種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2014.02.21【Vol.155】
約2年前のコラムで少しお話ししたマウントアダプターの話ですが、デジタルカメラの更なる進歩でますます注目のアクセサリーになっているようです。特にミラーレス一眼にもフルサイズ規格のセンサーを持つ機種が登場したことから、オールドレンズと呼ばれる40年以上前の古いマウント規格のレンズの画角いっぱいに撮影できるようになりました。このように最新のデジタルカメラで使用できるマウントアダプターの楽しみが広がったことは写真好きのみならず、カメラ、機材好きの写真愛好家にとっても大変喜ばしいことです。
もちろんレンズアダプター自体の進化も遂げています。今まで製品化されていなかったマイナーなマウントへのアダプターから、電子接点を持つものも製品化され、そのラインナップも増えてきているようです。例えば最新のキヤノンEFマウントをソニーNEX Eマウントへ取り付け、絞りなどの露出操作やAFが純正同様に動いたりする製品、古いマニュアルのM42マウントのレンズのフォーカスエイド(ピント合わせ指標)が働いたりするものなど様々です。
フランジバック(マウント面からセンサー面までの距離)とマウント口径の問題さえクリアすれば製品化可能なレンズアダプターですが、取り付け部分の加工精度は大変な技術です。そんなアダプターに電子接点が追加されるようになると、もはや単なる金属の接続リングではなく精密機器です。フィルム時代には機械的に距離計を連動させるアダプターなどもありましたが、このようにカメラアクセサリー自体が盛り上がることでそのアクセサリーの進化に繋がっていく様子がうかがえます。昨今ミラーレス一眼用の交換レンズにパワーズームが取り入れられたように、かつて存在した技術を現在の技術でまた見直すことで再び目新しい機能として復活させる。このようにしてカメラ産業が進化していく一端を担っていたのだと改めて感じさせてくれる写真アクセサリーの一つにレンズアダプターが挙げられるのではないでしょうか。