明るい写真と暗い写真
2013.11.19 UP
スマホのように小さなカメラでは、一眼デジカメのようなボケ味の利いた写真は期待できませんが、撮影後にアプリを使うことでボケ味を演出した写真を楽しめます。スマホのカメラ機能単体でボケ味を演出したい場合は、主役に思い切り近づき背景との距離をとることで、多少のボケを得ることができます。
AE ロック(※)を使って写真の明るさをコントロール
スマホのカメラは基本的には撮影に関する設定を全てオートで行ってくれます。非常に便利な反面、デジカメのように「絞り」や「シャッタースピード」などを自分の好みに設定して写真を撮ることが出来ません。とくに明るさに関しては、多くのスマホのカメラはピントの位置に合わせて全体の明るさを調整してしまいます。そこで便利なのがAE / AF ロック(※)機能です。これは、露出(明るさ)とフォーカス(ピント)を自分の好きな位置に決めることが出来る機能です。機種によってはAE ロックができないものもありますので、露出とフォーカスの設定を個別に行いたい場合は「Camera+」などのアプリを使用しましょう。
写真の明るさを決める要素とは?
写真は、レンズを通る光の量を表す「絞り(F 値)」とシャッターが開いている時間「シャッタースピード」の組み合わせで「露出(明るさ)」を決めます。最も適している明るさを「適正露出」、明るめを「オーバー」、暗めを「アンダー」と表現し、カメラが決めた露出に対して明るさを補正することを「露出補正」といいます。また、露出に影響を与えるのが、カメラが光を感じることのできる力を数値で表した「ISO(イソまたはアイ・エス・オー)感度」です。ISO感度の数値が大きくなるほどカメラは光を敏感に感じるようになるため、暗所での撮影でもシャッタースピードを速くすることができ、明るい写真を撮ることが可能になります。その代わりに画質は粗くなってしまいます。右はISO800の写真。
明るいハイキーな写真と、渋いローキーの写真
明るく優しい雰囲気のハイキーな写真の撮り方
ハイキーとは、写真の明暗差やコントラストを抑え、全体的に明るい写真のことをいいます。全体的に明るくふわっとした印象のハイキー写真はSNSでも、とても人気があります。写真全体の明暗の差がなくコントラストが低い状況はハイキーの撮影に適しています。同時に、色が少なく色調が均一だとより印象的なハイキー写真になるでしょう。また、ハイキーな表現は被写界深度を浅くしたボケ味の利いた写真にも適しています。明るい色の被写体を撮影する場合はAE ロックを使用して全体の明るさに気をつけて撮影しましょう。
重厚感のある渋い雰囲気のローキーな写真の撮り方
ローキーの写真は、ハイキーとは対照的に全体的に暗い印象の写真ですが、重厚感や質感のある被写体が向いています。そして、被写界深度が深く隅々までピントが合っている写真にはより効果的です。ローキーはハイキーとは逆に全体的に色みは暗めで濃い色の被写体に向いていますが、ハイキーと同様に写真全体の明暗の差やコントラストは抑え、色調が均一な被写体が良いでしょう。ローキーの場合も、AE ロックを使用して全体の明るさや明暗の差に気をつけて撮影しましょう。
※ AEは自動露光、AFはオートフォーカス。AE / AF ロック機能は自動露出やオートフォーカスをロックする機能。
iPhoneなら、カメラを立ち上げた状態で、画面を長押しすると、AE / AF ロックの表示がでます。
Androidではシャッターボタンを長押しでロックされることが多いですが、機種により異なります。
スマ☆テクは、スマートフォンのカメラで美しく写真を撮るためのテクニック集「スマフォトテクニック」の内容の一部を掲載しています。もっと詳しく知りたいという方は、本を手にしてみてくださいね。アプリの紹介やデータの管理術など、お役立ち情報がもりだくさんです!
著者プロフィール
黒田智之(くろだともゆき)
LOCUS. AND WONDERS.(ローカス・アンド・ワンダーズ)
1971年生まれ。LOCUS. AND WONDERS.代表。東京都出身。映像制作会社等を経て、現在フリーのクリエイター。近年はiPhoneをはじめとするスマートフォンのカメラ関連書籍の執筆、スマホ 写真関連セミナーの講師も行っている。
『美しく撮るスマフォトテクニック』(FOM出版刊)をはじめ、多数の執筆書籍がある。