写真と詩の組み合わせは心が癒される表現手法
フォト・エッセイスト 加藤芳明氏 |
初夏から真夏にかけて、暗闇の水辺でほのかに放たれる輝き。美しくもはかないホタルの光。
環境の変化に対してデリケートな生き物だけに、年々その姿を見ることは難しくなってきています。
そのホタルの輝きに限らず、あらゆる自然を愛し、自然から得られる魅力を写真とエッセイで伝え、表現している一人の作家がいます。フォト・エッセイストの加藤芳明先生をご紹介いたします。
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【ホタル幻想】 |
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「ホタルの夢」
月の光に照らされて
夢のホタルが目を覚ます。
古里恋うる葉隠れに
尽きせぬ想い 語り出す・・・・・・。
”ほう ほう 蛍 来い、
小さな提灯 提げて来い。“
七色淡い紫陽花に
幼い日々を思い出す。
夏の初めの水辺りに 遊んだ仲間の笑い声
冒険の夢追いかけて 銀のお船で漕ぎ出した
少年の日もあったっけ
深い 深い 水底に
沈めた夢が浮かびきて
静かな夜に 灯をともす。
”ほう ほう 蛍 来い、
小さな提灯 提げて来い。“
ほう ほう 蛍の見る夢は
月の光に青白く 消えては結ぶ泡沫の
遠い昔の物語・・・・・・。
加藤芳明作品集『ホタルの夢』より |
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