洗練された海獣パフォーマンスや魚の美術館が凄い!全国絵になる水族館めぐり撮影旅~関東・前編~
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はじめに
全国の水族館ファンの皆さん、こんにちは!写真家の虫上です。水族館めぐり撮影旅も、とうとう文化の中心地・東京近辺を訪れることとなりました。前々からいつか訪れてみたいと思っていた地域でしたので、当初の念願が叶いました。さて、関東は特に最先端の技術や展示がある水族館が多いところなので、前編と後編の2部構成で紹介いたします。
【神奈川】クラゲドームやイルカショーが有名な「新江ノ島水族館」
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■撮影環境:1/20秒 f/4.5 ISO200
新江ノ島水族館は3月に訪れた日は外観を改装中でした。最寄りの江ノ電の駅には奇麗なクラゲの水槽がありますので、電車とクラゲを撮影したい方は是非電車で訪れることをお勧めします!!
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■撮影環境:1/160秒 f/2.8 ISO400
入り口からとても興味深い水槽が登場。岩礁に大波が砕け散る様を演出した展示が素晴らしいです。ISO感度をあげてシャッタースピードを出来るかぎり速くしてダイナミックな水泡を表現しました。
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■撮影環境:1/25秒 f/2.8 ISO640
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■撮影環境:1/100秒 f/2.8 ISO640
茶色が映える大型の海藻・アカモクの展示。人物のシルエットをとり入れて絵画風に。
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■撮影環境:1/160秒 f/2.8 ISO640
巨大水槽もただ単にアップで撮影するとどこの水族館の巨大水槽も同じような表現になるので、超広角レンズや魚眼レンズなども使用して、あえて周りの空間を取り入れて撮影すると、とても洗練された近代建築のように表現できることもあります。その際には上の写真のように、大型の魚をアクセントにしないと水族館には見えないので注意してください。
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■撮影環境:1/100秒 f/3.5 ISO640
こちらはイワシの群れに突入するサメを撮影したものです。上部のイワシの群れにスポットライトが当たっている時、手前に来たサメを配置すると露出の違いにより、シルエットにすることが出来ます。
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上から順に
カップ麺が水深によってどのように小さくなってゆくかの過程を表現した展示に思わず笑みが出る展示。
死んだクジラが超深海でどのように変化してゆくかがわかる展示。
しんかい2000の実物とその周辺の深海の環境を模型で展示。
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■撮影環境:1/4秒 f/3.5 ISO400
「えのすい」といえばクラゲ展示ですが、クラゲファンタジーホールでの展示はとても力を入れていました。クラゲの体内を思わせる部屋に入ると球体の上には巨大なミズクラゲが!魚眼レンズで撮影すると凄いインパクトです。
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■撮影環境:1/4秒 f/3.5 ISO400
まるで潜水艦の中から見ているようなとても面白い展示方法です。
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サーファーズパラダイス・湘南の海を背景に素晴らしいイルカショーも是非堪能してください。
■新江ノ島水族館
入館料金は大人2500円、高校生1700円、小・中学生、1200円、幼児(3才以上)800円。営業時間は9時00分~17時00分(季節によって異なります)。近隣に有料駐車場あり。
展示規模 ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★★☆☆
撮影向き ★★★★☆
お勧め度 ★★★★☆
【神奈川】巨大なテーマパーク内にある「横浜・八景島シーパラダイス」
横浜・八景島シーパラダイスは、岡山県に住んでいる私も名前は聞いたことがあるくらい有名な水族館です。八景島駅構内も水族館のイラストで雰囲気を盛り上げてくれています。ここは遊園地なども併設している巨大テーマパークなので、水族館に辿り着くまでかなり時間がかかりました。
入館すると蛸壺の展示が。タコが居るかと思いきや……(笑)。
