修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2017.05.19【Vol.1460】
NFDと呼ばれる仕様は分解するに懐深くカメラ修理同好会参加者から「嫌いですよね!」と尋ねられ肯定したのです。
家に転がっていましたマクロレンズ、ヘリコイド重しの症状有りで手がけることにしました。ロート筒が緩んだのです。でも分離できないのです。もしや安易な接着仕様では?が頭を過ぎりました。ゴムアダプターに両面テープを貼り付け外そうとしましたがいけませんでした。画像はマウント側を分離し、竹串で押し出しました。
側面からバヨネットを止めている3本ネジを外します。
良く失敗談として訊くのは外し方を間違えると組み込まれている大量のベアリングがバラバラと落ちてくることです。気をつけねばなりませんね。
絞り作動組品を外します。
絞りマニュアル環を外し、4本のネジを外してレンズロック解除環を分離します。
此処まで分解できれば隙間より竹串でロート筒を押し出すことが出来ます。
何しろロート筒が分離できなければ先に進めず発生しているカビも清掃できない機構です。
絞りクリック板を除け、現れたネジを含め3本のネジを外しますとバヨネット下地環が外れます。
前環を外します。
距離環を外します。
内ヘリコイドを繰り出し制限板を外します。
無限位置出板を外しますと無限位置だしをしなければならないので外しません。
直進キーを外します。
ネジはロックタイト(酸素遮断型接着剤)を使用してありますから、ネジ頭を痛めないよう慎重に外さなければなりません。
直進キーは無限位置で先端が当たらないよう斜辺カットしてあります。
中ヘリコイドを時計回り方向・内ヘリコイドは反時計回り方向に回転させお互いの終端位置を記録します。
3者に分かれましたヘリコイド環。スポンジに溶剤を含ませ線条を洗浄して組み込めば終了でした。兎も角、マント部の分解は懐深かったですね。部品点数多く原価も掛かったこと推測します。R系から続きましたマウント仕様は大きな障害となり、旭光学も設計変更の憂き目を見ることになりました。唯一マウントの設計変更をしなかったのが日本光学でした。