スナップで街めぐり。一瞬の情景を愉しもう。Vol.17|前橋(群馬県)
はじめに
いつも撮影している東京近郊から少し離れて、前橋の中央商店街までスナップ撮影に行ってみた。地方のアーケードと言えばショッピングモールに人が流れて寂しい感じをイメージするが、ここ前橋のアーケードはメインの通りが10時過ぎから人通りも多くなり楽しく撮影ができた。暑い七夕祭りの日と秋の雨の日と二日間にわたって撮影してみた。想像していたよりアーケードの道幅は広くてとても撮りやすかった。事前知識がなく、どんな街か全くわからない状態から商店街をどのように撮影したか紹介したいと思う。
傘越しのアーケード
雨の日、アーケードを懐かしい感じにしたくて手に持っていた傘を広げて暖色の部分を透かして撮ってみた。普通に撮っても雰囲気のある場所だが、色付きのものを透かして撮る写真はひと味違う気がする。
見上げて撮るオブジェと人物
前橋銀座通りにある下からグーチョキパーのオブジェ。パーは高い位置にあるので近くで見上げた位置からは通行人との組み合わせができないのだが、ジュースの補充の人がトラックの荷台の上に。一瞬の出来事だったが動きがある場面でシャッターを切ることができた。
ショーウィンドウの犬達
ショーウィンドウに犬の置物がたくさん。よく見てみると本物が一匹混ざっていた。
良すぎる場面なので沢山撮ったのだが、犬が面倒くさそうに吠えている写真をチョイス。楽しくなる要素の一つを探す癖をつけよう。
パンチホールから見える傘のシルエット
パンチホールの壁から透けて見える傘を持った人。このように順光だとシルエットにはならないのだが、日傘の影になる面積が多く思いがけないシルエットができ面白い写真になってくれた。穴が空いている先のものを撮るときは絞りを大きくするのと、ピントを穴の部分に持っていくと意図が分かりやすい写真になると思う
手を繋いだ親子と赤いジャンバーの女性
後ろから手を繋いだ親子がやってきた。横並びにリズムがあったので赤いジャンバーの女性を組み合わせてみた。子供三人の足の形が揃っているところがお気に入り。
お地蔵さんと自転車の女の子
赤い帽子のお地蔵さんが並んでいる場面。白いバンが気になる位置に止まっていたのだが、白いヘルメットの自転車女子が通ってくれたおかげでバランスが良くなり結果オーライな写真に。カメラを少し傾けて撮っているのはわざと。左手前の建物部分は広く写ってほしく、メインの被写体(この場合自転車の人)は小さくしたい時に、画角の広さ、被写体の小ささを強調できるように思う。
マネキンとガラスの反射に映る人
白い布を被ったマネキン、ガラスの反射に似た傾き加減の白い服の人。色だけではなく形も揃うタイミングを狙ってみる。
ガチャガチャ越しの赤い傘の女性
おもちゃのガチャガチャ越し。透かしで撮りたいときは、どうしてもクリアな面を選びがちになるが、ガチャガチャのケースのように半透明だったり、濁っているとそれはそれで雰囲気のある写真になることがある。ガチャポンの玉の部分の色を取り込み隙間から赤い傘の女性を狙ってみた。
ビルのガラスに映る浴衣姿
先ほどのグーチョキパーのオブジェのところで少し下がってみると隣のビルのガラスにいい反射面があった。夏祭りの日だったので浴衣を着た子たちが大勢歩いていた。間隔と足の形が三角になるタイミングを意識しながらパチリ。
ポニーテールの子の映り込み
商店街のショーウィンドウの映り込み。子供が横向き、ポニーテールでシルエットになっているところが一番見てほしいところだが、右上の鞄と左下の網目模様と被っていないところが次に気が付いてほしいところ。メインの被写体の位置は大事にしたい。
あとがき
初めて行く場所はやっぱりドキドキする。たった二回の訪問ではあるがお気に入りの写真が撮れる場所が見つかった。スナップ写真では場所の要素は他の写真と比べると少ないとは思うが、たまには遠くへ撮りに行くのも悪くない。地方の商店街、機会があればまた行ってみたいと思う。
■写真家:富久浩二
日々の通勤風景を主に、いつも見ている変わりばえのない、しかし二度とやって来ない一瞬の情景を大切にし、ちょこっと人が入った物語りのある写真をテーマのもとに、人びとの優しく楽しい感情が伝わる事を目標に日々撮影している。子供の頃の目線、何と無く懐かしさを感じて貰える様に、ライブビューを使った低い目線、思い切って背伸びをした様な高さからの撮影が特徴的。