修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
数々の執筆経験を持つカリスマカメラ修理人・田口由明氏のカメラ修理に関するコラム。
趣味の蕎麦打ちや家庭菜園などについての話題も掲載。
2017.09.27【Vol.1500】
絞り羽根脱落は油分の湿潤や思いも寄らない原因で起こる場合があります。
人為的に脱落させる為に前郡レンズを外します。
絞り値カム環の押さえは前群レンズにより回転を妨げない隙間になっています。
絞り値カム環に絞り作動軸のネジ穴が目視できると思います。
絞り値カム環は若干上下に動く余裕があり、作動軸ネジ穴の対面(180度の位置)が最大の上下動になります。
前群レンズを外していますので、人為的に絞り羽根ダボを動かしてみました。
絞り羽根は裏表にダボが取り付けられていますので、レール面側のダボが外れることは無いと思います。もしも表側のダボ全てが絞り値カム環に収まり、裏側ダボの一部が外れていた場合も竹串で絞り羽根を整えながら絞り値カム環を赤点線両矢印方向に小刻みに動かします。此処で大きく動かしますと破損に繋がりますので注意が必要ですから、無理をしないようにいたします。小刻みに動かす事、と竹串で絞り羽根を整えて居ますので必然的に本来の位置に納まります。
絞り羽根が定位置に納まりました。
ヘリコイドを外しませんから、この方法で修正できればレンズ焦点を合わせる必要がありません。
絞り羽根の油分の湿潤に問題なければ、前群レンズを取り付ければ完成です。
(編集後記)
日本橋店店舗ブログより10年の月日が流れました。
店舗勤務は好きではありません。と自分なりに拒絶した時間がありました。このような自分の心を開いて戴いたのはお客様でした。
不具合を修理しているのに予約をされるお客様。脳の活性化で修理に挑戦し闇に包まれ助けを求められる方。回答は店舗ブログですよ!次にお会いした時、笑みの溢れが結果を物語っていました。
退職後はコラムとして引き続き出稿をして参りましたが、今月29日の更新をもちまして筆を置きたいと思います。長きに渡り閲覧戴きまして感謝に堪えません。
10年の節目にNHK国際放送greatgearの取材を受けましたのも感慨深いです。
そして、海外の視聴者よりお手紙を戴き「修理人たぐちの徒然日記」の案内を差し上げました。
さようならごきげんよう。
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