動のねじ回しに、黒いプロペラを取り付けた門出さん。スイッチを入れると、羽根がまわりはじめました。携帯用扇風機ではありません。正解は、長時間露光で車の光跡を破線に見せるためのアクセサリー。その効果は作品をご覧ください。
※間欠露光:一定の間隔をおいて露光を行う方法
「夕暮れの東名高速道路」
ペンタックス645、75mmF2.8、F8、AE、ベルビア100、秦野市中井町、2006.4.21、手製の間欠露光用プロペラ使用
プロペラを使用することで、このような不思議で幻想的な写真を写すことができます。
「桜や紅葉と一緒に富士山を写すときは、近景から遠景までピントがシャープにいき渡るように絞りを設定する必要があります。一般的にレンズの描写性能が最大限に発揮されるのは、F8からF11あたり。絞り優先AEで絞り値を決めるときは、そのことを頭に入れておきましょう。また、撮影ではカメラブレや被写体ブレを防ぐことも肝心。シャッタースピードが1/30秒よりも低速になるときは三脚を使い、花や葉が風にゆれているときは、風が止む瞬間を待ってシャッターを切ってください」
なごやかな雰囲気のなか、富士山について熱く語ってもらいました
【カメラボディ】
ペンタックス645(×2台)
サブカメラとして、デジタルカメラ、ペンタックスK10
最近はペンタックスK5も愛用しているそうです。
【交換レンズ】
超広角35mmF3.5、広角45mmF2.8、標準75mmF2.8、120mmF4マクロ、望遠200mmF4、リアコンバーター2×
左のケースにはこまごまとした撮影機材を、右側には車内泊に使う寝袋や、三脚を数本積んでいます
そんな和やかムードのなか取材はスタートし、運転で疲れているのにも関わらず、過去から今までの富士山撮影秘話や、富士山の魅力、独自の撮影技や機材など、記事に書ききれないほどの富士山ネタを惜しげもなく披露してくれました。
取材の時間はあっという間にすぎてしまい、門出さんを車の場所までお見送りすることに。そこで、ひそかに門出さんの車を楽しみにしていた編集部は「ぜひ車のなかも見せていただきたいのですが・・・」と無理なお願いをしました。「この間の撮影から整理していないからなあ」といいながらも快く車内を見せてくれた門出さん。散らかっているなんて、とんでもない。とても整頓されて使い勝手のよさそうな車内でした。その後、車に乗り込み、笑顔で颯爽と去っていった門出さんを見て、いつまでも富士山を追いつづける若さと元気さに驚く編集部なのでした。
ペンタックスを定年退職後、日本旅行写真家協会に所属し、旅行情報誌やカメラ誌などで活躍。富士山広域写真家の第一人者であり、風景、花、天体写真などの作品も多い。現在は日本写真家協会(JPS)会員。
思い出をつくる道具たち Vol.5 門出平男