新婚旅行で訪れた上高地で目にした、
大自然のすばらしさに感動。。

　高校を卒業して地元福岡に支店のある銀行に勤めていた熊本さん。やがて東京へ転勤となり独身寮へ。
　「寮の仲間はみんないいカメラを持っており、私も先輩に勧められて買うことにしました。まだそんなに詳しくはなかったので、カメラ店へ行き、『一番いいカメラをください』と、店員の人に言って買ったのがキヤノンF１でした」。
　ただ、その頃は撮りたい写真があったわけではなく、カメラという機械が好きだったとおっしゃる熊本さん。
　「当時カメラといえば一生ものでしたので、宝物を手に入れた感じでした。モデルの撮影会などにもよく出かけましたが、一番感動したのは新婚旅行で訪れた上高地で見た大自然のすばらしい景色でした」。
　それからは自然風景写真を撮るようになり、やがて熊本さんは生涯の撮影テーマとなる”滝“と運命的な出会いをします。それは偶然に訪れた秋の日光での出来事でした。

秋の日光で「滝」と運命的な出遭い。
しかし、自然風景写真は暫くお休み。

　「上高地に行った半年後、1979年に秋の日光に出かけました。華厳の滝、竜頭の滝、湯滝と巡ったのですが、お天気にも恵まれて紅葉の美しさと滝の迫力に圧倒されてしまいました。この時、写真を撮り始めて数年で生涯の撮影テーマとなる”滝“に出遭ったのです」。
　しかし、その後はお子さんが産まれたこともあり、熊本さんの被写体はこども中心へと移っていきました。また、中学生の頃からひざが悪かった熊本さんは、リハビリのためにウエイトトレーニングをしていました。その延長でボディビルに力を入れ始め、ますます風景写真から遠ざかっていくことになりました。
　「そのときの経験を生かして、東京での銀行員生活に別れを告げ、現在勤務しているホテルのフィットネスクラブに転職。33歳の時に地元福岡に戻ってきました。そして、1992年には福岡県のボディビルのチャンピオンにもなりました。自分なりの達成感もありましたので、何か次の目標をと考えていた時に、もう一度写真を撮ってみようと思ったのが1994年。書店で写真雑誌を眺め、手にして見たのが竹内敏信先生の紅葉の写真でした。その時から再び風景写真を撮り始めるようになりました」。

ブランクの間にカメラが進化していたのに衝撃を受け、最新モデルを購入。

　「その当時モデルの撮影会に参加して驚いたのが、まわりの人のカメラがかなり進化していたことです。私は以前からF1を使っていたのですが、すべての操作がマニュアルで、当然オートフォーカスはついていません。そうするとピントを合わせている間にモデルさんが移動してしまい、みんなの撮影スピードについていけなかったのです。そこですぐにキヤノンEOS5を買いました。F1に比べるとオート機能が満載だったのでとても驚きました」。
　カメラも新しいものを手に入れた熊本さんは、どこで撮影しようか考え、比較的住まいの近くにある坊主ヶ滝や白糸の滝に行くことにしました。最初は近場にある滝から撮りはじめ、徐々に遠くへ足を延ばすようになりました。
　「滝は写真ならではの表現が生かせるので、すぐにのめり込んでいきました。再び滝を撮り始めて思い出したのは、以前に訪れた日光です。九州以外の滝にも魅力を感じ、日光にはもう一度行ってみたいと思いますが、やはり地元ならではの風景を追求して、九州の滝をこれからも撮り続けて地元発信にこだわっていきたいです」。