全国絵になる水族館めぐり撮影旅~沖縄編~
はじめに
皆さんこんにちは。写真家の虫上です。今回から新企画として、南は沖縄から北は北海道まで全国の水族館を巡ってその土地ならではの水族館を紹介していきます(過去の連載記事「まるで○○撮影」シリーズはこちら)。
最近、日本には3Dマッピングを利用したり、アート表現のためにハイテクを駆使した展示や変わったアングルで見学できたりする水族館が次々とできています。なんと実は現在、全国に水族館は約150か所もあるんです。驚きですよね。その中で絵になる水族館や撮影することが楽しくなる水族館をピックアップして、南から順番に紹介していきたいと思っています。皆さんのお近くの水族館やいつか行ってみたい水族館が出てきましたら、撮影旅行のバイブルとして参考になれば幸いです。さて、記念すべき最初の水族館は沖縄編です!
超ハイテク水族館「DMMかりゆし水族館」とは!?
2021年7月にリニューアルオープンした出来立てホヤホヤの水族館、その名もDMMかりゆし水族館にまずは行って来ました。なんでも、映像コンテンツと空間演出が凄いとのこと。
白を基調とした入口に奇麗な演出が期待できます。入館してまず最初に通された部屋では、この水族館のコンセプトムービーが流れつつ、ダイナミックなサラウンド音響も相まってまるでUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)に来たような錯覚を起こします。この演出でこれから先の展示にかなりの期待感が出ますね。ただ、ここだけは撮影禁止ですから皆さんは実際に行ってみてください(笑)。
まず、入館すると奇麗な大型ハイビジョン水槽がお出迎えしてくれました。床面への映り込みまで計算された美しい展示に思わず息をのみます。そして次に右のスマホの案内板(アクセスポイント)に目がいきます。
なんと、この水族館は展示している魚の説明はスマホで見られるとのこと。掲示板のスマホの部分に自分のスマホを当てると、その場所付近での展示説明が出るんです。これは試してみるととても素晴らしいサービスでした!館内はWi-Fi完備なのでダウンロードやアクセスも大丈夫でした。展示説明が表示されるのに少しタイムラグもありましたが、慣れてしまえば気にならなくなりました。是非皆さんも試していただきたいですね。逆にスマホがないとちょっと物足りないかも……
こちらは金魚のような魚。実は金魚では無くてコスタリカに住む淡水魚なんだとか。このように、周りの方に迷惑をかけずに目の前の魚の説明を詳しく見られるのはとても素晴らしい試みだと感じました。
さて、はやる気持ちを抑えながら淡水魚のコーナーではシルバーアロワナのみの展示に目がいきました。背景も暗く落とすことができ、同じ種類のアロワナが泳いでいますので前ボケにもう一匹のアロワナを取り入れてみました。このような写真は水族館でしかなかなか撮影できないので素晴らしい展示ですね。
お次は案外全国の水族館でもたまに見かけることがある、ブラジルカイマン。半水面写真はいつ見ても不思議に見えますよね。
淡水から海水の水槽に向かう区切りとして「うみかじドーム」があります。ここで撮影できた作品、誰が見ても驚愕の写真ですがこれは実際の背景は映像なんです。いつか本当にこのような場面で撮影出来たらな……と考えてしまいますね。それだけ最新の水族館のアイデアは凄いということですが。
かわいらしいハコフグの幼魚の展示もゆっくりと撮影できました。実際の海でもこの幼魚はたまに見かけるのですが、サンゴの隙間に入り込んで撮影がしにくい被写体の一つ。しかし水族館ならこんなカットも簡単に。
人気者のゼブラオレンジのチンアナゴ。餌やりタイムの時は全てのチンアナゴが砂からにょきにょき出てくるのでねらい目ですよ。
近未来的な形の水槽に魚たちが泳いでいました。絵になるサメが来るのを待ちました。
ここの水族館の目玉でもある、クラゲの水槽。凄く幻想的で何時間も居たくなります。この写真は魚眼レンズで撮影しました。
このように水槽の映り込みもわざと取り入れると透明感や立体感が表現できます。
さらに、クラゲ水槽を動画でも撮影してみました。どんな雰囲気なのか、また、どんなアングルが作品になるのかが伝われば幸いです。
DMMかりゆし水族館
