パナソニック LUMIX G9PROIIが登場!|商品企画担当者へのインタビューから魅力を紹介

ShaSha編集部
パナソニック LUMIX G9PROIIが登場!|商品企画担当者へのインタビューから魅力を紹介

はじめに

パナソニックからマイクロフォーサーズのミラーレス一眼カメラのLUMIX G9PROIIを2023年10月27日(金)に発売するとアナウンスがありました。今回はそのG9PROIIの魅力や進化、どういった方に使って頂きたいなどについて、パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社 LUMIXマーケティング担当の塩見 記章(しおみ のりあき)氏にインタビューしましたので是非ご覧ください。

パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社 LUMIXマーケティング担当の塩見 記章(しおみ のりあき)氏

概要

初代G9PROが2018年1月発売ということで約5年半ぶりのモデルチェンジ、G9PROIIを待ちに待ったユーザーが多くいることと思います。

― G9PROIIの最大の売りポイントを教えてください

本商品の最大のポイントは「マイクロフォーサーズの常識を凌駕する高画質と、LUMIX史上最高の高速性能により、一瞬を決定的に切り抜くフラッグシップモデル」になります。マイクロフォーサーズの従来の強みである高速性能に加えて、描写性能についても初代から格段に進化しており、写真機としての完成度の高さを味わっていただけると考えています。加えて、高速センサーを活かした、動画の表現力においても、動画ユーザー方はもちろん、写真ユーザーの方でこれから動画を始める方にとってもご満足いただける仕様となっていると考えています。

― 開発時のコンセプトで最も重要視した点を教えてください

初代G9PROがユーザーから長年愛されてきたアイデンティティとしての、「カメラと撮影者がシンクロして、大切な一瞬を切り抜く」というコンセプトを最も大切にしてまいりました。瞬間を切り抜くための高速AFや高速連写性能はもちろんのこと、撮影者が、視認性に拘ったファインダーによって被写体をしっかりと捉え、考え抜かれた操作性やボタンレイアウトによって、刻々と変わる環境変化に対応しつつ、シャッターを切る/RECを押すことで、大切な一瞬を切り抜くことをサポートします。

― G9PROIIのデザイン(外観)が初代G9PROと比べ、大きく変わった理由と狙いを教えて下さい

初代G9PRO発売時は、当時において、我々が考えうる最適な操作性を具現化しました。そして、今回G9PROIIを開発するにあたり、ただの前モデルの踏襲ではなく、現時点において我々が最も良いと考える操作性やデザインについて、一から検討をスタートさせました。また、フルサイズ一眼カメラLUMIX S5IIシリーズと、開発がほぼ同時期だったこともあり、S5IIとG9PROIIは共同プロジェクトとして進めつつ、LUMIXとして、「今求められるカメラの在り方」を追求しました。その結果として具現化したのが、今回のG9PROIIのデザインとなります。

もちろん、初代G9PROとは異なる部分もありますが、一方でWB/ISO/露出の3連ボタンや、フロント部の2つのファンクションボタン、握りやすさに拘った深いグリップなど、操作性にダイレクトにかかわる部分はG9PROから引き継いだものになります。特に、G9PROIIとS5IIの機構設計チームが共同で設計を進める中で、G9PROIIのチームが実際に提案して、実現したものが大きく二つあります。一つは、上記述べたようにG9PROIIゆずりの深いグリップ、もう一つは三角環の廃止でした。G9PROIIはスチルユースが多いと考えた際に、超望遠レンズのユースケースが想定されるG9PROIIでは、しっかりと深いグリップを実現することが必須でした。

また、写真愛好家の方々も、動画撮影に関心を持っていらっしゃる今日において、三角環についても静音性に配慮することに加えて、昨今流行っている速写系のストラップの取り付けなどにも配慮し、板金を採用いたしました。このように、G9PROIIのデザイン、設計は、S5IIと共同プロジェクトだからこそ、よりユーザーニーズに沿ったものに仕上げることができたと考えています。

左:G9 PRO、右:G9 PRO II
左:G9 PRO、右:G9 PRO II
左:G9 PRO、右:G9 PRO II
左:G9 PRO、右:G9 PRO II

― 新モデルG9PROIIと先行主力モデルのGH6やS5IIとの住み分けポイントを教えて下さい

まず、フルサイズSシリーズと、マイクロフォーサーズGシリーズについては、当社としては、けして上下関係としては考えておらず、それぞれが魅力を持つマウントシステムとして、その中でお客様のニーズに沿った商品を展開していく予定です。

フルサイズには、何よりも表現力という魅力があり、豊かな階調やボケ味、高感度耐性などを活かした撮影に向いています。そのため、S5IIは今後も、フルサイズならではのリッチな表現力を求められるお客様にお勧めいたします。

