フォトライフ「四季」Vol.43 WINTER
contents
特集 写真家 沼田早苗氏
色と造形の世界
サンダー平山の...
フォトワールド十人十色
全国写真クラブ紹介
バックナンバー
home
カメラのキタムラ
Vol.43 2002 WINTER
特集 写真家 沼田早苗氏
しなやかに、やわらかく、そして力強く。
女性にしか撮れない写真を撮る。
 
人物撮影は、動きや表情の変化があるので、相手の力を借りながら撮ることができるのです。
(左)【最後の漁】流氷が接岸する前に、あわただしく漁をして帰って来た船。もうすぐ長い休みに入る。
■カメラ:ペンタックスMZ-5 レンズ:SMCPENTAX-FA★ 28-70mm F2.8 絞り:f2.8 シャッタースピード:1/30秒 フィルム:コダクローム 撮影地:北海道・紋別
(上)【昼下がり】田舎の家の軒先で、老人が猫をかまいながらカゴを直している、のんびりとした午後のひとコマ。
■カメラ:ミノルタα7 レンズ:AF24-105mm F3.5-4.5 プログラムオート フィルム:RDPU 撮影地:中国・杭州

(上)【サングラス】自慢の高価なサングラスをかけた少年にカメラを向けると人々の注目の的になり、ポケットに手を入れ格好をつけてポーズをとってくれた。
■カメラ:コンタックスRTS レンズ:Distagon 18mm F4 絞り:f8 シャッタースピード:1/125秒 フィルム:コダクローム 撮影地:モンゴル
今は個性の時代です。写真も表現の幅がすごく広がっています。

―――話は変わりますが、最近女性写真家の方が数多く活躍されていますが、そのことについて女性写真家の先駆者である沼田先生はどのように思われますか?

 今は以前と違い、機材が非常にコンパクトになり女性でも扱いやすくなりましたね。私が大竹スタジオにいた頃は、機材の重さ・多さのために写真家をあきらめた女性の人もいたくらいですから。やはり当時は女性の体力では難しいところがありました。
 それと、最近は以前に比べると写真はこうじゃないといけない、という決まったスタイルが無くなりましたね。自分の生活の一部を切り取ったり、写真にコピーを入れてみたりと、特に若い人の作品は発想が柔軟で面白いと思います。
 カメラの性能が進歩して、誰でもある程度のレベルの写真が撮れるようになったので、だからこそ個性や独自の視点で、他人とは違う作品を表現しているのではないでしょうか。
 そういう意味では、写真表現の幅がすごく広がってきたと思います。いろいろな表現をした作品がでてきていることは、大変にいいことだと思います。
 だから、誰でも写真家になろうと思えばなれるんです。写真家になるのに試験はありませんから(笑)。

―――沼田先生が、人物写真中心でいこうと考えられた最大の理由はなんですか?
大竹スタジオにいた10年間には、人物以外の「物撮り」も数多くこなしていました。カタログ用に指輪とかもよく撮っていたのですが、朝から晩までスタジオにこもりきりで、セッティングをいろいろ試しながら撮れたのはやっと1カットだけとか、どうも私には、じっくり構えて細かい作業をするというのが苦手みたいなんです(笑)。性格的な問題かも知れませんが、人物撮影のようにパッパッと撮るほうが、私には向いていると思いました。でも、最初の頃の人物撮影は、要領もいまひとつだったので、結構時間もかかりました。

女性である私が男性を撮ると、皆さんいつもとは違う柔らかな表情になります。

―――沼田先生は、各界トップの方々を長年にわたり撮られてきましたが、何かエピソードはありますか?
 皆さん、非常にお忙しい方ばかりでしたので、撮影時間を10分位でお願いしますと言われることが多かったですね。事前にセッティングをして、撮影する前に少しお話をさせていただくわけですが、やはり、女性である私が接すると、皆さんリラックスした感じで、表情もいつもと違い穏やかになるんですね。
 なかには、撮影を始めようとしたら「ちょっと散髪に行ってくる」と言われて、戻ってくるまでみんなで待っていたということもありました(笑)。
 ですから、写真の出来映えを見て、社長さんの奥様や女性秘書の方から、お礼を言われたこともありました。やはり、男性カメラマンと比べて、女性が撮ったほうが相手の方も肩肘を張ることなく、素の部分が出やすいのではないかと思います。

▲UP

当サイトに掲載されている写真・テキスト等を無断で複製・転載することを禁じます。