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■撮影環境:1/60秒 f/2.8 ISO400
5万匹のイワシたちが舞い踊る大水槽は力強い柱が印象的です。
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■撮影環境:1/50秒 f/3.2 ISO800
大水槽にはサメやエイなど沢山の魚を展示しています。下の写真はチューブ型の通路を取り入れて、魚眼レンズなどを使用して構図を工夫しました。
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■撮影環境:1/50秒 f/1.8 ISO400
この水族館の目玉、シロクマの展示には度肝を抜かされます!館内は暗いので明るいレンズとISO感度をあげながら撮影。
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■撮影環境:1/30秒 f/2.8 ISO400
着眼点を変えて人物を取り入れながら広く撮影しました。
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■撮影環境:1/50秒 f/3.2 ISO800
こちらはセイウチの大水槽。相変らずセイウチは良いアクションを起こしてくれます。
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■撮影環境:1/1000秒 f/1.6 ISO800
もちろんペンギンの水槽もあります。ペンギンの飛び込む瞬間に、ペンギン特有の背中から出る空気の泡を写すことで躍動感を出すことが出来ます。
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■撮影環境:1/30秒 f/3.2 ISO800
様々なサメの歯の展示ボックス。こうして広く並んだように撮影するとデザイン的なインパクトが出ることがあります。
この水族館は大型の獣パフォーマンスイベントで有名で、特にシロイルカパフォーマンスは素晴らしいショーで見入ってしまいます。
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■撮影環境:1/200 秒 f/1.2 ISO800
クラゲ展示ももちろんありましたが一番凄いと思った展示は下の写真。
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■撮影環境:1/1250秒 f/1.2 ISO800
クラゲと共生しているハナビラウオの幼魚。どう見てもクラゲを食べているようにしか見えないのがとてもフォトジェニック!
■横浜・八景島シーパラダイス
入館料金は大人・高校生3300円、小・中学生2000円、幼児(4才以上)1000円、シニア(65才以上)2800円。上記の金額は4つの水族館(アクアミュージアム・ドルフィン ファンタジー・ふれあいラグーン・うみファーム)を観覧できるお得なチケット代です。営業時間は10時00分~17時30分、最終入館は閉園の30分前。有料駐車場あり。
https://www.seaparadise.co.jp/index.html
展示規模 ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★★☆☆
撮影向き ★★★★☆
お勧め度 ★★★★☆
【神奈川】大都会の中のオアシス的な淡水魚水族館「カワスイ 川崎水族館」
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次に訪れたのはビルの中に出来た都市型の水族館で「世界の美しい水辺」をテーマした、カワスイ 川崎水族館です。近代的な駅前の巨大な商業ビル・川崎ルフロンの中にあるので、こんなところに水族館があるとはびっくりです。もちろんエントランスもとてもハイセンスな入り口でした。
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プロジェクションマッピングや特殊照明を多用しているので上の写真のようにチョークアート上にハチドリが飛び回っていて、とても楽しいです。
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■撮影環境:1/10秒 f/3.5 ISO320
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■撮影環境:1/20秒 f/2.8 ISO320
美しい水槽が所狭しとあり、大変落ち着ける空間を演出しています。刻々と色や背景が変化する映像と実物のコラボレーションはとても幻想的なので、仕事帰りのサラリーマンに癒しを与えてくれそうな雰囲気でした。
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■撮影環境:1/60秒 f/1.4 ISO800
上の写真を見ていただくとわかるのですが、水槽のレイアウトや展示の仕方、照明などが凄すぎて、魚よりも水槽や背景を入れて撮影する方がインパクトのある表現ができますね。
