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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2013.04.26【Vol.113】

クラシックカメラ話「ライカⅢF」

「ライカⅢF」

第二次世界大戦後の1950年に新しく発売されたライカの新モデルⅢFがあります。1925年のライカA型以来、25年間もの間、改良を続けながらも基本的なデザインはかわらずに発売され続けたライカですが、このⅢFになって今までにない大きな変更点が備わりました。それはストロボおよび閃光電球の同調装置、いわゆるシンクロ接点の装備で、ⅢFのFはフラッシュのFからとったものと言われています。また、ⅢFは1957年まで製造されますが、ライカM3が発売された1954年、それ以降のモデルにセルフタイマーを内蔵しています。

旧来までのライカはシャッターダイアルに専用の付属品を装備したり、カメラ底蓋をフラッシュ撮影専用のものに取り替えるなど、使いたいときにすぐにフラッシュ撮影ができるような機能を有していませんでした。レンズシャッターカメラと違い、ライカのようなフォーカルプレーンシャッターにおけるフラッシュやストロボの同調は簡単なことではなかったようで、閃光電球の品質が安定するまで、カメラにシンクロ接点を設けるのを待っていたとも言われています。とはいえ、ⅢFが発売された1950年にはすでにストロボも実用化され、多くの撮影現場におけるシンクロ撮影は急務であったとも考えられますし、ライカがフラッシュの同調装置を備えたこと自体は他のカメラに比べて決して早いわけではありませんでした。

今では当然のようにカメラに内蔵されているストロボは、わざわざ同調させるという操作を行わずとも手軽にストロボ撮影が行えます。カメラにストロボが内蔵されるのは1964年のフォクトレンダー「ビトローナ」まで待たなければなりませんが、それまでは接点にコードを繋げてストロボやフラッシュをシンクロさせることが当たり前でした。そのコードを差すだけの同調機能をライカとして初めて搭載した記念すべきモデルがⅢFといえるでしょう。ちなみに1950年から1957年までの間におよそ18万台以上生産されたカメラですので、ライカの中では一番多く見かけることができます。


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