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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2015.01.30【Vol.203】

レンズの歴史

ラテン語で扁豆(レンズマメ)という語源を持つレンズは、そのかたちが凸レンズに似ていることから名付けられたとされています。主にガラスでできているレンズは写真撮影用以外に眼鏡や望遠鏡などの光学製品には欠かせない素材です。レンズはもともとは紀元前に太陽光を収束して火を得るための道具として利用されたとの記録があるようで、たしかに理科の実験で虫眼鏡を使った実験が思いだされます。

写真用レンズの基本は主に、炭酸ソーダとケイ酸カリウムが主原料のクラウンガラスと鉛とケイ酸カリウムを加えたフリントガラスの2つに分かれます。もちろん、原料に何を混ぜるか、その含有量によりガラスの屈折率などを変えることができ、それらを組み合すことでさまざまな写りを持つ撮影レンズ設計することができます。

写真黎明期からすでに撮影用レンズ改良は始められており、フランスのシャルル ルイ シュバリエによるダゲレオタイプ用アクロマチックレンズや1841年にはハンガリーの数学者であるヨーゼフペッツバールがクラウンガラスと、フリントガラスを2枚ずつ使用したポートレート用レンズを発明しました。当時は開放F12~F16程度の暗いレンズが多い中、このレンズはF3.7の明るさを持っていました。1800年代の写真撮影の対象物は動かない風景、そして人物撮影に限られていて、歪みが少なく、画面中心部が特にシャープであるレンズが求められていました。しかしカメラや感光材料の進化に伴い、撮影できる被写体の幅が一気に増え、それにつれ人像用や風景用といわれていたレンズは次第に旧式になっていきます。その後は明るい大口径レンズや超広角レンズ、超望遠レンズ、そして第二次大戦後に写真用ズームレンズの発明となります。

今ではレンズ素材にガラスだけでなくプラスチックも多用され、球面の加工もそのほとんどが自動化されています。コンピューターで設計のやり直しができる今と違いすべてを人間の力で行っていた時代の光学製品での撮影を試みたいものです。


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