マイクロフォーサーズについては、高速センサーに起因する高速性能と、レンズ含めたシステム全体が小型/軽量による機動力が大きな魅力です。フルサイズには難しい高速性/機動力を求められるお客様には、Gシリーズをお勧めします。その中でも、GH6については、CFe対応や、動画RAW出力、超ハイビットレートな映像収録、空冷ファン搭載など、プロフェッショナルな映像制作にお使いいただける魅力が詰まっており、本格的な映像制作現場におススメの機材となります。

一方でG9PROIIについては、GH6では非搭載であった像面位相差AFや、高速連写性能など、動体を捉える写真機としての性能が大きく異なります。よって、マイクロフォーサーズの写真愛好家の方々におススメです。また、GH6ほどではないものの、ハイスピード動画性能なども搭載しているため、写真撮影のみならず、動画撮影へのチャレンジもサポートいたします。しかし、G9PROIIでは空冷ファンが非搭載のため、長時間の動画記録には向いておらず、そこはやはりGH6に軍配が上がります。
まとめると、おススメ分けとしては、下記の通りになります。

・S5II:フルサイズとしてのリッチな表現を求める方。
・GH6:マイクロフォーサーズの機動性と、プロフェッショナルユースの動画性能を求める方
・G9PROII:マイクロフォーサーズの機動性と、高い静止画性能を求める方

LUMIX Gシリーズ初の像面位相差AFの採用について

― マイクロフォーサーズのフラグシップであるG9PROシリーズに搭載されたことで像面位相差AFの魅力がさらに引き出される事になると予想しますが、G9PROIIの魅力がより輝く場面としてはどの様な撮影シーンを想定されておりますでしょうか?

我々としては、一段と進化した描写性能とAFの進化を両立することにより、よりオールラウンドに強いカメラになったと考えます。写真軸でいえば、描写性能が必要となる、風景、ポートレート、また機動性が求められるスナップ、速写性が求められるスポーツ、モータースポーツ、鉄道、野鳥、飛行機など、あらゆるシーンにて強みを感じていただける一台です。また、短いカットをつないでいくような映像制作の現場でも、AFと機動性を活かしていただけると考えております。

― 像面位相差AFとの組み合わせで、リアルタイム認識AFがさらに効果を発揮しそうですが、認識性能はどの様な進化を遂げておりますでしょうか?

今回実は、認識AFのベースとなるAIを一から設計し直しています。それによって、人物認識の更なる精度向上や、動物認識の精度向上に加えて、新たに「瞳」を認識するようになりました。また、動体の認識ジャンルでは、新たに「車」と「バイク」を追加しています。動体の中でも、モータースポーツは、レース場を縦横無尽に走り回り、軌道が読みにくいため、狙った構図で撮りきるのが、特に難しいジャンルです。今回は、まず、この2つから追加し、エントリーの方でも、作品撮影を気軽に楽しんでいただけるようにサポートしてまいります。

また、人物認識も初代G9PROから搭載している認識対象ですが、今回、精度がさらに向上し、複数人物が入り乱れる場合でも、主要被写体を捉え続けるように進化しております。

連写性能について

― マイクロフォーサーズで特に静止画側のフラグシップという印象の強いG9PROシリーズという事で、やはり連写性能が気になるユーザーが多いと思います。新モデルG9PROIIの連写性能でのこだわりポイントを教えて下さい

まず、AF追従で電子シャッター60コマ/秒が一つの特徴となります。さらに、バッファメモリ容量を初代G9PROよりも増やすことで、超高速連写で3秒以上継続して撮影が可能です。加えて、プリ連写機能も進化しており、初代G9PROでは「0.4秒前」までしか遡れなかったのですが、G9PROIIでは「0.5秒前」「1.0秒前」「1.5秒前」の3つから選択が可能です。

さらに、AF追従電子シャッター60コマ/秒は、使用する交換レンズを選びません。電子接点があり、AFができるマイクロフォーサーズマウントのレンズであれば、すべて60コマ/秒で撮影可能で、お持ちのレンズ資産をそのまま活かしていただけます。また、メカシャッターも今回進化しています。LUMIX史上最高となるAF追従で10コマ/秒を実現しており、電子シャッター歪みが気になるお客様におススメです。初代G9PROがAF追従で9コマ/秒だったため、「たった1コマの進化か」と思われそうですが、この1コマが非常に大きく、アルゴリズムを1から見直し、ソフト処理として一切無駄のないところまで突き詰めた結果、2桁に乗せることができました。

充実のアシスト機能について

― 初代G9PROユーザーはマイクロフォーサーズの特性も相まって、望遠レンズとの組み合わせで使用されている方も多いと思います。G9PROIIの手振れ補正機能は初代G9PROと比べてどの様に進化していますか?

