【瀑雷】大雨による被害を受けた南九州。梅雨明けの朝、滝への階段も遮られやっとの思いでたどり着き撮影した。豪瀑、しかし大雨の後とは思えないほど水は澄みきっていて、一帯に轟く大瀑音と水飛沫にしばし呆然となった。
■カメラ:キヤノンEOS5 レンズ:28-70mm シャッター優先 1/500秒 +1補正 フィルム:RHPV 撮影場所:千里ヶ滝
落差75m 鹿児島県霧島市霧島田口 |
【静かな空間】落差もなく直瀑の単調な滝だが、大きく迫り出した新緑の楓、名水100選に選ばれた滝つぼに浮かぶ岩、屏風絵のような岩盤が一体となって日本画のような佇まいを見せてくれた。
■カメラ:キヤノンEOS3 レンズ:70-200mm シャッター優先1秒 フィルム:E100VS 撮影場所:轟の滝
落差12m 長崎県諫早市高来町 |
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神秘的なオーロラは味わったことのない感動。
それは幼い頃の原体験から繋がっていた。
以前から滝の写真集を出してみたいという思いがあった熊本さん。しかし、その思いを後押ししたのは意外な出来事でした。
「雑誌の懸賞でカナダのオーロラツアーに応募してみました。周囲からは当たるはずがないと言われましたが、驚いたことに当選したのです。そして幸運にもオーロラを見ることができました。それは今までに味わったことのない感動でした。日本に帰ってから、オーロラを見た感動の勢いで、九州地方のカメラマンの写真集を出版している海鳥社という出版社を直接訪ねてみました。実はドアの前で逡巡しましたが、思い切って中に入ると、たまたま社長さんが在社されていてお会いすることができ、私の話を聞いてくれました。とにかく滝を撮った作品を持ってくるよう言われ、日を改めて再び出版社を訪問。その時は社長と編集長二人で、私のポジをルーぺでじっくりと見てくれました。そうしたら意外にもGOサインを出してくれたのです」。
ところがその時は60ヶ所ほどの滝の作品しかなく、熊本さん自身ではキリのいい100の滝を載せたい気持ちがあったので、その後半年の間に残り40の滝を撮ることになったそうです。特に南九州地方の滝が少なかったので、奥様と二人で仕事が休みになる度に出かけられました。
撮影はいつも奥様と一緒。
感動は一人より二人で分かち合ったほうがより楽しい。
「撮影はもちろんですが、地元の名物に出会えることも撮影旅行の魅力のひとつです。今度の写真集でも滝の写真以外に、地図や周りの風景なども掲載しています。特に地図を載せたことで読者からの反響がありました。そして、撮影にはいつも家内と一緒に行っています。感動は一人より二人で分かち合った方が楽しいもの。最近は家内も写真を撮るようになりました。撮影の後は二人で地元のおいしい料理を食べて、温泉に入って、野菜を買って帰り、家でも楽しんでいます」。
実は熊本さんの写真集には、何ヶ所かにさりげなく奥様やお嬢さんが写っています。滝という大自然を愛している熊本さんは、同時にご家族もとても大切にしていらっしゃいます。そんな熊本さんは、自然と接する機会が多いが故に気なることがあるとおっしゃいます。
「日本にはまだまだ豊かな自然が存在しています。しかしそれもわれわれ人間が守らないとすぐに消えてなくなってしまうもの。この写真集を通じて、自然環境の大切さを皆さんにもぜひ知って欲しいと思います」。
地元発信にこだわり、今後の目標は、「何らかの形で九州の滝の写真集をもう一冊出すこと」だとおっしゃる熊本さん。また、今回の写真集に出ていない滝もたくさんあるので、それらを訪ねる予定だとか。次回の“九州の滝”にも期待したいと思います。
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