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■撮影環境:1/125秒 f/2.8 ISO640
大型スクリーンでは水族館で絶対に飼育できないようなイッカククジラなどの実写さながらのイベントもありました。写真は全種類揃った時の最後の一場面です。
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■撮影環境:1/100秒 f/1.4 ISO800
水槽をここまで美しく表現している水族館は他にないのでお勧めです。
■カワスイ 川崎水族館
入館料金は大人2000円、高校生1500円、小・中学生1200円、幼児(4才以上)600円。営業時間は10時00分~20時00分。季節によって変動がありますのでHPを確認してみてください。JR川崎駅東口より徒歩1分。
展示規模 ★★★☆☆
コストパフォーマンス ★★★★☆
撮影向き ★★☆☆☆
お勧め度 ★★★★☆
【東京】銀座のど真ん中にある金魚専門の「アートアクアリウム美術館 GINZA」
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銀座のど真ん中、銀座三越の中に去年出来たばかりの金魚専門の美術館。年間を通して四季折々の風情と金魚のコラボレーションの展示がされるので、写真撮影にはとても良さげな水族館のような美術館です。
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■撮影環境:3/10秒 f/1.8 ISO400
入り口からとても幻想的な空間演出が広がります。この空間は「銀座万灯籠」という名前です。魚眼レンズを使用してまるでホタルが飛び交うように表現しました。
メインとなる「金魚の回廊」。神社建築に見られる回廊を表現した空間なのですがとても美しく、幻想的な空間でした。
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■撮影環境:1/60秒 f/1.8 ISO400
様々な色に変化する「金魚蒐集」は珍しい品種を中心に展示しています。魚眼レンズで近くまで寄って撮影すると、周辺の縁取りも面白く表現できて、まるで円周魚眼レンズを使用したかのような写真が撮影できました。
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■撮影環境:1/50秒 f/2.8 ISO800
提灯リウムと金魚竹林の2つのアートを一つに取り入れて。不思議な空間を表現してみました。
「金魚の飾り棚」は美しい器の江戸切子の中に金魚が泳いでいます。不思議な演出です。
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■撮影環境:1/10秒 f/4.5 ISO800
「金魚の滝」は斜めに傾斜させてレイアウトした長方形の水槽が静かな滝をイメージして作られた展示です。撮影した日は丁度桜の時期でしたので上部には桜の花があしらわれてこちらも非常に幻想的でした。
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■撮影環境:1/80秒 f/1.8 ISO800
とても美しくインパクト大なフラワーリウムは假屋崎省吾さんのいけばなアートで、流石のインパクトでした。主役が花・脇役が金魚という感じで表現してみました。
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■撮影環境:1/13秒 f/2.8 ISO800
最後に面白い空間演出がありました。撮影している自分のシルエットを取り入れてセルフポートレートを撮影してみました。
また、公式サイトでは「カメラで楽しむ」として撮影のヒントが紹介されていて、水槽の明かりを利用したテクニックや人物と一緒に撮る際の構図などがまとめられているので行かれる際はこちらもチェックしてみてください。
https://artaquarium.jp/enjoy/photo/
■アートアクアリウム美術館 GINZA
入館料金は大人(中学生以上)2300円(WEB入場券)、大人1枚につき小人2名無料。営業時間は10時00分~19時00分。
展示規模 ★★★☆☆
コストパフォーマンス ★★★☆☆
撮影向き ★★★★☆
お勧め度 ★★★★☆
【東京】洗練されたイルカパフォーマンスが凄い「マクセル アクアパーク品川」
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銀座のど真ん中の水族館の後は、こちらも都会の中の水族館です。ここはイルカショーで超有名な水族館なので期待して入場しました。
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■撮影環境:1/15秒 f/3.5 ISO400
都会の水族館ならではの映像とリアル水槽のコラボレーションが素晴らしいです。
