写真を撮り始めてから、
人とのコミュニケーションがうまく取れるようになった。
――小さな頃からご自宅にカメラがあったとお聞きしております。
写真を撮るようになったきっかけについて教えてただけますか?


 高校生の時、卒業アルバム委員というのがありまして、その担当になってクラスみんなの写真を撮ることになったのがカメラとの出会いでした。
 最初の頃は家にあったコンパクトカメラで撮っていたのですが、どうしても思い通りに撮れないので、親に頼んでキヤノンEOS650を買ってもらいました。家には父親が使っていたミノルタX-700という一眼レフカメラもあったのですが、マニュアルフォーカスなので動きがあるものを撮るには適していません。それと私は左肘が少し不自由でしたので、ピント合わせがスムーズに行なえません。そこでオートフォーカス機能付で発売したばかりのEOS650を買ったのです。

――写真を撮り始めた先生にとって、写真の魅力とはどのようなことだったのですか?

 実はアルバム委員になるまでは、人とコミュニケーションを取るのが苦手でした。しかし、写真を撮り始めたことがきっかけになり、人とのコミュニケーションを積極的に取れるようになりました。撮った写真を見せると、みんなとても喜んでくれました。写真を撮ることで、自分が自分を表現できる手段を見つけることができました。
 それ以来、写真を撮るのが楽しくなり、よく撮っていたのが妹のポートレート写真。それ以外では旅行先でのスナップなどを撮っていました。


【The image of the watercolor】重なり合い、混じり合い、ふんわり色を纏わせるようなイメージで撮りました。水彩で色を重ね、創り出すような感覚です。メインの被写体だけでなく、前景と背景に相当気を配ります。
■カメラ:キヤノンEOS-1Ds MarkII レンズ:キヤノンEF100-400mm F4.5-5.6L IS USM 絞り優先AE(f5.6) +0.5補正 ISO100 撮影地:富良野

二十歳のお祝いは何故か600mm。
そのレンズで撮った写真が上位入賞。
――フォトコンテストに入賞もされていたとお聞きしています。
どのような写真だったのでしょうか?

【好き!】キリンはケニアの動物の中でも好きな被写体のひとつです。独特な姿形は草原でとても絵になります。こうして長い首を優雅に曲げて甘える姿など、微笑ましいシーンに沢山出会えます。
■カメラ:キヤノンEOS-1D MarkII N レンズ:キヤノンEF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM 絞り優先AE(f8) +0.5補正 ISO100 撮影地:ケニア

 


 先ほどもお話しした妹のポートレートで入賞したこともありました。私はすごくうれしかったのですが、妹はぜんぜん喜んでくれませんでした(笑)。
 やがて成人式の時に、母親に振袖はいらないから300mmの望遠レンズが欲しいと頼みました。しばらくすると、300mmではなく何故か600mmのレンズが届きました。レンズに合わせてマンフロットの大型三脚も一緒。驚いて母親に聞いてみたところ、「大は小を兼ねると言うでしょう」と、あっさり言われてしまいました(笑)。
 ところが、600mmのレンズで撮れるものはそんなにあるわけでもなく、あまり使っていなかったら、「せっかく買ってあげたレンズをなぜ使わないの?」と母親に言われ、仕方なく野鳥の写真を撮ったりもしていました。
 そんなある時、父親と富士山の写真を撮りに行ったのですが、雨が降り出したので撮影を中止しました。そうしたら父親が「富士スピードウェイに寄って行こう」と言うんです。私はレースには全く興味はなかったのですが、濡れた路面に映るレーシングカーがきれいだったので600mmを使って撮ってみたところ、思いのほかよく撮れていたので、キヤノンのレディースコンテストに応募してみました。その作品が“準クイーンズ賞”に入賞したんです。それがきっかけになり、サーキットへ通うようになりました。
 大学を卒業して勤め始めてからもしばらくは富士スピードウェイや鈴鹿サーキットに行っていました。通算7〜8年は通っていました。この頃はコンテストなどに応募するよりも、写真を撮ることが楽しくてレースのある週末は撮影にでかけていましたね。当時のサーキットで写真を撮っているのはすべて男性でしたので、非常に珍しがられたものです。

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