種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2014.06.13【Vol.171】
カメラはかつて暗箱と呼ばれたように、光を通すレンズ部分以外を完全に遮光した四角い箱のようなものです。とにかく、レンズ部から入ってくる光以外を感光させなければよいわけです。そんなカメラに使用される材料も時代とともにいろいろと進化を遂げてきました。
昔はマホガニーやチーク材などの固い木材でできていました。外側には塗装や装飾を施し、もしくは革を貼付けるなどしてデザイン的にも凝ったものが数多く作られました。現在のように大量生産というわけにはいかず、一つ一つ手作りの工芸品にも似た製品でした。シャッター自体もレンズキャップの開閉で行うなど機能的にも大変シンプルでしたので、単なる四角い箱にも生産者の意匠をふんだんに盛り込んで製作されたものを多く見かけます。
しかしカメラの機能が少しずつ増えてくると、カメラの形状も変化します。蛇腹を使用し、そして強度を保つ金属部品も少しずつ増えてきます。高価ではあったカメラも次第に大衆化していき、そして大量生産品になっていきます。その後はアルミをベースにしたり、金型で圧入するダイキャスト製法で剛性を高めたりします。廉価版のカメラには、初期にはベークライト、そしてプラスチックを使用するなど素材のコストも考えて多種多様なカメラもできていきます。
現在ではマグネシウム合金を使用することで振動吸収性を持たせたり、耐熱性に優れたエンジニアリングプラスチックを使用するなどして、耐久性を高めた製品になっています。また、あらゆる環境での撮影に考慮して防塵防滴に優れた特徴を持つカメラもあります。カメラは光学機器、精密機器であることには変わりなく、乱暴な扱いはさけるべきですが、不意の落下による故障のリスク、環境の影響によるトラブルは昔のカメラに比べ大幅に軽減されてきています。