入館料金は大人(18歳以上)2400円、中人(13~17歳)2000円、小人(4~12歳)1500円で、スマホをかざして入場できるWebチケットも販売している。営業時間は10時~22時(入場は閉館の90分前まで)。無料駐車場あり(イーアス沖縄豊崎の敷地内)。開館日、営業時間はWebサイトやアプリで確認してくださいね。
HP:https://kariyushi-aquarium.com/
展示規模 ★★★☆☆
コストパフォーマンス ★★★★☆
撮影向き ★★★★★
お勧め度 ★★★★☆
老舗の「沖縄美ら海水族館」
次に向かったのは沖縄を代表する、誰もが知っているジンベイザメで有名な美ら海水族館に行きました。
まずは入り口から巨大なジンベイザメのモニュメントがお出迎え。
やはりそのインパクトからか巨大水槽に釘付けになりますね。この写真は魚眼レンズで巨大水槽の近くまで寄って撮影しました。大きさや面白さを対比させる人物のシルエットがポイントですね。現在、ジンベイザメとマンタが同時に見られるという贅沢な展示になっていました!
しかも、そのうち1匹はなんとダイバー憧れの全身が黒いブラックマンタです!(右上の黒いマンタ)
人物の大きさとジンベイザメの対比が本当に素晴らしい展示ですね。絵になりますね。動画も撮影したのでご参考に。
光と影を意識して作画しました。
はく製の展示も多々あります。はく製の場合はモノクロにすると印象的な作品になりやすいです。
ここはとても大きい水族館なので、巨大水槽以外に様々な魚の水槽があります。しかも、展示スペースに余裕があるのでじっくり観察&撮影できます。
からだ全体が光る魚や……
眼だけが光る魚の展示も……
流行りの暗闇で光る魚シリーズの展示もあり、涙が出るほど感動しました。ブラックライトで照らされた魚もシャッターチャンスを逃しにくいミラーレスカメラと明るいレンズ、そして超高感度(ISO)撮影が出来る機種があれば、写真の成功率は非常に高くなります。撮影するときは被写体ブレが生じやすいのでシャッター速度に注意しながら撮影しましょう。
ダイバーとエイ。エイが手前に来るのを待って撮影。こちらも大きさの対比で表現しています。
イソギンチャクを背負ったヤドカリ。これ、見たかったんですよね~。まさか水族館で見られるとは嬉しかったです。
自然の光が差し込んでいる水槽。ウミガメを幻想的に。
ウミガメはシルエットがとても奇麗なので、水槽に差し込む光などをうまく利用して撮影すると絵になります。動画を見るとどのタイミングがシャッターチャンスなのかが判ると思いますので参考にしてください。
沖縄美ら海水族館
入館料金は大人(18歳以上)1880円、中人1250円、小人620円でした(2021.11時点)。営業時間は8時30分~18時30分(入場は閉館の1時間前まで)。大型無料駐車場あり。開館日、営業時間はWebサイトやアプリで確認してくださいね。
HP:https://churaumi.okinawa/
展示規模 ★★★★★
コストパフォーマンス ★★★★★
撮影向き ★★★★☆
お勧め度 ★★★★★
今回の水族館撮影テクニック
今回訪れた2つの水族館ですが、DMMかりゆし水族館はアート志向、美ら海水族館はダイナミック志向と対照的でとても良かったです。共通点としては展示の照明等が凝っていて写真の色がなかなか出にくいため、カメラのホワイトバランスを頻繁に替えて撮影しました。また、スポットライトも多いので露出補正も常に変更して撮影しています。
このような撮影状態の中、常にファインダーから目を離さずに作画状態が確認できるミラーレスカメラがとても撮影しやすいのでお勧めです。どちらの水族館も午前中は人が多く、午後から人が少なくなるので再入館できる水族館は2回周ると良いかと思います。
【番外編】ダイビングでリアルを体験してみよう
私はスキューバダイビングでの撮影もしていますが、沖縄に来たら是非とも大自然の中でリアルを体験してほしいですね。ライセンスが無くても体験ダイビングもできますし。もちろん見られる魚の豊富さや手軽さを考えると水族館に分があるのですが、船で大海原に出るととても感動的ですよ。
沖縄でも慶良間諸島まで来ると、このようなバスクリンのような青々とした海を見ながらランチしたりダイビングしたりできます。この開放感がとても素晴らしいので是非!!
