【帰宅どき】一日の仕事を終え電車を待つ人々の影が、夕暮れの日差しに長く延びる。
■カメラ:ニコンFA レンズ:80-200mm F2.8 絞り:f5.6 シャッタースピード:1/125 フィルム:RDPII SLフィルター使用 撮影地:鶴見線 安善

【テールランプ】隣の列車のテールランプが新幹線の車体を赤く染めた。光を放つもの、光を受けて輝くものだけの世界が夜景の魅力。
■カメラ:ニコンF100 レンズ:80-200mm F2.8 絞り:f5.6 シャッタースピード:1 フィルム:TREBI100C 撮影地:東海道新幹線 東京

夜景写真は、夜景を引き立てるアイディアや工夫が必要。

 「夜景を撮影するということは、当たり前ですが少ない光の中での撮影です。それだけに撮り方にもアイディアや工夫が必要でした。さらには、印象的な場所を探し出す”眼力“も大切です」。
 この時の体験が、鈴木さんの写真表現の方向性を定めました。その後、3年間は夜景の鉄道写真だけを集中的に撮影し、作品数もかなりの量になっていました。やがて、それらを何かのカタチにしたいという気持ちが強くなり、初の写真集『夜汽車』を出版にすることになったのです。

これからも鉄道車両や施設は写していきますが、
それらを取り巻く周りの環境や人の営みも表現し続けます。


 「私の撮影する被写体は、日常の中で普通に存在しているものです。皆さんが通勤通学に利用されている列車であったり、旅先で目にした駅での光景なども多くあります。しかし、それらのものを目の前にした時に、単にシャッターを切るのではなく、撮る前に自分の方から何かしらの働きかけをして撮影するように心がけました。そのことが、自分の写真の個性となって表現されているのではと思います」。
 ひとくちに鉄道写真といっても、さまざまな分野があり、幅広いものだとおっしゃる鈴木さん。日本国内はほとんどの地域を巡られたそうですが、まだまだ行ってみたいところが数多く残っているそうです。
 「現在は地方の私鉄に興味があります。次はあそこに行ってみよう、と思っていても時間が取れないので、結局思いだけで終わってしまうことが多いのですが」。

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