暑さが苦手な自分は、南の島には興味もなく、ましてやそこが撮影フィールドになるとは、思いもよりませんでした。


【コアホウドリ】ボートをチャーターして環礁内で撮影。この島は80万羽のコアホウドリが集まる。イルカ、アザラシ、小鳥など自然好きにはパラダイスな場所だった。
■カメラ:ニコンF5 レンズ:17-35mm F2.8 ズーム 絞り:f4 絞り優先オート マイナス2/3補正 フィルム:ベルビア プラス1増感 撮影地:アメリカミッドウエイ


───先生は、北海道での活動以外にも、近年では水中での撮影もされていますが、どのようなことから、「海」という新しいフィールドで撮影を始められたでしょうか?

 北海道で撮影の合間に本屋さんに入ってみたら、たまたま海亀の表紙のダイビング雑誌が目にとまり、何気なく買って車の中で見ていて、「南の島で海亀を見よう」みたいなタイトルのダイビングツアーの記事を発見しました。その時に何故か行ってみたいという気持ちになり、すぐに旅行社に電話をして参加の申し込みをしました。
 もともと私は北海道が好きで、海外でもアラスカに興味がありました。やはり北の方に行きたかったのです。しかも、私は暑いのが苦手だったのです。
 それにもかかわらず実際に行ったのがマレーシアにある小さな島だったんですが、参加してみたら楽しくて楽しくてしょうがなかったほどです。海の中に潜れば海亀は悠々と泳いでいるし、サンゴがいっぱいで周りには色とりどりの魚はいるし、まるで龍宮城のようでした。
 これで海というフィールドにはまってしまい、世界中のきれいな海に潜りたくなり、できあがった写真集が「今日は海曜日」なんです。


【サンゴの海】海水パンツ一枚で一日中海に浸かっていられる。それもこんなきれいな海で。ストレスも何もない。ファインダーを覗くのも楽しくて仕方がない。そんな海だった。
■カメラ:ニコンF4 ネクサスハウジング レンズ:シグマ15mm フィッシュアイレンズ 絞り:f5.6 絞り優先オート フィルム:ベルビア プラス1増感 撮影地:モルディブ

───そのようなことと関係があるのかも知れませんが、先生は「海亀」と「野生の猿」の作品で、アメリカのコンテストで入賞されています。これらはどうのようないきさつで受賞されたのですか?

 「ネイチャーズベスト」という賞がアメリカにはあるのですが、その内容を詳しく知らないまま、カナダに白熊の撮影に出かけて、その帰りに小さな飛行場で何か雑誌を買おうと思って、たまたま手にしたのが「ネイチャーズベスト」入賞作品の図録でした。そこには知っているカメラマンの作品が載っていて、これには刺激を受けました。
 そこで、日本に帰ってからアメリカの友人に手紙を送って、その賞のことを聞いてみたんです。そして、数多くのカメラマンたちが自分の作品をアピールするために、その賞に応募していることを知りました。その友人にもすすめられて応募したところ、2002年の風景写真部門入賞を果たしました。
 翌2003年には地獄谷の猿や、マレーシアで撮った海亀の写真を応募したら、動物写真部門の野生動物部門と絶滅危惧種部門で最優秀賞を受賞したのです。


【アオウミガメ】この亀は絶滅が心配されている。僕が訪れた撮影地ではそんなことも忘れてしまうほどにたくさんの亀に出会う。太陽を写しこみシンボリックに撮ってみた。
■カメラ:ニコンF4 ネクサスハウジング レンズ:シグマ15mm フィッシュアイレンズ ニコンSB105ストロボ フィルム:ベルビア100 プラス1増感 マニュアル 絞り:f5.6 シャッタースピード:1/125秒 撮影地:マレーシア


 当サイトに掲載されている写真・テキスト等を無断で複製・転載することを禁じます。