今回1日だけ那覇のショップで予約して慶良間(けらま)諸島に船で行って来ました。丸1日ケラマクルーズしてダイビングすると、1万5千円くらいから楽しめます。最近は水中カメラも機材も無料でレンタルしてくれるショップもあり、とてもサービスが良いですよ!
コンパクト水中カメラでもここまで撮影できます!
この水中の広々感は水族館では表現できませんね。
超マクロモードで小さなアカテンイロウミウシを撮影しました。
太陽とウミガメのショット。こちらもオリンパスのコンパクトカメラ「TG-4」での撮影。美しいブルーが撮影できました。水族館で撮影した作例と比べると水の色が違うことが判るかと思います。
今回、ダイビングで使用したコンパクトカメラ、オリンパス TG-4と専用ハウジングです。カメラ本体も水深15mまでの防水仕様になっており、シュノーケリングでは専用ハウジングなしでも使用できます。専用ハウジングに入れても大変コンパクトになりますので、気軽に旅行に持って行けるメリットがあります。
このカメラの基本性能は広角から望遠、超マクロ撮影まで全てを一台でこなしてしまうというとても優れたコンパクトカメラなんです。ダイバー仲間の間ではコンパクトカメラはTGシリーズ一択というのも頷けます。最新のTG-6では、これに加えてレンズの結露防止性能が強化されているそうなのでおすすめです。
結局この日は3回もダイビングをしたのですが、大物はこのカメさんとロウニンアジだけでした。水族館に居たマンタやジンベイザメ等はダイビングで水中では滅多に出会うこと無いですね。
■今回お世話になったダイビングサービス
マリンプロダクト:https://www.marine-p.com/
写真家・清水淳さんが運営しているダイビングショップです。スタッフ皆さんとても親切で一人でも安心してダイビングできます。
【番外編】沖縄での移動手段や閉館後のアフタータイムの過ごし方について
今回、本土からの移動は関西空港からLCCのジェットスターを利用しました。なんと現在、関西空港から沖縄まで片道数千円で行けるということに驚きました!!また、沖縄に着いてからは水族館を巡るという事でレンタカーを手配しました。沖縄は道が狭いところや渋滞が多いので軽四のレンタカーがとても良かったですね。道中、奇麗な道の駅もあり、仮眠もとりやすくいい旅となりました。
今回、レンタカーで借りた軽四は新車だったため、中も凄く広くて快適でした(もちろん、ETCやナビは標準装備でした)。アフターファイブのグルメはソーキそばや紅イモアイス、ステーキなど価格もリーズナブルで沖縄らしいグルメを堪能できました。
まとめ
いかがでしたでしょうか、今回は真新しい最新の水族館と老舗の水族館を2つ紹介しました。どちらの水族館も魅せる工夫が随所に施されており、自然な演出を常に模索しているかのような展示方法にとても感心しました。いつか本当にリアルな海で見ているかのような展示が見られることが出来るのでしょうね。是非、皆さんも沖縄に行かれることがありましたらこの2つの水族館、お勧めします。
■写真家:虫上智
1968年岡山県生まれ。高校を卒業後、写真家 緑川洋一氏に師事。地元のカメラ店で撮影業務などを学び2000年に独立。現在はスタジオ撮影、フォト講座、執筆、フォトコン審査、講演等を受け持つ。ライフワークでは心象風景、自然写真、水中写真を撮影。
日本写真家協会(JPS)会員、日本写真講師協会 認定フォトインストラクター、OM SYSTEMゼミ講師、フォトカルチャークラブ講師、フォトマスターEX(総合)一級