カメラメーカーに就職して毎日スタジオで撮影。太陽の陽を求めケニアへ旅行。
――大学卒業後、就職されたところは写真関係だったのですか?


 実は就職したのはキヤノンだったんんです。学生時代からキヤノンのカメラを使い、さらに、キヤノンサロンに通っていたこともありましたのでキヤノンに就職しました。最初の4年間はカメラ開発の部署におり、主に技術資料などを作っていました。後の4年間は宣伝部の中にある写真制作という部署にいました。そこは宣伝用の写真を撮るセクションでした。カタログに載せるカメラ本体から、医療機器までさまざまなものを会社の中にあるスタジオで撮っていました。また、その他に行事記録や工場など建物の撮影もしていました。

――写真家として独立されたのはどのようなきっかけだったのでしょうか?

 もともと写真を撮ることが好きでキヤノンに入社し、念願かなって写真を撮る部署に行くこともできたのですが、一番多かったのが“物撮り”でした。一日中スタジオにこもっての撮影なのですが、元々サーキットなど外で撮影することが好きだったので、だんだん太陽の下で写真を撮りたくなってきたのです。
 ちょうどその頃にアフリカのケニアに旅行する機会がありました。ケニアの広大な自然の中に身を置くと、すごく開放的な気分になれました。その時に撮った写真で1999年に銀座のフジフォトサロンで初の写真展を開き、そしてもっと外で写真を撮りたくなり、思い切って会社を辞めて独立することにしたのです。


【母の貫禄】ヒョウはなかかな見られない動物のひとつです。小高い岩場の上のヒョウの見つめる先には、大きなバオバブの木があって、そこに子供のヒョウが登っていました。気高く美しく、そして優しい母の目です。
■カメラ:キヤノンEOS-1D MarkII N レンズ:キヤノンEF500mm f/4L IS USM 絞り優先AE(f4.0) +1補正 ISO100 撮影地:ケニア


【カーブ】アンスリウムの花の曲線が、誘うように見えたので、あえてそこだけにピントが合うように撮影してみました。艶っぽく、色っぽいイメージで。
■カメラ:ペンタックスK10D レンズ:PENTAX D FAマクロ50mmF2.8 絞り優先AE(f2.8) +0.5補正 ISO100 撮影地:南房パラダイス

 

【ふわり、蝶のイメージ】地面に寝ころんで、何気なく下から眺めてみたシラン。やわらかな羽根がふんわり空を舞う蝶のイメージで。
■カメラ:オリンパスE-410 レンズ:ZUIKO DIGITAL ED 50mm Macro 絞り優先AE:f2.0(+2補正)ISO100 三脚使用 撮影地:神代植物公園

 

直感に従い、被写体の「色」と「形」にこだわり、絵を描くような気持ちで撮影。
――現在、「The colors of nature」というテーマで自然風景や動物写真を撮られていますが、そのテーマについて詳しくお聞かせください。

【ハートの音符、見つけた!】マクロの世界は発見がいっぱいです。ケマンソウの花の並んだ姿はとってもキュート!ピンクのハートが音楽を奏でているようなハッピーなイメージで。
■カメラ:オリンパスE-410 レンズ:ZUIKO DIGITAL ED 50mm Macro 絞り優先AE:f4.0(+1.7補正)ISO100 三脚使用 撮影地:神代植物公園


 私は写真を撮るテーマにこだわりというものがあまりありませんでした。ですから初めの頃は好きなものを手当たり次第に撮影していました。学生時代から“ポートレート”と“花のマクロ”と“レース”の写真が大きな3本柱。それぞれはぜんぜん違う被写体ですが、後から思い返してみるとそこには共通点がありました。
 例えば、私の場合はレースの写真を撮っていても、マシンの性能やドライバーには興味がありません。それよりも“形”や“色”が一枚の画面の中に溶け合う感じがすごく好きなんです。ですからわざとブラしたような写真を撮っていました。最初の写真展でも、『色が独特だね』とよく言われていました。そこで自分でも“色”を大きなテーマとして活動していくことにしたのです。
 自分の感覚としては、抽象画ではないのですが、『絵を描く』ようなイメージで写真を撮りたいと思っています。それは無意識に色を創り出すことだと思います。でも結構直感で撮ってしまうことが多いですね。きれいだとか、気持ちいいとか、面白いとか感じた瞬間を感覚的にとらえています。

【乱舞】コロニーから、ヒナに与える餌を求めて海へ向かうセグロアジサシたち。空一面の鳥、賑やかな鳴き声と波の音を聞きながらシャッターを切りました。
■カメラ:キヤノンEOS-1V 撮影地:セイシェル

 

 

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