カメラのキタムラ
Vol.49 2004 SUMMER
 
大自然の中で撮影をしているので、
よけいに自然保護の大切さを痛感しています。
サバンナにスコールが到来、雨を受けながら草食獣たちがじっと立ちすくむ。
■カメラ:キヤノンEOS-1 レンズ:EF600mm 絞り:f4 シャッタースピード:オート フイルム:RVP 撮影地:ケニア マサイマラ動物保護区
岩の上で休んでいるカリフォルニアアシカたち。波飛沫が豪快である。
■カメラ:キヤノンNF-1 レンズ:FD500mm 絞り:f5.6 シャッタースピード:オート フイルム:PKR 撮影地:アメリカ ポイントロボス州立公園

アジア大陸最強の獣ベンガルタイガーが、威嚇のうなり声を発した瞬間である。
■カメラ:キヤノンNF-1 レンズ:300mm 絞り:f2.8 シャッタースピード:オート フイルム:PKR 撮影地:インド、カーナ国立公園

ちょっと変わった映像を撮りたくて、レンズ先端に特殊なアダプターをねじ込んでみた。
■カメラ:ライカR7 レンズ:ズミクロン50mm 絞り:f11 シャッタースピード:オート 魚眼アダプター フイルム:PKL 撮影地:ナミビア クネネ河畔

氷上でじゃれあったホッキョクグマが、押し合いをはじめ滑ってしまった瞬間。
■カメラ:オリンパスOM-4Ti レンズ:350mm 絞り:f4 シャッタースピード:オート フイルム:RVP 撮影地:カナダ チャーチル


日本で野生動物に出会える場所は限られてきている。日本人にはもっと環境保護への認識を持って欲しい。

―――日本の野生動物も撮影されているのですか?

 昔はよく出かけましたが、最近では動物の撮影のために国内のどこかへ出かけるということはあまりなくなりました。
 近年では野生動物を見られる場所が限られてきていますから、有名な撮影ポイントには多くの人が訪れていますよね。立ち入り禁止区域に許可を取って入ることもできますが、そういう場所でないとなかなか動物と出会えなくなってきました。
 それなら自由に撮れる海外へ出かけて好きな動物と出会った方がいいなと私は思ってるんですよ。
 アメリカでは自分で運転して、自分で撮影地を探して、そこで自由に撮影できるというのが魅力なんです。北アメリカ圏では、テントを持っていってキャンプをしながら撮影を続けるんです。
 他にも今度、インドへの撮影ツアーで野生のトラを撮りに出かけます。昨年の11月に行ったツアーは大変好評でした。その時は、8回撮影に出かけて6回もトラに出会えましたからね。
 僕が30年付き合っている優秀な専門のガイドがいて、そのために出会う確率が高いからだと思うんですが。

―――
野生動物ではありませんが、以前ご自宅のネコの写真集もありましたね。
 7年ほど前のヨークシャーテリアを最後に、以降は動物を飼ってないんです。
 海外の撮影へは、この頃では妻と出かけて、家を空けてしまいますからね。
 私たち家族にとって、ペットの動物は家族の一員なので、できることなら海外へも一緒に出かけたいのです。でも、それは難しいですよね。
 それが分かっているので、飼わないようにしてます。

―――先生は以前より、「今は人間が自然を守らなくてはいけない」とおっしゃられていますが。

 私は人間が関わった場所は全て自然がなくなってしまうのではないかと危惧しています。
アメリカだと、国立公園などでは徹底した環境保護対策がありますが、日本の政府にはそこまでの対策はないように思います。
 日本人の自然に対する感覚もまだまだ曖昧だと感じています。例えば川にしても、ものを捨てる場所だと思われているように私には見えます。
 昔なら、廃棄物を魚が食べて分解するというようなサイクルがあったのでしょうが、プラスチック製品が捨てられるような現在では、そうはならないわけですよね。
 時代にあわせて生き方や意識を変えていかないといけないという側面はあるでしょうが、日本人は廃棄物に対する認識が曖昧で責任感が足りないのではと思いますね。

―――本日はお忙しいところ、お話をお聞かせ頂きまして、ありがとうございました。

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