今回、B.I.S.(ボディ内手ブレ補正)で8段*、B.I.SとO.I.S.(光学式手ブレ補正)が協調制御するDual I.S.で7.5段**を実現しています。S5IIと異なり、空冷ファンを非搭載としましたが、その代わり、空冷ファンが入っていたペンタ部に高精度のジャイロセンサーを搭載しました。また、このジャイロセンサーをしっかりと使いこなすことで、従来よりも格段に補正段数を向上させています。

O.I.S.非搭載の交換レンズを使用した際はB.I.S.が強力に手ブレを補正しますし、望遠域ではDual I.S.がしっかりと手ブレを止めるようにサポートします。加えて、動画撮影時の手ブレ補正も進化しています。電子手ブレ補正をさらに強化し、歩き撮りをした際にも、自然で臨場感のある表現を可能としました。

* CIPA規格準拠。Yaw/Pitch方向:焦点距離f=60mm(35mm判換算 f=120mm)、H-ES12060 使用時。
** CIPA規格準拠。Yaw/Pitch 方向:焦点距離 f=140mm(35mm判換算 f=280mm)、H-FSA14140 使用時。

写真も動画も恩恵が得られるリアルタイムLUT機能について

― G9PROIIにも搭載されたリアルタイムLUT機能ですが、現在のユーザーからの評価ポイントと今後の課題(可能性)について教えて下さい

S5II発売以降、多くのお客様に楽しんでいただいています。LUMIX Color Labより、当社公式のLUTも数多くダウンロードいただいておりますし、SNS中心にユーザー様同士でLUTを交換し合って楽しむ、なども見られています。もちろん、その中でも、LUTの濃度変更や、重ね掛けのようなご提案も数多く頂戴していますので、お客様のニーズを鑑みながら改善の検討を進めてまいります。

また、我々が現段階であまり訴求できていないこととして、LogベースのLUT適用ではなく、フォトスタイルベースのLUT適用があります。たとえば、L.クラシックネオにLUTを適用したらどうなるのか、ヴィヴィッドベースに色を作りこんでいくと、どんな表現になるのか、クリエイターとコラボしながら、このあたりについての提案も積極的にしてまいる予定です。

「色」と「表現力」へのこだわりについて

― フルサイズモデルがどんどん台頭してくる昨今に、マイクロフォーサーズのフラグシップを産み出す上で、作品作りに重要な「表現力」についてどの様な思いを込めて開発されたのでしょうか?

マイクロフォーサーズは、センサーサイズが小さいので、描写に不安感を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、新開発のセンサーは、従来機種よりも画素数が増えたため、画素ピッチが狭くなる中で、従来機種同等以上の高感度耐性を獲得したほか、ダイナミックレンジも確保したため、マイクロフォーサーズとは思えない階調豊かな絵を得ることができます。

また、ディテールの表現についても、新しいエンジンの性能を最大限に引き出し、細部に至るまで、きめ細やかな表現を実現しているため、マイクロフォーサーズながら、非常に線の細い描写を可能としています。加えて、GH6にも搭載されていたダイナミックレンジブーストも進化しています。GH6では、ISO800以上(LogではISO2000以上)でしか使用できなかった機能ですが、G9PROIIではISO100から使用可能となっております。これにより、特にRAW撮影時の暗所の階調表現が大幅に向上しています。
以上のように、表現力についても、ご満足いただける仕様になっていると考えています。

さいごに

― 予約キャンペーンについて教えて下さい

G9PROII発売記念キャッシュバックキャンペーンとして、予約購入者限定でキャッシュバックに加え、予備バッテリー(DMC-BLK22)のプレゼントを致します。大変お得なキャンペーンとなっていますので、是非“予約”の上ご購入いただければ幸いです。

※キャッシュバックキャンペーンの詳細はこちらをご覧ください。

 

― マイクロフォーサーズユーザーに対してメーカーからのメッセージをお願い致します

マイクロフォーサーズシステムは、小型軽量で機動力に優れていることに加えて、比較的手に取りやすい価格帯の豊富な交換レンズ群に裏打ちされた、非常に魅力的なシステムであると考えています。この度、当社として、マイクロフォーサーズの良さの一つである高速性を突き詰めた商品を発表させていただきました。ぜひ、G9PROIIをお手に取って、マイクロフォーサーズシステムの魅力をお確かめください。
また、今後とも、当社はマイクロフォーサーズシステムに真摯に向き合ってまいりますので、ぜひご期待ください!

 

 

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