【フィルムカメラ】沈胴式レンズでシンプルなデザインが魅力「チノン Belami AF」

坂井田富三
【フィルムカメラ】沈胴式レンズでシンプルなデザインが魅力「チノン Belami AF」

はじめに

今回セレクトしたのは1989年2月に発売されたコンパクトフィルムカメラ「チノン Belami AF」です。1989年はちょうど「昭和」から「平成」に変わった年にあたり、平成元年に発売になったコンパクトフィルムカメラになります。

「チノン」というブランドには聞きなれない人も多いかもしれませんが、現在の長野県茅野市で創業された会社で、8mmシネカメラ、35mmカメラのチノンブランドを展開するほかに、国内外のカメラメーカーなどにOEMで製品を出荷していた会社でしたが、1990年代に経営不振に陥り2004年にコダックの子会社により吸収合併されたメーカーです。

この「チノンBelami AF」は、知名度が無く普及型のコンパクトフィルムカメラなので記憶に残っている人は少ないと思いますし、中古市場でもあまり見ることの無いカメラの部類になると思います。筆者も格安で入手したカメラですが、そんな「チノンBelami AF」の魅力と写りを紹介したいと思います。

チノン Belami AFの魅力と特徴

「チノン Belami AF」の魅力は、沈胴式レンズの採用によるシンプルなデザインではないでしょうか。筆者がこのカメラに惹かれたポイントはシンプルなデザインなのに、何かチグハグな感じが漂っているところです。普及型のカメラにある全体的なチープ感はともかく、カメラの名前やメーカーロゴなどは縦位置のイメージで配置されているのに、レンズカバーを開けるとレンズスペックなどの文字は横位置。

レンズカバーを開けると沈胴式レンズが出てくるのと同時にサイドからフラッシュも飛び出すギミック。その連動は問題ないのですが、撮影が終わってレンズカバーを閉めてもフラッシュは飛び出したままというのがなんとも言えない仕様です。手動でフラッシュを格納しなければなりません。また、レンズカバーが開いている状態ではフラッシュを格納する事ができないので、撮影時にどうしてもフラッシュを発光させたくない場合などは、手でフラッシュを押し込みながら撮影をしないといけないようです。

いろいろな面でカメラのデザイン・操作性について考えさせられるカメラのようです。いっそのこと縦位置でハーフサイズカメラだったら、このデザインがもっと活かされるのではないかなと感じたりします。

そんな感じでいろいろツッコミどころが満載のカメラですが、そんな点も魅力を感じるポイントなのかもしれません。

チノン Belami AFの基本スペック

「チノン Belami AF」の基本スペックですが、普及型のカメラなので非常にシンプルな仕様になっています。オートフォーカスのカメラですが、オートフォーカスのピントの合う範囲が1m~になっているので、実際に撮影している時は正直オートフォーカスで撮影しているというよりはパンフォーカスで撮影しているような感じです。

レンズ付きフィルム「写ルンです シンプルエース」のスペックが、焦点距離32mmで撮影距離範囲が1m~無限遠なので、スペック的にはかなり「写ルンです シンプルエース」に近いスペックのカメラです。

使用フィルム 35mmフィルム
レンズ 35mm F3.9(3群3枚)沈胴式
シャッター速度 メカニカルシャッター 1/60~1/125秒
露出調整 Cdsによる簡易式プログラムAE
フィルム感度 「100/200」と「400/1000」の2段階でDX自動設定
ピント合わせ 赤外線アクティブ方式AF(ピント調整範囲1m~無限)
電池 3Vリチウム電池(CR123A)1個
大きさ 幅 126mm × 高さ 66mm × 奥行 42.5mm
質量 230g(電池別)
当時価格 本体29,800円、ケース2,000円
発売年月 1989年2月
ボディ上部はいたってシンプルでフィルムカウンターとシャッターのみ
レンズカバーを開けて撮影可能な状態。撮影終了後のフィルムの自動巻き戻しには対応していないので、フィルムを取り出す際には、カメラの下部にあるフィルム巻き戻しレバーを手動で操作する必要があります
ボディ下部には、フィルム巻き戻しスイッチレバー
使用する電池は比較的入手のしやすい「CR123A」
フラッシュは低輝度の際に自動発光。有効範囲は1.3~3.2m
ファインダー内は非常にシンプル。低輝度の場合に警告で左上部が赤く光る
フィルムを装填するとオートローディングでカウンターが「1」まで送られるようになっています。撮影に関しては非常にシンプルで、構図を決めてシャッターを押すだけ。とにかく誰でも簡単に使えるのが「チノン Belami AF」です。感覚的にはレンズ付フィルムの「写ルンです」とほぼ同じです

チノン Belami AFでスナップ撮影

■撮影機材:チノン Belami AF
■撮影環境:ISO400 焦点距離35mm フジカラー PREMIUM 400
※フジカラーCDでデータ化

さっそく「チノン Belami AF」を持って、街中スナップ撮影をしてきました。「チノンBelami AF」は単焦点のコンパクトフィルムカメラで、大きさ的にはこの頃の標準的サイズで決して小さいとは言えないのですが、沈胴式レンズの採用によってカメラの凹凸の少ないデザインになっているので携帯性は優れていると思います。

実は撮影をする前は、シャッター速度(1/60~1/125秒)に関してやや不安を感じていました。シャッターストロークがやや深い感じでそれほど速いシャッター速度でもないので、手ブレをおこすことが多くなるかもと思っていたのですが、撮影した写真を見返してみても手ブレなどは見られることはなく心配は稀有に終わりました。

■撮影機材:チノン Belami AF
■撮影環境:ISO400 焦点距離35mm フジカラー PREMIUM 400
※フジカラーCDでデータ化
■撮影機材:チノン Belami AF
■撮影環境:ISO400 焦点距離35mm フジカラー PREMIUM 400
※フジカラーCDでデータ化
■撮影機材:チノン Belami AF
■撮影環境:ISO400 焦点距離35mm フジカラー PREMIUM 400
※フジカラーCDでデータ化
■撮影機材:チノン Belami AF
■撮影環境:ISO400 焦点距離35mm フジカラー PREMIUM 400
※フジカラーCDでデータ化
■撮影機材:チノン Belami AF
■撮影環境:ISO400 焦点距離35mm フジカラー PREMIUM 400
※フジカラーCDでデータ化
■撮影機材:チノン Belami AF
■撮影環境:ISO400 焦点距離35mm フジカラー PREMIUM 400
※フジカラーCDでデータ化
■撮影機材:チノン Belami AF
■撮影環境:ISO400 焦点距離35mm フジカラー PREMIUM 400
※フジカラーCDでデータ化
■撮影機材:チノン Belami AF
■撮影環境:ISO400 焦点距離35mm フジカラー PREMIUM 400
※フジカラーCDでデータ化

普及機クラスのカメラとしては、非常に良い写りをするカメラです。歪曲収差も少なく解像度も高いレンズです。コントラストは少し低く感じますが、全体的には満足度の高い写りを提供してくれています。

まとめ

「チノン Belami AF」は発売から35年も経っている普及型のコンパクトフィルムカメラで、メーカー知名度も低いので中古市場ではお得に入手可能なカメラです。ただ発売されていた当時も人気がなかったメーカー・カメラなので、現在の中古市場には多くは残っていないかもしれません。「写ルンです」感覚で手軽にフィルム撮影を楽しみたい方、他の人とは違ったカメラで楽しみたい方にマッチするカメラではないでしょうか。

 

 

■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。

・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師

 

 

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