スナップで街めぐり。一瞬の情景を愉しもう。Vol.15|鎌倉江ノ電
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はじめに
自宅からは2時間以上かかるが魅力的な被写体が沢山あるので、年に2~3回ぐらい気合を入れていく場所だ。基本は鎌倉駅に着いたら駅周辺を軽くスナップ、そのあとは江ノ電に乗って気になった駅で途中下車して一駅分歩き、また乗ってを繰り返して鎌倉から江の島方面へ撮り歩くことが多い。そんな鎌倉、私が気になった被写体やその撮り方を案内したいと思う。
江ノ電鎌倉駅
特別いい写真でもないとは思うが、私が駅に着いたらよく撮る、駅の中にある大きな時計と人々の組み合わせ。時計のガラスの反射があれば一番良いが、高くて狙える場所ではなかったので奥行きを持たせた構図にしてみた。こんな場面でもなるべく人が被らないように気にしながらシャッターを切っている。
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■撮影環境:1/160秒 ISO200
江ノ電鎌倉駅のホーム
車両の隙間に江ノ島水族館の看板が見えた。大きな青色が特徴的だったので隙間に入るような構図にして、エイと人を少しシャッタースピードを落として撮ってみた。今見てみるとエイだけの方が面白くなったような気がする。
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■撮影環境:1/10秒 ISO100
極楽寺駅のスタンプ取っ手
透明なものを見かけると、レンズを近づけてどんな世界が広がっているのか覗いてみる癖がある。ほとんどの場合絵にはできないが、このように近くに電車が入っていたりすると、面白い絵になってくれることがある。プラス条件になるが、透明、半透明なものにピントが合わなくてもいいので、レンズを近づけて中に何が見えるか、見てみる癖をつけてみよう。
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■撮影環境:1/60秒 ISO200
極楽寺駅の駐輪場1
青いバイクとアジサイが気になって撮ってみた。カメラの位置的にファインダーを覗くには撮りづらい高さ。ファインダーを覗くとピント合わせがしやすい反面、カメラの高さに制限がかかることが多い。さっと視点を変えるのも難しくなるので、基本モニタを見て撮影、ファインダーを覗くのは逆光の時のみっていうのが私の撮り方だ。
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■撮影環境:1/200秒 ISO100
極楽寺駅の駐輪場2
駅の自転車置き場が好きなので沢山撮っている、視点の宝庫。この駅はカラフルな自転車やバイクが多いので、色で囲んだスナップが撮りやすい。後ろからやってきた紳士風の格好をした男性。この隙間に入ると絵になるとすでに考えていたので、落ち着いて撮ることができた。
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■撮影環境:1/160秒 ISO100
緑、黄色と並んでいれば赤を狙うのは私の中の基本
ここでずっと待っていたわけではなく、緑と黄色があることはここに到着したときに既に頭の中に入れていた。この周辺を撮っている時に、ちょくちょく赤い人が来ないかと周りを気にしていたので撮れた一枚。プラス電車が写れば完璧だが、方向的に無理だったのでこの構図で妥協した。
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■撮影環境:1/60秒 ISO160
江の島駅近く1
江ノ電もなかのお店が古い先頭車両を利用しており、正面の歩道から左右に走っている車両の隙間を狙って、シャッタースピード遅めでシャッターを切った。雨だったので傘を差した待ち人でもいれば最高な場面だ。
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■撮影環境:1/13秒 ISO125
江の島駅近く2
商店街の道路真ん中を江ノ電が走っていく場面。電車と同じ色のサーフボードがかわいくてシャターを切った。地味な緑色が被る珍しい場面。もう少しカメラを右に振って車両後方まで、バイクはもう少し右で撮れればよかったかな。
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■撮影環境:1/800秒 f/2 ISO100
稲村ケ崎近くの海岸
江ノ電に乗ったら一度は海岸、砂浜にでることをお勧めする。この日は砂遊びをしている子供の近くに流木があり、よく見ると人がひっくり返ったような感じで手足、頭、目もあるように見えた。荷物も持っているように見えるので、さらに人の感じが強くなり面白い写真になったと思う。なるべくシンプルにしたかったので、子供と流木だけになるようにズーミング。海近くに行く時は軽い望遠ズームを一本持っていくと役に立つ。
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■撮影環境:1/250秒 f/8 ISO160
早朝の鎌倉高校前
今回は早朝の写真の紹介は一枚となったが、一番印象的な写真が撮れるのはやはり早朝か夕方。江ノ電の線路の向きを考えると早朝の方がチャンスが多い。鎌倉高校近くは特に朝日と一緒に電車が撮れるので頑張って行ってみよう。
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■撮影環境:1/200秒 f/6 ISO100
あとがき
鎌倉と言っても江ノ電の線路近くばかりで、観光地的な場所には一つも行っていない気がする。電車のある風景が好きなので、いつもそうなってしまう。駅の駐輪場も都心と違って鮮やかな自転車、バイクが置いてあって、近くに咲いている花と組み合わせても面白い。お寺のアジサイとかもいいけれど、ちょっとした道や駅近くに見つけた花をメインにして撮り歩いても面白いと思う。
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■写真家:富久浩二
日々の通勤風景を主に、いつも見ている変わりばえのない、しかし二度とやって来ない一瞬の情景を大切にし、ちょこっと人が入った物語りのある写真をテーマのもとに、人びとの優しく楽しい感情が伝わる事を目標に日々撮影している。子供の頃の目線、何と無く懐かしさを感じて貰える様に、ライブビューを使った低い目線、思い切って背伸びをした様な高さからの撮影が特徴的。