種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2013.12.06【Vol.146】
第二次世界大戦後、東西に分割されたドイツ。それまでドイツ国内にあったカメラメーカーも同じく東側、西側に別れることになりました。このペンティは戦後東ドイツになったドレスデンの南西、フライタールと言う町にあったWelta Kamera Werkeで生産されました。
はじめペンティは1958年にORIXという名称で発売されましたが、1年以内にPenti(ペンティ)という名称に変更されました。その後VEB KKWDへと会社変更及び生産拠点が変更されていきます。生産は1958年から1977年頃まで行われますが、その間、細かく分類するとペンティは0型、Ⅰ型、Ⅱ型にモデルが変更していきます。基本的な構造はすべて同じで、露出計付きのものと搭載されるレンズによってモデルが違う程度です。生産数は膨大な数にのぼり、ヨーロッパのフリーマーケットや中古カメラ店でそれらの多くを見つけることができます。
軽量なアルミで最中のような構造のシンプルなボディーには30mmF3.5 3枚玉のTrioplan及びDomiplanレンズ、B~1/125まで4速のシャッターを搭載。そしてプランジャーと呼ばれる煙突のように突き出た棒を一気に押し込むことで巻き上げとシャッターチャージを行います。この巻き上げは西側のフォクトレンダーのヴィテッサというカメラでも有名です。
使用するフィルムはSLカセット(ラピッドマガジン)入りの35mmフィルム、画面サイズは18×24のいわゆるハーフサイズです。特徴的な金色のボディーカラーに赤や淡いグリーン、ベージュ、黄色、青、黒などでフチ取りされたカラーバリエーションがあります。ペンティーはわずか250g~300g弱の軽量で小さくてポケットに入るほど手軽なカメラです。また専用マガジンさえ手に入れば、通常の35mmフィルムを詰め替えることで撮影が可能です。