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■撮影環境:1/160秒 f/2.8 ISO640
クラゲ水槽は沖縄のDMMかりゆし水族館を彷彿とさせるような展示でした。写り込みの曲線が美しいポイントを部分的に撮影して曲線のラインを強調して奥行き感を出してみました。
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■撮影環境:1/25秒 f/2 ISO800
全体的にはこんな感じの展示でとても凄いです。
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■撮影環境:1/10秒 f/1.8 ISO400
この写真はガラス壁にカメラをギリギリまで近付けてシンメトリーに表現しました。
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■撮影環境:1/60秒 f/1.8 ISO1250
こちらのチューブ型水槽にはなんと、リアル海中でもなかなか見られないマンタが泳ぐ水槽です。また、昼と夜の照明が変化して、がらっと表情が変わります。この作例は夜の照明で撮影しました。
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■撮影環境:1/1000秒 f/1.2 ISO640
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■撮影環境:1/400秒 f/1.8 ISO1000
■マクセル アクアパーク品川
入館料金は大人(高校生以上)2500円、小・中学生1300円、幼児(4才以上)800円。営業時間は午後10時~20時(入館は19時まで)。品川駅(高輪口)から徒歩約2分。
https://www.aqua-park.jp/aqua/
展示規模 ★★★☆☆
コストパフォーマンス ★★★★☆
撮影向き ★★★★☆
お勧め度 ★★★★☆
まとめ
今回は東京近辺の水族館前編ということで訪れましたが、予想通りどの水族館も展示方法や演出など、とても洗練された施設ばかりだな、という印象をうけました。しかしながら、新しくできた水族館はどこの施設も照明が暗い場所がとても多く、カメラの撮影では高感度に設定したり、明るいレンズを使用するなどしなければ手ブレや被写体ブレが生じることが多いので注意が必要です。
皆さんもこれからの季節、雨の中でも屋内で快適に楽しめる水族館へ行ってみてください。
水族館写真展&日本で会えるペンギン全12種パーフェクトBOOK
2023年6月29日(木)~7月5日(水)に東京・新宿四谷のギャラリーで写真展を開催します。今までお伺いした水族館で撮影した20000カット以上の写真の中から、今回の写真展のテーマにあった作品を展示します。ぜひWEBでは無く、生の写真のリアルさを体験してみていただけると幸いです。(入館無料)
また、会場では今回出版するパーフェクトBOOKはもちろん、水族館関係の本なども販売する予定です。
三田崇博・虫上智 二人展「MY COLOR」
世界中の世界遺産を撮り続ける三田崇博と、全国の水族館を撮り続ける虫上智による二人展です。三田崇博は「アジアの遺産Ⅲ」と題し近年撮影の作品を中心とした世界遺産を、虫上智は「ART AQUARIUM」と題し全国の水族館を水族館でしか表現できない視点で撮影した作品をそれぞれ展示いたします。
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開催場所:ポートレートギャラリー
〒160-0004
東京都新宿区四谷1丁目7番地12 日本写真会館5階
平日:午前10時~午後6時(最終日は午後3時終了) 無休【ゴールデンウィーク・夏期・年末年始を除く】
土・日・祝日:午前11時~午後6時
https://sha-bunkyo.or.jp/gallery/
さて、突然ですがクイズです。動物園にも水族館にもいて、国内飼育数は6,000にものぼるともいわれる人気動物はなんでしょう?
答えはペンギン!
昨年発売した『水族館めぐり』の取材・撮影を担当したフリーライター/編集者の木村悦子さんから依頼を受け、『日本で会えるペンギン全12種パーフェクトBOOK』(監修:上田一生、グラフィック社)の撮影に参加しました。
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ペンギンの生態、観察ポイント、体の秘密からマル秘撮影テクニックまであらゆる情報を盛り込んだ画期的な1冊です。ぜひお近くの書店でお手に取ってくださいね。6月25日発行です。
■写真家:虫上智
1968年岡山県生まれ。高校を卒業後、写真家 緑川洋一氏に師事。地元のカメラ店で撮影業務などを学び2000年に独立。現在はスタジオ撮影、フォト講座、執筆、フォトコン審査、講演等を受け持つ。ライフワークでは心象風景、自然写真、水中写真を撮影。
日本写真家協会(JPS)会員、日本写真講師協会 認定フォトインストラクター、OM SYSTEMゼミ講師、フォトカルチャークラブ講師、フォトマスターEX(総合)一級