シグマ7本目のIシリーズ「20mm F2 DG DN | Contemporary」はオールマイティーで楽しい!
あの「I」シリーズに超広角20mmが降臨!
素晴らしい写りで評価の高い、シグマのフルサイズミラーレス一眼カメラ用レンズシリーズ「DG DN」。その中でも美しい外装仕上げと、操作性の高い絞りリングを搭載した「Iシリーズ」が注目を浴びています。シグマの世界最小最軽量のフルサイズミラーレス「fp」シリーズはもちろん、パナソニックの「LUMIX S5」、ソニー「α」シリーズにピッタリとフィットするサイズ感と質感、そして画面全体でのシャープな写りが「お値段以上」の満足感を味あわせてくれるからです。今回そのラインナップに「20mm F2」が7本目として加わりました。
20mm F2 DG DN | Contemporaryの特徴
この「SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary」はとてもコンパクトに仕上がっています。世界最小最軽量フルサイズミラーレス一眼カメラ「SIGMA fp」シリーズに装着するとジャストフィット!「パームサイズ」といった表現がピッタリといった印象を受けます。70mm × 72.4mmといったレンズの大きさや、370gといった軽さは撮影のフットワークを軽くして楽しいものにしてくれることでしょう。
それでいて性能はシグマの「Art」ライン譲り。FLD1枚、SLD1枚、非球面レンズ3枚といった贅沢な硝材を採用し、絞り開放から画面の隅々までしっかりとシャープに解像してくれます。また、サジタルコマフレアを抑制して点像再現性を高くし、星景撮影などにおいてフラットな像を約束してくれます。さらに、スーパーマルチレイヤーコートとナノポーラスコーティングも採用。イヤなフレアやゴーストを低減し、逆光での撮影も快適に行うことができるのです。
そして何と言っても一番の魅力は、優れたビルドクオリティをもつ金属製外装の採用でしょう。この「Iシリーズ」には、シグマの映像専用業務用レンズ “SIGMA CINE LENS” で培われた素材と製法技術が注ぎ込まれているのです。まず手にするとヒンヤリとした素材感と凝縮感が伝わってきます。そして絞りリングを回すと「カチカチカチ・・・」と節度感の高いクリック音が写欲を駆り立ててくれます。ピントリングやレンズフードに施された精度の高いローレット加工は、本当にシビれてくるほどカッコいいですね!はやくカメラに装着してフィールドに飛び出したくなってくるほどです。もちろん話題になったマグネット式メタルキャップを標準で付属しています。それでは早速実写してみましょう。
ブラブラ実写スナップ!
今回はさまざまなLマウントカメラを使用して実写しました。「SIGMA fp」、「SIGMA fp L」、そしてパナソニック「LUMIX S5」を起用しました。どのカメラにも「SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary」はちょうどいいサイズ感で取り回しも軽快でしたよ。
20mmという画角は広大さを手軽に味わえます。この「SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary」は直線が真っ直ぐと写り、その広さを気持ちよく表現できますね。太陽をフレーム内に入れてもスーパーマルチレイヤーコートとナノポーラスコーティングのおかげでクリアな画質です。
「SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary」の開放F2という明るさは暗所だけでなく、ググッと絞りを開けてボケ感を演出するのに有効です。超広角レンズながら立体感とボケ感を両立させて作画が楽しめます。木に生えた菌類をF2で撮りましたが、ピント面が浮かび上がり周辺光量落ちと相まって不思議なカットになりました。
イヌのモニュメントにF2で迫りました。柔らかな周辺描写の中に、イヌの目がシャープに光ります。引いて広さを、寄って遠近感を自在に楽しめるのが20mmという画角ですね。
街角スナップでも明るい20mmは活躍します。山積みにされたコロナビールにフォーカスし、F2で通行人をぼかして入れてみました。狭い路地でもこんな風に画面を整理して撮影することが可能なのです。ボトルのキリリとした精細感も「DG DN」レンズならではですね。
「SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary」はチョイ絞りで撮るとピリッとシャープな像を見せてくれます。6100万画素の「SIGMA fp L」の精細感とよくマッチして、ちょっとレトロな建物を情感豊かにキャプチャーできました。細かい部分の写りが見事です。
もちろん20mmという広い画角なので絞ってパンフォーカス気味にしての撮影も得意です。信号の影が落ちる建物を撮りましたが、近景から遠景までピントが来たカットになりました。色再現も見た目に近くいい印象ですね。
「SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary」は超広角ながらイヤな湾曲が皆無です。小田急線小田原駅構内を撮りましたが、ファサードのラインが実に気持ちよくビシッと表現できました。ホームにはこの春引退するロマンスカーVSEの姿が見えますね。
冬から春に近づく空を撮ってみました。フレームの右側に太陽があるのですが、強烈な光にもかかわらずコントラストが低下せず、ヌケ感のある写真になりました。やや冷たさの残るブルーをこのレンズは的確に再現してくれました。
20mmという超広角レンズの場合、必要な被写体以外もフレーム内に入ってしまう場合がありがちです。構図で何とか逃げてもどうしてもうるさい画面構成になってしまう場合も多いと思います。しかしF2という明るさなら、主要被写体にだけフォーカスしてスッキリとした写りを手に入れることができますよ。
「SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary」は絞り開放域だけでなく、チョイ絞りからググッと絞り込んでの描写も安定しています。温泉場の岩肌とツタのディテールがF5.6でしっかりと描写できました。
20mmなのにクセのないナチュラルな写りが魅力の「SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary」。ストレートで品格を感じさせる色再現性も気に入りました。オートフォーカスも高速かつ正確で、スナップから風景、ポートレートまでオールマイティーに使えるレンズだと言えるでしょう。
標準ズームレンズより広大な20mmという画角はとても魅力的です。いつもより「広く」「明るい」目は、旅やスナップでいつもと違う写真を楽しませてくれるはずです。これ1本でブラブラと撮り歩くのも面白いですよ。
「SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary」は写りはもちろん、使っていて心地よいレンズです。カチカチと絞りリングを動かす感触、カチーン!とマグネット式メタルキャップをはめる儀式など、写真生活全体をアップグレードしてくれることでしょう。何気ないワンカットがきっとかけがいのない写真になるに違いありません。
20mm F2 DG DN | Contemporaryの主要諸元
レンズマウント:L マウント、ソニー Eマウント
焦点距離:20mm
レンズ構成:11群13枚(FLD1枚、SLD1枚、非球面レンズ3枚)
画角:94.5°
絞り羽根枚数:9枚 (円形絞り)
最小絞り:F22
最短撮影距離:22cm
最大撮影倍率:1:6.7
フィルターサイズ:φ62mm
最大径 × 長さ:
L マウント φ70mm × 72.4mm
ソニー Eマウント φ70mm × 74.4mm
質量:
L マウント 370g
ソニー Eマウント 370g
付属品:マグネット式メタルキャップ(LCF62-01M)、花形フード(LH656-03)
まとめ
「標準ズームレンズでは物足りない」、「明るいワイドレンズが欲しい」という人に強力にオススメできる1本です。F2という明るさ、金属製外装、絞りリング、開放からシャープな写り、軽量コンパクト、と「SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary」はスキがありません。他の「F2 DG DN」シリーズ3本と組み合わせて使いたくなる、そんなシグマからの素晴らしい20mmでした。オススメですよ~。
■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナーなどで活躍中。有限会社サスラウ 代表。