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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2014.07.18【Vol.176】

モノクロ印画紙の話

印画紙といっても、最近ではすっかり耳にすることが少なくなってしまった言葉です。今では手軽に家庭用プリンターで印刷できるインクジェット紙が一般的になりました。一方の印画紙はフィルムのネガ像(ポジ像)を焼き付けて写真にする紙のことで、平たく言えばフィルム写真を作るのに必要不可欠な製品です。昔に比べれば数は減ってしましましたが、現在でも国産、外国産問わず生産されています。インクジェット紙と同様印画紙にも厚み、紙の色、印画面の光沢、半光沢、テクスチャーなどいろいろな種類があります。

そして、モノクロとはいえ紙によって色調が異なり、温黒調、冷黒調、純黒調など、印画紙それぞれが持つ特徴を使い分けることで写真のイメージを左右することもできます。また、ベース紙のその上に塗られた支持層には大きく別けてRC紙(レジンコーテッド層)とバライタ紙(硫酸バリウム結晶及びゼラチン等の化合物でできた層)の2つがあります(RC層、バライタ層のそのどちらも持たない印画紙も存在しました)。

両者の違いはカンタンに言えば、RC紙はベース紙に水や薬品がしみ込むことが少なく、最終的な水洗いの時間が1~2分程度で完了できるメリットがあり、一方のバライタ紙はベース紙にも薬品等がしみ込む量が多くなり、その結果水洗いに30分~1時間程度必要になるデメリットがあります。

そもそも印画紙は、撮影用フィルム同様光に感じる「感光特性」をもっていますので、光にさらしてしまうと、当然ながら感光して使い物にならなくなってしまいます。今のインクジェット紙のように主に白色ベースなのですが、光に当たることで像を形成(潜像)してしまい、ですからネガを通った光を印画紙に焼き付け、現像することで写真が出来上がるわけです。

それら感光度は印画紙によって異なり、ガスライト→クロロブロマイド→ブロマイドの順に感度が高くなっていきます。ガスライト紙は密着用とも呼ばれ、ネガを直接印画紙(ガスライト紙)に置いて露光をする密着焼きを行うときにもっぱら使用されました。引き伸ばしのように小さなネガから拡大焼付けするわけではなく、ネガそのものの大きさでプリントされるわけです。引き伸ばしの際のレンズを使うことがないので、収差の影響がなく、撮影レンズの性能がそのままに現れる特徴もあります。現在、一般的な拡大焼付け(引き伸ばし)には階調や色調があり、コントラストの調整幅があるクロロブロマイド紙になっています。


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