カメラのキタムラ
Vol.44 2003 SPRING
特集 写真家 沼田早苗氏  
写真の面白さ。それは、大きくプリントすることで
本来持っているパワーをダイレクトに伝えられること。
久遠寺には美しいしだれ桜がたくさんある。どんよりと曇った日にはピンク色が写りにくいのでフィルターを使った。
■カメラ:リンホフマスターテヒニカ4×5 レンズ:フジノンT400mm 絞り:f32 シャッタースピード:7秒 フィルム:フジクロームベルビア フィルター5R 
撮影地:山梨県身延町身延山久遠寺
雨の中でみつけた赤いつぼみ。水滴をアップにしてみた。バックは山肌が暗く写っている。露出をアンダーめにすることによって、しっとりとした感じをねらった。
■カメラ:リンホフマスターテヒニカ4×5 レンズ:ローデンストック300mm 絞り:f22 1/2 シャッタースピード:3秒 フィルム:フジクロームプロビア100F 撮影地:山梨県身延町身延山麓坊
写真は言葉で伝えるのとは異なり、ビジュアルで見せる・伝えることができる面白さがある。

―――現在は中国の世界遺産を撮影されていますが、日本の世界遺産はすべて撮り終えられたのでしょうか?

 はい、現在登録されているものに関しては撮り終えています。また新たに登録されたものがあれば撮影は行います。それと、今までに撮影した日本国内の世界遺産による写真展を開催し、フランスを中心に世界中を巡回しています。このことが日本文化を理解してもらう、ひとつのきっかけになればと思っています。
 写真は撮るだけで終わりにするのではなく、ひとつのメディアとして人に伝えることが重要だと考えます。それには印刷してより多くの人に見てもらう方法もありますが、やはり大きくプリントすることで、写真が本来持っているパワーを引き出すことができるのです。
 クオリティの高い写真は、人の気持ちを動かし、写真に表現されている世界へうまく導くことができるのです。また、見る人を意識することで、撮る側には、次の展開が生まれてくるのです。

花見に来ていた人を画面に入れてみた。人物が入ることによって樹の大きさがわかる。上半分の花びらは逆光でまっ白にとんでしまったが黒い幹が画面をひきしめている。
■カメラ:リンホフマスターテヒニカ4×5 レンズ:ニコンSW90mm 絞り:f22 シャッタースピード:1/8秒 フィルム:フジクロームプロビア100F 撮影地:長野県阿智村駒つなぎの桜

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